管工事施工管理技士の実務経験の書き方|申請時の注意点と経験記述のコツ
2018/08/20
管工事施工管理技士を受検しようと思ったとき、多くの人が迷いやすいのが「実務経験」の書き方です。
工事名はどこまで詳しく書けばよいのか、自分の担当業務はどう表現すればよいのか、過去の勤務先での経験は使えるのか。不安に感じるのも無理はありません。
管工事施工管理技士は、建設業法に基づく施工管理技術検定のひとつです。令和6年度から受検資格が変わっているため、古い情報のまま準備すると、申請方法や実務経験の考え方を間違えるおそれがあります。
実務経験は「期間を満たしているか」だけでなく、「管工事の施工管理に関わる経験として説明できるか」が大切です。
この記事では、管工事施工管理技士の実務経験の書き方、申請時の注意点、第二次検定の経験記述に使いやすい工事の選び方を、現行制度に合わせて解説します。
- 管工事施工管理技士とは
- 1級と2級でできることの違い
- 令和6年度以降の受検資格のポイント
- 実務経験として認められやすい業務
- 実務経験に含めにくい業務
- 実務経験の書き方と記入例
- 特定実務経験・指導監督的経験を書くときの注意点
- 第二次検定の経験記述に使いやすい工事
- 実務経験を書く前に確認したい書類
- よくある質問
- まとめ
1.管工事施工管理技士とは
管工事施工管理技士は、管工事の施工管理に関する国家資格です。管工事には、冷暖房設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、ガス管配管工事、ダクト工事などが含まれます。
現場では、工程管理、品質管理、安全管理、原価管理、関係者との調整、施工図や書類の確認など、工事を計画どおり安全に進めるための役割を担います。
資格を取得すると、建設業許可や現場配置技術者の要件に関わる場面で評価されます。昇進、転職、現場責任者へのステップアップを考える人にとって、取得する意味の大きい資格です。
2.1級と2級でできることの違い
管工事施工管理技士には、1級と2級があります。
1級管工事施工管理技士
1級管工事施工管理技士は、管工事業における主任技術者や監理技術者の資格要件に関係します。大規模な工事や、特定建設業が関わる工事で評価されやすい資格です。
ただし、実際に監理技術者として配置されるには、工事内容や請負金額、建設業許可、監理技術者資格者証、講習などの条件も関係します。資格に合格すれば、どの現場でも直ちに監理技術者として配置できる、という意味ではありません。
2級管工事施工管理技士
2級管工事施工管理技士は、主に一般建設業の営業所専任技術者や、管工事の主任技術者の資格要件に関係します。
1級と比べると対応できる範囲は限られますが、現場で施工管理を担当する人にとっては、キャリアの土台になる資格です。
まず2級を取得し、その後に1級を目指す流れも一般的です。
3.令和6年度以降の受検資格のポイント
施工管理技術検定は、令和6年度から受検資格が変更されています。古い記事では「学科試験」「実地試験」と書かれていることがありますが、現在は「第一次検定」「第二次検定」という名称です。
第一次検定は年齢要件が中心
1級管工事施工管理技術検定の第一次検定は、令和8年度の場合、年度中に19歳以上になる人が受検できます。2級管工事施工管理技術検定の第一次検定は、令和8年度の場合、年度中に17歳以上になる人が受検できます。
第一次検定だけを受ける場合、以前のように学歴ごとの実務経験年数を細かく確認する必要は少なくなっています。
第二次検定では実務経験が必要
第二次検定では、実務経験が重要になります。令和6年度から令和10年度までは経過措置期間のため、新受検資格と旧受検資格のどちらを使うかを選ぶ形になります。
新受検資格を使う場合、第一次検定合格後の実務経験年数などが関係します。旧受検資格を使う場合は、学歴や指定学科、卒業後の実務経験年数などにより判断されます。
どちらを選ぶかで、申込方法や必要書類が変わることがあります。申し込み前に、必ず全国建設研修センターの最新の「受検の手引」を確認してください。
4.実務経験として認められやすい業務
管工事施工管理技士の実務経験として考えやすいのは、管工事の施工に直接関わり、技術的な判断や管理に関与した経験です。
たとえば、次のような業務は実務経験として説明しやすい内容です。
- 給排水衛生設備工事の施工管理
- 空調設備工事の施工管理
- 換気・ダクト工事の施工管理
- 冷温水配管、蒸気配管、ガス配管などの施工管理
- 浄化槽設備工事の施工管理
- 工程管理、品質管理、安全管理、出来形管理
- 施工図、材料承認、施工計画書などの作成・確認
- 協力会社への作業指示や現場調整
- 発注者、元請、設計者、監理者との打ち合わせ
- 試運転、検査、引き渡しに関する管理
大切なのは、単に「現場にいた」と書くことではありません。どの管工事で、どの立場で、どの管理業務を担当したのかを説明できるようにしておくことです。
5.実務経験に含めにくい業務
管工事会社に勤めていても、すべての業務が実務経験になるわけではありません。
次のような業務は、管工事施工管理の実務経験としては認められにくい、または説明に注意が必要です。
- 一般事務、経理、人事、営業だけを担当していた期間
- 資材の運搬だけを行っていた期間
- 倉庫管理だけを行っていた期間
- 見積作成のみで現場管理に関わっていない期間
- 清掃、警備、点検補助のみの業務
- 管工事ではない建築工事や電気工事のみの経験
- 施工管理ではなく単なる見学や研修だった期間
ただし、資材手配や運搬をしていた場合でも、その工事の施工計画、工程調整、品質確認、安全管理などに関わっていたなら、実務経験として説明できる可能性があります。
判断に迷う場合は、自己判断で書かず、受検の手引や勤務先の担当者、必要に応じて全国建設研修センターへ確認しましょう。
6.実務経験の書き方と記入例
実務経験を書くときは、「長く書く」よりも「工事内容と自分の役割が分かる」ことが大切です。
実務経験で整理する項目
- 勤務先名
- 工事名
- 工事場所
- 工事期間
- 従事期間
- 工事内容
- 自分の立場
- 担当した施工管理業務
- 証明者
工事期間と自分の従事期間は同じとは限りません。工事全体は1年間でも、自分が担当したのが6か月なら、従事期間は6か月として整理します。
書き方の悪い例
「○○ビル新築工事に従事。配管工事を担当。」
この書き方では、工事の種類、自分の立場、施工管理の内容が分かりにくくなります。
書き方のよい例
「○○ビル新築工事における給排水衛生設備工事について、施工担当者として、衛生器具・給水管・排水管の施工範囲を担当。協力会社との工程調整、材料搬入時期の確認、施工図との照合、配管勾配・支持間隔の確認、作業前KY活動の実施確認を行った。」
このように書くと、管工事の内容と施工管理業務が伝わりやすくなります。
短くまとめる場合の例
「給排水衛生設備工事の施工担当として、工程調整、施工図確認、配管勾配・支持間隔の品質確認、安全管理を担当。」
申請書の記入欄には文字数の制限があります。欄が小さい場合は、工事名や担当内容を簡潔にしつつ、施工管理に関わったことが分かる言葉を残しましょう。
7.特定実務経験・指導監督的経験を書くときの注意点
1級の第二次検定では、受検資格の区分によって、特定実務経験が関係する場合があります。
国土交通省の資料では、特定実務経験について、一定以上の請負金額の建設工事において、監理技術者・主任技術者の指導の下、または自ら監理技術者・主任技術者として行った経験などが示されています。
古い記事では「指導監督的実務経験」という表現が使われることがあります。現在の受検資格では、新旧どちらの受検資格を使うかによって確認する項目が変わるため、自分が選ぶ受検資格の用語に合わせて整理してください。
書くときに確認したいこと
- 請負金額の要件に該当するか
- 自分の立場が主任技術者、監理技術者、現場代理人、施工担当者などのどれに当たるか
- 誰の指導の下で業務を行ったか
- どの施工管理業務を担当したか
- 証明者が内容を確認できるか
- 施工体制台帳、施工体系図、契約書、注文書などで確認できるか
「部下を指導した」「現場を管理した」と抽象的に書くだけでは不十分です。工程、安全、品質、出来形、協力会社調整など、何を管理したのかを具体的に整理しましょう。
8.第二次検定の経験記述に使いやすい工事
第二次検定では、施工経験記述が出題されます。これは、自分が経験した工事をもとに、施工管理上の課題や対策を説明する問題です。
申請時の実務経験を整理するときに、経験記述に使いやすい工事も一緒に選んでおくと、後の学習が進めやすくなります。
経験記述に使いやすい工事の条件
- 工事名、場所、工期、請負金額などを思い出せる
- 自分の立場と担当業務を説明できる
- 品質管理、安全管理、工程管理の具体的な対策がある
- 数字や基準値を入れて説明できる
- 自分が実際に判断・確認・改善した内容がある
- 失敗談ではなく、対策によってよい結果につながった内容がある
経験記述に向かない工事
- 自分の関与が少ない工事
- 工事内容を詳しく覚えていない工事
- 管工事との関係が薄い工事
- 担当業務が事務処理だけだった工事
- 具体的な管理内容を書けない工事
経験記述では、模範解答を丸暗記するより、自分の工事を「課題」「対策」「結果」に分けて整理することが重要です。
経験記述の整理例
- 工事名:○○病院改修工事
- 工事内容:空調設備更新工事
- 自分の立場:施工担当者
- 管理項目:安全管理
- 課題:既存建物を使用しながらの工事で、第三者との接触リスクがあった
- 対策:作業区画の明示、搬入時間の調整、朝礼での動線確認、誘導員配置を行った
- 結果:利用者動線と作業動線を分離し、第三者災害を防止できた
今日からできることは、これまで担当した工事を3件ほど書き出し、それぞれについて「品質」「安全」「工程」のどの記述に使えるかを分類しておくことです。
9.実務経験を書く前に確認したい書類
実務経験は、記憶だけで書くと誤りが起きやすくなります。申請前に、確認できる資料をそろえておきましょう。
- 工事請負契約書
- 注文書・注文請書
- 施工体制台帳
- 施工体系図
- 工事台帳
- 施工計画書
- 工程表
- 施工図
- 安全書類
- 検査記録
- 勤務先の在籍証明
- 過去の担当工事一覧
令和6年度以降の新受検資格では、実務経験の証明について、原則として工事ごとに工事請負者の代表者等または請負工事の監理技術者等による証明が求められます。
過去の勤務先での経験を使う場合は、証明を依頼できるか、資料が残っているかを早めに確認しましょう。
実務経験は、後から思い出して書くより、工事ごとに証明できる形で整理しておくことが大切です。
10.よくある質問
Q.管工事施工管理技士の実務経験は、いつから必要ですか?
A.第一次検定だけを受ける場合は、年齢要件が中心です。第二次検定では実務経験が必要になります。令和6年度から令和10年度までは、新受検資格と旧受検資格を選べる経過措置期間のため、自分がどちらで申請するかを確認しましょう。
Q.「管工事施工管理士」と「管工事施工管理技士」は同じですか?
A.正式名称は「管工事施工管理技士」です。「施工管理士」と書かれることもありますが、記事や申請書では正式名称を使いましょう。
Q.資材運搬は実務経験に入りますか?
A.資材運搬だけを行っていた場合は、施工管理の実務経験としては説明しにくい内容です。ただし、資材搬入計画、工程調整、品質確認、安全管理などに関わっていた場合は、その管理業務を具体的に整理しましょう。
Q.複数の会社での経験を合算できますか?
A.条件を満たす実務経験であれば、複数の勤務先での経験を合算できる場合があります。ただし、それぞれの経験について証明が必要です。退職済みの会社に証明を依頼する必要がある場合は、早めに連絡しましょう。
Q.過去の勤務先が倒産している場合はどうすればよいですか?
A.工事書類や在籍を確認できる資料、当時の関係者による証明などが必要になる可能性があります。個別事情によって対応が変わるため、全国建設研修センターや受検の手引で確認してください。
Q.実務経験を少し長めに書いてもよいですか?
A.できません。実際に従事していない期間を含めると、虚偽申請になるおそれがあります。工事期間ではなく、自分が実際に従事した期間を正確に書きましょう。
Q.経験記述は申請した実務経験と同じ工事で書く必要がありますか?
A.出題条件や受検年度の注意事項に従う必要があります。基本的には、自分が実際に経験した管工事から、施工管理内容を具体的に説明できる工事を選ぶことが大切です。申請時に整理した工事の中から選ぶと、内容に一貫性を持たせやすくなります。
Q.無資格で管工事の作業をしていた期間は実務経験になりますか?
A.無資格であっても、管工事の施工や施工管理に関わった経験として認められる場合があります。ただし、法令上資格が必要な作業を無資格で行っていた場合は別問題です。実務経験として書くときは、担当した業務内容を正確に整理してください。
11.まとめ
管工事施工管理技士の実務経験を書くときは、工事名や勤務期間だけでなく、自分がどの立場で、どの施工管理業務を担当したのかを具体的に整理することが大切です。
令和6年度から施工管理技術検定の受検資格は変わっています。現在は「第一次検定」「第二次検定」という名称になり、第二次検定では実務経験が重要になります。令和6年度から令和10年度までは、新受検資格と旧受検資格を選べる経過措置期間です。
実務経験を書く前に、工事名、工期、従事期間、担当業務、証明者、施工体制台帳や契約書などの確認資料を整理しておきましょう。
経験記述の対策としても、申請時の実務経験整理は役立ちます。自分が実際に関わった工事の中から、品質管理、安全管理、工程管理について具体的に説明できる工事を選んでおくと、第二次検定の準備が進めやすくなります。
実務経験は、合格のための形式的な書類ではなく、自分の施工管理経験を正しく伝えるための土台です。
出典
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