消防設備士試験の製図問題とは? 過去問を解けば大丈夫?
2017/02/25
消防設備士とは、オフィスビルや大規模な商業施設・学校・劇場など不特定多数の人々が出入りする施設で、消防設備や避難用具の設置工事をしたり保守点検を行ったりすることができる資格です。一定以上の規模を持つ建物には消防法に基づいた消防設備の設置義務があります。ですから、消防設備士の需要も豊富です。また、消防設備士はビル管理の仕事に就く際にも有利に働くため、転職のために資格取得を目指す方も多いことでしょう。
そこで、今回は消防設備士の試験対策について製図問題や過去問の取り扱われ方を中心にご紹介します。
この記事を読めば、消防設備士甲種の試験勉強のコツがつかめることでしょう。消防設備士甲種の取得を目指している方は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.消防設備士の基礎知識
はじめに、消防設備士とはどのような資格かということや、資格を取得するメリットをご紹介します。取得をすればどのような職務に就けるのでしょうか?
1-1.消防設備士とは?
消防設備士とは、前述したように消火器やスプリンクラーなどの消火設備や、火災報知器のような自動火災報知設備・避難用具などの設置工事や保守点検を行うことができる資格です。
現在は消防法に基づき、不特定多数の人々が出入りする一定規模以上の建物には消火設備や自動火災報知設備などの設置が義務付けられています。また、いざというときに消火設備などが正常に作動するためには定期的な点検が欠かせません。このような建物は、自社で消防設備士の有資格者を雇用したり、消防設備士を派遣してくれる会社と契約したりして建物の安全を守っているのです。
1-2.消防設備士の種類や分類とは?
消防設備士には、甲種・乙種の2種類があります。その中で甲種は特類と1~5類まで、乙種は1~7類に分類されているのです。1類~5類までは甲種・乙種ともに同じ消防設備を保守点検できます。なお、甲種は保守点検に加えて消防設備の設置工事が可能です。乙種の6類消火器の設置と点検、7類は漏電火災警報機の保守点検が行えます。どちらも設置工事はありませんので、甲類に6.7類は存在しません。また、甲種特類というのは、特殊消防用設備等の設置工事や保守点検ができる資格です。これは甲種だけの資格になります。
現在のところ、取得すればすべての消防設備の設置工事と保守点検を行えるという資格はありません。試験にのぞむ前にそれぞれの資格区分の工事や保守点検が行える消防設備の内容を確認し、必要ならば複数の資格を取得しましょう。
1-3.消防設備士の難易度や資格を取得するメリット
消防設備士の難易度は種類によって若干異なりますが、ふつう~やや易しい程度です。勉強は暗記が中心であり、知識がなくても勉強していれば理解できるようになることが多いでしょう。独学用の参考書や過去問題集・通信教材も豊富です。資格を取得すれば、消防設備の保守点検を行う会社やビル管理を行う会社への転職が有利となるでしょう。設置工事や保守点検はある程度年齢が高い方でも行えますので、中高年で転職したいという方や定年後もう一度働きたいという方にもおすすめです。
2.製図以外の試験問題の内容や試験の受け方
この項では、消防設備士の試験内容や試験の受け方についてご紹介します。製図の他はどのような試験があるのでしょうか?
2-1.試験に製図が出る資格区分とは?
消防設備士の試験には、筆記試験と実技試験の2種類があります。実技試験といっても、何かを作成したりすることはありません。写真などを見て感知器等の名称を正確に答えるような問題が出ます。筆記試験の延長のようなものですが、記述式ですので漢字などまで正確に覚えておきましょう。
製図が試験に出るのは、甲種です。ここで問われるのは、消防法で定められた感知器の正確な設置基準になります。ですから、配線などは多少間違っても問題ありません。また、感知器の正確な設置基準さえ合っていれば、配線のかき方が模範解答と異なっていても大丈夫です。ですから、電気関係の知識がなくても全く理解ができないというものではありません。しっかりと事前に勉強していれば十分に解ける問題です。
2-2.消防設備士の試験内容
消防設備士の試験は、甲種が
- 工事設備対象設備等の構造・機能・工事・設備
- 火災及び防火
- 消防関係法令
- 基礎知識
- 実技試験
です。乙種が
- 消防関係法令
- 基礎知識
- 構造・機能・整備
- 実技試験
となっています。こうやって見比べると甲種の方が科目が多いのが分かるでしょう。なお、電気工事士・電気主任技術者・技術士などの資格を持っていると試験の一部が免除されます。また、乙種の場合は1類~7類のどれかに合格したのち、新たな類の資格を取得したいという場合は、試験の一部が免除になるのです。ただし、乙種を取得した後に甲種を受験した場合の免除科目はありません。注意しましょう。
2-3.受験資格など
消防設備士の乙種に受験資格はありません。性別・年齢・学歴・国籍問わずに受験することができます。甲種は、乙種を取得して2年以上の実務経歴がある方や、電気工事士・技術士・電気主任技術者・ガス主任技術者などの特定の資格がなければ受験できません。詳しくは、試験を主催している消防試験研究センターのホームページを確認してください。甲種の中でも特類は、甲種の1類~3類までのいずれかかと4類・5類を取得しておく必要があります。
2-4.試験の日程や申し込み方法
消防設備士の試験は、1年を通して各都道府県で開催されています。試験日は各都道府県によって異なるため、申し込む前に消防試験研究センターのホームページでしっかりと確認してください。可能ならば、住んでいる県以外で受験することも可能です。申し込み方法はセンターのホームページから電子申請を行うか、最寄りの消防署で願書をもらって必要事項を記入し、郵送して申し込みます。受験料は乙種が3,400円・甲種が5,000円です。
合格基準は全科目通して6割以上の得点率ですが、1科目でも4割以下の得点率ですとその時点で不合格になります。
なお、試験日を変えれば違う類を1年以内に受験することは可能です。ただし、合否が分からないうちに試験科目が免除になることはありません。
3.製図問題を中心とした試験勉強のコツ
この項では、消防設備士の試験勉強方法をご紹介します。製図問題を中心にご紹介していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。
3-1.勉強方法のコツと種類
消防設備士の勉強は、自分で参考書と予想問題集を購入して行う独学か、通信教材を利用する方法があります。前述したように製図だけの参考書も販売されていますので、製図がよく分からない方は購入してもよいでしょう。
試験区分が異なれば問題も異なりますので、必ず自分が受験する試験区分の参考書を購入してください。
3-2.過去問の公開基準など
消防設備士の試験は前述したように、各県で開催日程が異なります。そのため、問題の持ち出しは許可されていません。持ち出しが発覚した時点で不合格です。過去問は消防試験研究センターのホームページ上で、ごく一部が公開されています。書店などで販売されている消防設備士の問題集は、過去問題集ではなく予想問題集です。消防設備士の試験問題には一定のパターンがあるといわれているため、予想問題集を解いておけば似たような問題にあたるかもしれません。
3-3.通信教材のメリット
通信教材とは、専門の会社が販売している教材で、模擬試験の解答を郵送すると添削して返してくれます。自宅にいながら講師の指導を受けることができるため、資格取得をするためにはおすすめの勉強方法です。もちろん製図の指導もしてくれます。
4.消防設備士の試験に関するよくある質問
Q.試験の回数は都道府県によって差はありますか?
A.はい、あります。東京や大阪などの首都圏の方が試験開催日が多いのです。
Q.製図の問題は電気関係の勉強をしなくても解けますか?
A 電気関係の勉強よりも消防法を覚えておく方が大切です。全く知識がなくても大丈夫、というわけにはいきませんが中学・高校で物理の一環として電気を学んだ方ならば解けるでしょう。
Q.電気工事士の資格を持っていますが、製図はやはり難しいのですか?
A.消防設備士の製図試験は、火災報知機の設置基準に関する問題が出ますので、消防法を覚える必要があります。電気の勉強とはまた違った知識が必要です。
Q.消防設備士はまず何から挑戦したらよいのでしょうか?
A.何もないところから受験したい場合は、乙種6類を受験すると消火器の設置や点検ができます。その後、乙種の他の類を目指すといいですね。
Q.甲種の方を取得した方がやはり就職には有利でしょうか?
A.甲種は工事もできますので確かに有利ですが、乙種も類によっては需要が豊富です。消火器を取り扱えるならば、さまざまな施設で消火設備の点検が行えます。
おわりに
今回は消防設備士の製図問題を中心に試験内容や勉強のコツなどをご紹介しました。過去問は一部しか公開されていますが、そのかわり予想問題がたくさん作られていますので、そのような問題集を使いましょう。通信教材を利用すれば必要な参考書や問題集がすべてセットになっていますので、初めて試験に挑む方にもおすすめです。
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