ビルに設置されている消防設備の種類とは?どんなものがあるの?
2016/04/04
たくさんの人がその中で長期間活動するビル。
宿泊・ビジネス・販売・飲食など目的はさまざまですが、平屋の建物よりは災害に対する備えを厳重にしておかなくてはなりません。
そこで、今回はビルの消防設備の種類をご紹介しましょう。
ビルに備えつける消防設備は、法律で決まっています。
しかし、ただ備えてあるだけではいけません。
今回は、点検の方法などもご紹介しましょう。
消防設備士の資格取得を目指す方も、ぜひこの記事を読んでみてください。
1.ビルに消防設備が必要な理由とは?
火災は、どんな建物でも起こり得ます。火の不始末だけでなく漏電やガス漏れでも火災は起こるでしょう。
ごく普通の住宅でも、火災が発生すれば逃げ遅れて死傷者が出ることも少なくありません。
まして、ビルは縦に長い建物です。
今は、40階以上の超高層ビルも珍しくないでしょう。
移動にはエレベーターやエスカレーターを使いますが、火災が発生すれば、それらは使用できません。
しかし、健康な方ならともかく高齢者や体の不自由な方は階段での避難はつらいでしょう。
また、火災が発生した場所によっては、避難通路が使用できなくなる可能性もあります。
さらに、大きなビルですと火災が発生したことがビル全体に伝わるまで時間がかかることも珍しくないでしょう。
そのため、ビルで火災が発生すると条件によっては多数の犠牲者が出ます。
実際、多くの犠牲者が出た火災のほとんどがビルで発生しているのです。
そのため、消防法によってビルには一定の消防設備を備えるように定められています。
違反をすれば罰則を受けるだけでなく、社会的な信用も落ちるでしょう。
2.ビルに必要な消防設備の種類とは?
この項では、ビルに必要な消防設備の種類についてご紹介します。
いったいどのような設備をそろえればよいのでしょうか?
2-1.警報設備
警報設備は、家事が発生したときにそれを知らせる設備です。
非常ベルや火災報知機が代表的な設備になります。
火災報知機は熱を感知するものと煙を感知するものがあり、非常ベルには自動のものと主導のものがあるのです。
ビルの管理室には、どこで火災報知機が鳴っているのか分かるようになっている必要もあるでしょう。また、火災の原因となりやすい漏電を知らせる警報器もあります。
2-2.消火設備
消火設備は、スプリンクラーや消火器など火を消す設備のことです。
まだ火災が小さいうちならば、消火設備で消し止められることもあるでしょう。
また、冷水をかけておけば火が燃え広がりにくくなります。
消火設備は冷水が基本ですが、ところによっては冷水が使えないこともあるでしょう。
その場合は、窒息消火を行える消火器などを備えておきます。
なお、消火栓も消火設備の一種です。
2-3.避難設備
前述したように、火災が発生するとエレベーターやエスカレーターは使えなくなります。
そのため、非常階段を使って一階までおりなければなりません。
この非常階段や避難ハシゴ、さらに救助袋などを避難設備といいます。
避難設備がいざというときにスムーズに使えると、避難も短時間ですむでしょう。
2-4.その他の設備
大きなビルほど、電灯であかりを確保するところが多いでしょう。
火災になると電気が消えて、真っ暗になってしまう場所も少なくありません。
そのため、避難通路を示す誘導灯や非常用電源が必要になります。
これも、防災設備の一種でしょう。
さらに、火災を察知すると自動的に消防へ通報する設備を備えているビルもあります。
このように、ビルごとに特殊な消防設備を備えているところも少なくありません。
3.備えているだけでは不十分?
さて、消防設備は備えているだけでは不十分です。
現在では、配電設備や暖房器具、調理器具の安全性はより高くなり、喫煙も限られた場所でしかできなくなりました。
ですから、火災が起きる可能性はより低くなっているのです。
そのため、消防設備は長年使われずにしまわれっぱなしになることも珍しくありません。
また、警報装置や消火設備の中には誤作動を起こすものもあります。
警報装置ならば音が鳴るだけですが、スプリンクラーなどが誤作動すると、大変なことになるでしょう。
消防設備も経年とともに劣化していきます。
老朽化した消火設備は、誤作動も起こりやすくなるでしょう。
また、消防設備はいざというときに使えなければ、どうしようもありません。
なので、定期的な点検が必須です。
4.消防設備を点検する方法とは?
では、最後に消防設備を点検する方法をご紹介します。
誰でも点検できるものなのでしょうか?
4-1.消防設備を点検できる人とは?
消防設備は、消防設備士が行います。
消防設備士とは消防設備の設置、工事、点検が行える国家資格です。
ビルの従業員が点検して異常なしと報告しても、点検になりませんので注意しましょう。
自社ビルに専任の消防設備士がいるところもありますが、大部分のビルでは、定期的に専門業者に点検を依頼しています。
点検は、1~2年に1度の割合で行われるのです。
4-2.点検をしたらどうするの?
点検を行ったら、専門業者は点検の報告書を作成してくれます。
ビルのオーナーはそれを最寄りの消防署に提出しましょう。
これで点検は完了です。
点検にかかる時間は約1時間~3時間。費用は数万円~10万円と見積もっておきましょう。
調子の悪い消防設備があったら点検の際に見てもらい、必要とあれば修理してもらってください。
4-3.ビルの管理者ができることとは?
さて、消防設備の点検は専門の有資格者しかできません。
しかし、日々の消防設備の整備はビルの管理者の役目です。
ビルの消防設備は、普段は全く使われません。
非常階段や非常扉のような大きなものは邪魔になることもあるでしょう。
だからといって、非常階段を物置代わりにしたり、非常扉の前に荷物を積み上げたりしてはいけません。
このようなことを放置していると、いざ火災が起こったときに避難の邪魔になります。
実際、非常階段が機能しなかった結果、多数の犠牲者が出る火災は近年でも起こっているのです。
また、いたずらで消防設備が使われないように対策を施しておくことも大切でしょう。
特に、飲食店が多数入っているビルでは、子どもや酔った人がいたずらをしやすいのです。
注意しましょう。
5.おわりに
いかがでしたか?今回は、ビルの消防設備の種類や点検方法についてご紹介しました。
最近は多目的なビルも増え、商業施設とオフィスと飲食店がすべて同じビルに入っているというところも珍しくありません。
また、タワーマンションもビルの一種といえます。
そのため、備える消防設備もより多くなるでしょう。
ですから、消防設備士がひとりしかいなければ、とてもすべてをカバーできません。
大きなビルほど外部の業者に委託した方が便利です。
ただし、前述したように報告書の提出はビルのオーナーが行ってください。
これを忘れていると罰則の対象になります。
また、消防設備のスイッチを従業員が勝手にオフにすることは禁じられているのです。
誤作動が頻発する場合は、必ず業者に修理を依頼してください。
スイッチをオフにしてほうりっぱなしにしていれば、いざというときに機能しなくなってしまいます。
設備を整えるのも大切ですが、日頃の整備も同じくらい重要なのです。
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