建設業許可の申請方法について知りたい! どんな時に必要なるの?
2017/08/07
建設業許可とは、建設工事業種29種類に含まれる工事を行う際、国土交通省か都道府県知事に得なければならない許可のことです。ただし、すべての工事に許可がいるわけではありません。工事の種類や金額によって許可が必要ないこともあります。これから建築関係の仕事に就きたいという人は、許可がいる工事・不要な工事を知っておかなければなりません。
今回は、建築業許可が必要な工事の条件や建設業許可の申請方法・許可を得るために必要な条件などを解説します。
この記事を読めば、建設業許可に関する知識は完璧です。建設業許可について詳しく知りたいという方は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.建設業許可の基礎知識
はじめに、建設業許可が必要な工事・不要の工事の違いを紹介します。
1-1.建築業許可とは工事を行う際にえる許可のこと
建設業許可とは、元請・下請、個人・法人を問わず建設業を行おうとするものが、建築業種29種類に含まれる工事を行う際、国土交通省か都道府県知事に申請しなければならない許可のことです。前述のとおり、建築業種29種類の中には、土木工事や建築一式工事のほか、石工事・左官工事・配管工事なども含まれます。29業種について詳しく知りたい方は、各自治体にある建設業許可サポートセンターのページを確認してください。建築に関するすべての工事が29種の中に含まれていると考えていいでしょう。
1-2.建築業許可が必要な工事・不要な工事
建築業許可が必要な工事は、建築業種29種の工事をするうえで500万円以上かかる工事のことです。500万円以上かかるのは大工事のように思われますが、以下のような条件があります。
- 500万円のうちに消費税・材料費を含む
- 材料が元請から至急されたものであっても、500万円のうちに含む
- 建築工事一式の場合は、請負金額が税込み1,500万円以上で許可が必要となる
- 建築工事一式のうち、木造住宅建築の場合は金額関係なく延床面積は150㎡以上の場合は許可が必要
一方、許可が不要な工事は以下のようなものです。
- 一件の請負代金が1,500万円未満の建築一式工事
- 請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150m2未満の建築一式工事(主要部分が木造で、のべ床面積の2分の1以上を住居用にする)
- 消費税込みで、一件の請負代金が500万円未満の建築一式以外の建設工事
1-3.建築業許可を取得しなかった場合は営業停止もありえる
建築業許可を取得しなかった場合など、建築業法に違反した場合は以下のような罰則があります。
- 指示処分:監督行政庁からの命令を受け、業務を適切に戻す
- 営業停止処分:指示処分に従わなかった場合は、1年以内の期間で営業停止を命じられる
- 許可取消し処分:営業停止中に営業活動をした場合などは、建設業許可の取り消し処分を命じられる
つまり、違反した場合は建築業が続けられなくなることもあるでしょう。
2.建設業許可の種類について
この項では、建築業許可の種類について解説します。
2-1.建築業許可は4種類
建築業許可は以下のような4つの種類があります。
- 大臣許可:営業所が複数の県にある場合に必要
- 知事許可:営業所が1か所、もしくはすべて同じ県内にある場合に必要
- 特定建設業許可:自社が元請であり、下請への発注金額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は、6,000万円以上)の工事を行うときに必要
- 一般建設業許可:特定建設業許可に当てはまらない工事すべて
2-2.建築業許可に関する注意点
特定建築業許可および一般建築業許可は、下請けに工事を発注する際に必要です。たとえば、建築一式工事の場合でもすべて自社で行う場合は、特定建築業許可・一般建築業許可は必要ありません。また、下請けとして受注したものをさらに下請けに発注する場合も許可は不要です。
また、建設業許可は29種類あり、許可を得た以外の工事は前項で紹介した軽微な工事以外請け負うことができません。ですから、請負いたい工事が複数ある場合は複数の許可が必要です。
さらに、5年ごとに更新が必要になります。4月1日に建設業許可を得た場合は、5年後の3月31日までが有効期限になりますので、それまでに更新届を提出しましょう。
なお、更新届を受理してもらうには5年度分の決算届が必要です。1年でも欠けると決算してもらえません。また、変更があった場合に変更届を出さなかった場合も更新を受理してはもらえませんので、注意してください。ですから、建設業許可を得たからも折に触れて書類を確認し、変更に備えて必要な書類を準備しておきましょう。提出間際になると更新のお知らせが届きますが、それから慌てて準備をしていると大変です。
変更届とは、
- 営業所の場所や名称、責任者などが変わった(30日以内に変更届を出す)
- 専任技術者が変更になった(2週間以内に変更届を出す)
- 主任技術者や監理技術者が変更になった(4か月以内に変更届を出す)
などの場合に必要になります。この場合は、提出期限を過ぎると受け付けてくれませんので注意しましょう。なお、変更届も更新届も必要な書類が自治体により異なるので、建設業許可を得た際、変更届や更新届の提出方法や必要書類を確認しておいてください。
3.建築業許可の申請方法
この項では、建築業許可の申請方法を具体的に紹介します。
3-1.建設業許可の申請が行える条件
建設業許可を得るためには、以下の条件を満たしていることが必要です。
- 経営業務の管理責任者が常駐していること
- 専任技術者が常勤していること
- 請負契約を履行できる財産や金銭的な信用を有していることがあること
- 建設業を営む営業所を持っていること
ちなみに、専任技術者とは請負契約を結ぶにあたり技術的なサポートをする立場の技術者のことで、1級施工管理技士などの資格を取得している人が選任されます。経営業務の管理責任者と専任技術者を1人で兼ねることは可能です。主任技術者や監理技術者は、工事現場で監督業務にあたる技術者のことで、こちらも選任を受けるには一定の実務経験や資格が必要になります。
3-2.申請に必要な書類
建設業許可を得られる営業所の条件を満たしていると確認ができたら、次に必要な書類をそろえます。書類は、
- 経営業務の管理責任者にかかわる書類
- 専任技術者にかかわる書類
- 財産や金銭的な信用にかかわる書類
- 営業所にかかわる書類
などで、都道府県によって書式などが異なります。ですから、事前に建設業許可を申請代行してくれる業者や行政書士などに相談し、必要な書類の種類や記入方法などを調べておきましょう。書類がそろうまで1~3か月ほどかかることもありますので、時間に余裕をもって準備してください。なお、この書類は変更届・更新届の際にも必要になるものもあります。許可を得た際に確認しておくとよいでしょう。
3-3.申請までの流れ
書類がすべてそろったら、各自治体の受付窓口に書類と共に申請書を提出します。受理されれば審査が開始されますので、結果が出るまで待ちましょう。大臣許可が出るまでには2,3か月、都道府県知事許可の審査が出るまでは1か月くらいはかかるとみておいてください。自治体によって多少期間が異なりますので、早めに申請をしておくことが大切です。
3-4.申請にかかる費用
建設業許可の申請にかかる費用は、以下のとおりです。
- 大臣許可で一般または特定のどちらかを申請:15万円
- 大臣許可で一般と特定の両方を申請:30万円
- 知事許可で一般または特定のどちらかを申請:9万円
- 知事許可で一般と特定の両方を申請:18万円
大臣許可にかかる費用を「登録免許税」と言い、申請が却下されれば返還されます。知事許可の場合は「許可手数料」と言い、こちらは申請が却下されても返還されません。これ以外に、申請代行業者や行政書士に支払う費用などもかかります。
3-5.申請に関する相談ができる場所
建設業許可の申請は必要な書類なども数多く、知識のない方だけで行うことは大変です。そのため、各都道府県に建設業許可のサポートセンターがあります。まずはそこで相談をしましょう。また、申請代行業者や建設業許可の申請を数多く行っている行政書士などに、申請を代行してもらう方法もあります。なお、ここでは更新や変更届に関する相談もできますので、何かあったら相談するとよいでしょう。
4.建築業許可の申請に関するよくある質問
この項では、建築業許可の申請に関する質問を紹介します。
Q.材料費だけで500万円を超えてしまう工事の場合も許可が必要ですか?
A.はい。建築工事一式以外ならば必要です。
Q.建築業許可を至急に取ることはできませんか?
A.自治体によって対応が異なります。大きな工事ほど急な申請は難しいでしょう。
Q.大臣許可と知事許可はどちらか1つしかとれませんか?
A.はい。そのとおりです。
Q.営業所ごとに大臣許可と知事許可を使い分けることはできますか?
A.できません。
Q.複数の工事を請け負っている場合、工事ごとに大臣許可・知事許可を使い分けられますか?
A.それも不可能です。1つの営業所が大臣許可を取得した場合、すべての営業所・工事で大臣許可を取らなくてはなりません。
まとめ
いかがでしたか? 今回は建設業許可の必要性や種類・取得方法などを紹介しました。建設業許可は複数の種類があり、ややこしいように思えますが、知識がある人に相談すればスムーズに申請が行えます。迷ったら相談することも考え、時間に余裕を持って相談してください。
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