水質基準を知りたい人は必見! 水道の水質基準を詳しく解説

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水質基準について、詳しく知ることは大切です。特に、仕事でかかわる人にとっては水道基準の知識が必要不可欠なことも多いでしょう。今回は、水質基準について詳しい知識や取得しておきたい資格などを詳しく解説します。

  1. 水質基準とは
  2. 水道水の水質基準の項目を学ぼう
  3. 水道水の水質基準を学ぼう
  4. 水質基準検査について
  5. 水道水以外の水質基準も学ぼう
  6. 水質基準についてよくある質問に回答

水質基準について知りたい人は、ぜひ読んでください。水質基準の内容を深く理解できると同時に、仕事にも役に立つことは間違いありませんよ。


1.水質基準とは

まずは、水質基準についての定義など、基本を確認しましょう。準拠する法律や必要性についても、学んでください。

1-1.水質基準の定義を確認しよう

水質基準とは、水道水などの水質が水道法の規定を満たしているかどうかの判断となる基準のことです。水質基準があることで、安全な水を使うことができていると考えましょう。なお、水質基準は水の使用目的ごとに異なっています。飲用水には適さなくても、工業用水には問題が無い場合もあるので注意してください。

1-2.水質基準を規定する法律

水質基準を規定する法律は、水道法となります。水道法とは、水道を計画的に保全したり水質を管理したりすることで国民の快適な生活や健康を守ることが目的となっていると覚えておきましょう。水質基準は、水道法の規定によって厳しく管理する必要があるのです。水質基準に満たない水道施設については、水道法違反となり内容によっては罰金などの対象になる可能性も否定できません。

1-3.水質基準の必要性を学ぼう

私たちが快適な生活を送るため、また、健康に過ごすためには、水質の良い水の提供が必要不可欠です。たとえば、飲み水が雑菌やウイルス・微生物で汚染している場合は、病気の原因になると可能性があります。また、工業用水が川にそのまま流すことを黙認していては、公害が発生したり川の生態系が崩れてしまったりするなど、さまざまな弊害が生じるでしょう。水質基準をきちんと定めて管理・運用することは、とても大切な意味を持っています。

1-4.世界の水質基準に関する現状

日本は、上下水道の整備が整っている国です。水質基準に関しては、国民が安心して暮らすためにも徹底していると言って良いでしょう。しかし、世界では上下水道の整備が追い付いてない国もたくさんあります。発展途上の国では、日本の水質基準に満たないことも多いのです。衛生管理の行き届いた水を使うことができることは、日本の誇りと言えます。

1-5.水質基準が適用となる場所

水質基準が適用となる場所については、以下を参考にしてください。ただし、それぞれに適用となる水質基準の値は、目的ごとに異なります。

  • 上水道
  • 下水道
  • 地下水
  • 井戸水
  • 公衆浴場
  • 遊泳用プール
  • 農業用水

このほかにも、水質を適正に保つ必要があるものに関しては水質基準が適用となることもあります。

2.水道水の水質基準の項目を学ぼう

水道水は、私たちが普段の生活するために欠かすことができません。ここでは、水道水の水質基準について、どんな種類があるのかまた基準項目はどうなっているのかを解説します。

2-1.水道水の水質基準の種類

水道水の水質基準の種類について、確認しておきましょう。水道の水質基準については、水道法第4条の水質基準に関する省令による規定に適合する必要があります。なお、水道水の水質基準の種類は以下の3種類を覚えてください。

  • 水道水質基準
  • 水質管理目標設定項目
  • 要検討項目

2-2.水道基準項目を確認しよう

水道基準項目は、具体的に水質基準に関する省令で規定しています。水道の水質基準は、健康関連31項目と生活上支障関連20項目で成り立っており、水道基準項目を守ることは、水道事業者の義務となっていることも知っておきましょう。また、定期的に検査をして水道基準項目に違反が無いかチェックする義務もあります。

2-3.水質管理目標設定項目とは

水質管理目標設定項目とは、水道水中で検出する可能性があったり水質管理を行ったりするときに注意すべき項目のことです。水質管理目標設定としては、健康関連13項目と生活上支障関連13項目で成り立っています。検出したときのレベルが高くない状態であっても、経過観察をして水質の劣化につながらないか注意必要がある項目です。

2-4.農薬類の対象農薬リストとは

水質汚染を考えるとき、大きな原因としては工業廃水や農業廃水が候補に挙がります。中でも、水道水に農薬類が混入する可能性を除去できないため、対象農薬リストが存在しているのです。なお、対象農薬リストには120種類の農薬が指定となっています。対象農薬の種類は、随時見直しになることもあるためこまめにチェックしてください。

2-5.そのほかに検討が必要なことについて

水道法により水質基準が定まっていないものでも、改めて検討が必要になることもあるでしょう。たとえば、毒性評価を定めることができなかったり現時点で水中の存在量を特定できなかったりなどの理由がある項目は、要検討項目となります。産業状況や環境の変化により水質に影響を与える物質も変化しているため、新しい成分の含有量を規定する必要があるのです。ちなみに、平成28年時点では要検討項目として47項目が指定となっています。

3.水道水の水質基準を学ぼう

それでは、水道水の水質基準ついて学ぶことにしましょう。

3-1.水道水の水質基準の種類には何がある?

水質基準の種類には、飲料用の水に適用するものと産業用水に適用するものがあります。産業用水は、飲料用としては適しません。水の用途によって、それぞれ異なる水質基準が存在していることになります。まずは、水道水の水質基準について詳しく学びましょう。

3-2.水道水の水質基準について

水道水の水質基準について、主な種類と内容を簡単にご紹介しましょう。水道水には、上水道と下水道の2種類があります。

3-2-1.上水道の水質基準

水道水でも、上水道は飲用水としての目的を持っているため厳しい水質基準を要求することになります。目視による水の色や臭(にお)い・味の異常が無いか、の検査をクリアすることも重要でしょう。上水道に関しては、合計51項目の検査において適正範囲に収まることが条件となります。たとえば、大腸菌に関しては検出しないこと、一般細菌に関しては1ミリリットルに付き100個の集落数以下といった水質基準になることを覚えておきましょう。

3-2-2.下水道の水質基準

水道水でも、下水道の場合は飲用水ではなく生活排水です。下水道が不衛生な状態では、悪臭もひどく、病原菌が増殖して健康にもよくありません。そのため、雑菌などの繫殖が基準値以上にならないように調整・維持することが必要です。下水道の基準としては、有害物質のカドミウムが1リットルに付き0.1ミリリットル以下、有機リンが1リットルに付き1ミリグラム以下など、細かい指定があります。このほかにも、環境保全目的として、総クロムが1リットルに付き2ミリグラムといった基準があることも忘れないでください。下水道では、有害物質の検出が規定値を超えないように管理することが大切だと認識しましょう。

4.水質基準検査について

水質を一定に保つためには、定期的に検査を行う必要があります。ここでは、水質基準検査について詳しく解説することにしましょう。

4-1.水質基準検査はいつ誰が行っている?

水質基準検査は、いつ誰が行っているのでしょうか。たとえば、学校のプールは大勢の子どもたちが使用するため、常に水質が劣化しないように検査を適宜行わなくてはいけません。また、公衆浴場でも特定の病原菌が繁殖しないように監視する義務があります。水質基準検査は、私たちが気付かないところで水質検査を委託した業者や社内の環境対策課などの人材が随時行っているのです。

4-2.水質基準検査の主な方法

水質基準検査の主な方法は、試薬を使用して特定物質の含有量を調べたり含有物の分析をしたりすることになります。水質基準を的確に判断するためには、整った環境での検査や検査用具・試薬の選定や管理などを徹底する努力が必要です。適当に検査を行うことは、水質基準検査の意味を無くします。また、万が一有害物質が混入したときに発見が遅れてしまい、重大な被害が発生することも否定できません。より詳しい内容については、厚生労働省が出している下記の資料をご覧ください。

参考:水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法

4-3.水質基準検査の義務について

水道事業者には、水質基準検査を定期的に行う義務があります。また、水質を基準内に保つことも水道事業者の義務です。水質基準は水道法に準拠したものであるため、違反した業者には罰金などの刑を科す可能性もあります。また、架空検査や虚偽の報告も処罰の対象となることを覚えておきましょう。水道事業者に水質基準検査の義務があることによって、私たちも安心して水を使うことができるのです。

5.水道水以外の水質基準も学ぼう

水道水以外の水質基準も、しっかり学びましょう。水道水と比較して水質基準がどのように異なるのかを、チェックしてください。

5-1.水道水以外の水質基準について

水道水以外にも、水質基準を決めているものがあります。たとえば、井戸水を飲用水として使用する場合は、水道水と同様もしくはさらに厳しい基準を満たす必要がありますし、農業用水も、農作物を育てる目的で利用するため水質基準を満たさなくてはいけません。使用目的に沿った水質基準を満たすためには、水質チェックをこまめに行うことと水質改善に努力することが大切です。

5-1-1.井戸水の水質基準について

地下水をポンプなどで汲(く)んで、飲用水や生活用水に活用している地域はたくさんあります。皆さんの家でも、地下水を利用しているケースもあるでしょう。もちろん、地下水にも水質基準が存在します。特に、飲用水として利用する場合は、上水道よりも検査項目が細かくなることを知っておきましょう。井戸水を飲用水として利用する場合は、食品衛生法により年1回26項目の水質基準検査を行う義務があります。六価クロムやシアンなどの有害物質が基準値以内であることが、利用するための条件と考えてください。

5-1-2.農業用水の水質基準について

農業用水は、直接飲用水とはなりません。しかし、農業用水によって作物を育成することになるため、間接的に私たちの口に入ることは明らかです。また、農業用水の水質が悪いと作物の育成も悪くなることも否定できません。農業用水の水質基準に関しては、汚濁濃度が0から3までの段階があります。農業用水として適切な水質にするには、汚濁濃度0を目指すことが重要です。ちなみに、汚濁濃度0の基準は、COD濃度が1リットルに付き7ミリグラム以下などとなります。

5-2.水道水以外の水質基準を決める目的とは

水道水以外の水質基準を決める目的は、公衆衛生の促進や病原菌の拡散なの防止となります。直接口にすることが無い水源でも、臭(にお)いを不快に思うこともあるでしょう。また、水質汚染により病原菌や雑菌が繁殖することは、よくありません。私たちの周りには、あらゆる性質の水源があります。あらゆる水源の水質基準を決めて、水質管理をしていくことが大切だと理解しましょう。

5-3.水道水以外の水質基準を規定する法律

水道水以外の水質基準を規定する法律には、水質汚濁防止法などがあります。また、井戸水を飲用水として利用するときには、食品衛生法も関連してくることも覚えておきましょう。水道水以外は、飲用目的以外で使用するものに関しては、飲用目的用の場合と比べて厳しい基準は必要ありません。しかし、さまざまな水源の水質を保つためには、基準を定めることが大切なのです。水質汚濁防止法により、身の回りの水源の水質を適切に保つことができています。

5-4.水道水以外の水質基準を適用するそのほかの場所

水道水以外の水質基準は、井戸水や農業用水のほかに以下の場所にも適用となります。

  • 下水道から放流する場所
  • 河川
  • 海域
  • 工業用水
  • 浄化槽(そう)

環境に大きく影響するため、下水道から排出する場所や河川にも水質基準があります。また、工業廃水や浄化槽(そう)などの汚水対策としても水質基準が必要になることを学んでください。

5-5.水質基準に関連する資格も知っておこう

水質基準に関連する資格には、以下のようなものがあります。

  • 浄化槽(そう)管理士
  • 下水道検定3種および下水道管理技術認定試験
  • 公害防止管理者水質1種・2種・3種・4種
  • 化学分析技能士
  • 環境計量士
  • 技術士補(水道・環境および衛生工学部門)
  • 技術士(水道・環境・衛生工学部門)

水質基準に関連する資格は、想像以上に広範囲となります。中でも、公害防止管理者水質1種は、水道基準に関する資格の中でもおすすめなので検討してください。

6.水質基準についてよくある質問に回答

最後に、水質基準についてよくある質問に回答します。水質基準の知識をより深くするためにも、内容を確認してください。

6-1.上水道から出る水が臭(にお)う気がするときは水質基準を疑うべきですか?

上水道は、厳しい水質基準に基づいて検査を受けています。通常の環境では、臭(にお)いが気になることは少ないでしょう。もしも、異常な臭(にお)いを感じた場合は、すぐに水道局に連絡して調査を依頼してください。水道管のひびなどから、異物が混入している可能性があります。また、水道管などが劣化している可能性も考えてみてください。水道管がさびていると、臭(にお)いの原因となります。

6-2.ホテルなどの洗面所から出る水にも水質基準があるのですか?

ホテルなどの洗面所から出る水は、飲用水として使用できる水道水です。もちろん、水道水の水質基準に沿って検査を受けているので安心してください。ホテルは、サービス業です。万が一、洗面所から出る水が水質基準を満たしていない場合は、営業停止などの処分を受けることになるでしょう。ホテルの洗面所から出る水の水質基準は、厳しくチェックしていると考えて良いですよ。

6-3.水質基準値を超える検出があった場合の対策方法は?

水質基準検査の結果、基準値を超える検出があった場合は、早急に対策を考えてください。また、原因を追及することも大切です。原因を突き止めないと、対策を行ってもまた再発してしまうので注意しましょう。さらに、水質基準値を超えた場合は、詳細を記録に残すと同時に管轄の保健所に報告してください。なお、測定値をごまかすなどが判明した場合は、厳しい処罰があります。検査結果はそのまま報告することを忘れないでください。

6-4.家の井戸水の水質検査はどこに依頼するべきですか?

家で井戸水を利用している場合は、定期的な水質検査が必要になります。特に、環境汚染や自然災害などの影響を受けた場合、井戸水の水質が悪化して水質基準を下回る可能性を否定できません。井戸水の水質検査に関しては、厚生労働省に登録のある水質検査機関に依頼してください。また、自治体によっては地域の保健所に連絡して水質検査を受けることもできますよ。

6-5.塩素の臭(にお)いが強い水道水は水質基準を満たしていないのでは?

水道水は、水中の雑菌の繁殖を抑えるために塩素消毒を導入しています。水道水から塩素の臭(にお)いがすると感じる理由は、消毒用の塩素と考えてください。もちろん、水道水に消毒目的で使用する塩素の量にも規定があります。また、臭(にお)いの感じ方は人によるため、臭(にお)いに敏感な人は気になりがちということもあるでしょう。塩素は、水を沸騰(ふっとう)することで抜くことができます。また、温かい状態よりも冷たい状態の方が塩素の臭(にお)いが気にならないので試してみてください。

まとめ

今回は、水質基準を知りたい人のためにさまざま知識を詳しくご紹介しました。快適な暮らしを維持するためにも、水道水だけでなくあらゆる種類の水質基準を学ぶことはとても大切です。記事を何度も読むなどして、基本的な知識を頭に入れてください。なお、水質基準検査を行うには専門知識を身に付けた方が有利になります。水質基準や水質基準検査のプロフェッショナルを目指すためにも、関連資格の取得を含めて検討してみてください。

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