鋳鉄製ボイラーの構造や特徴とは? 用途とともに紹介

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鋳鉄製ボイラーは、暖房用や給湯用として私たちの身近に使われているボイラーの一種です。
その歴史も長く、20世紀初頭には暖房用として一般家庭にも普及していました。
そこで、今回は鋳鉄ボイラーの特徴や構造をご紹介します。
鋳鉄製ボイラーは、なぜ給湯用や暖房用にしか使われないのでしょうか?
その理由も、この記事を読めばわかります。
ボイラー関係の資格を取得したい方や実際に鋳鉄製ボイラーを使っているという方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

  1. 鋳鉄製ボイラーとは?
  2. 鋳鉄製ボイラーのメリット・デメリットとは?
  3. 鋳鉄製ボイラーを扱うにはどうしたらいいの?
  4. ボイラーの整備点検の仕方
  5. ボイラーと普通の給湯器や暖房の違いとは?
  6. おわりに

1.鋳鉄製ボイラーとは?

鋳鉄製ボイラーとは、鋳鉄で製造されたボイラー全般を指します。
主に暖房用や給湯用の低圧ボイラーとして使われているのです。
法令で構造規格が定められており、暖房用の蒸気ボイラーで最高使用圧力0.1MPa以下。
給湯用の温水ボイラーで0.5MPa以下、そして温水温度も120℃以下と定められています。
構造は、鋳鉄製のセクションという部品を複数前後につなげて作られているのです。
ニップル、吹き出し、返し管といったセクションの名称は、ボイラー技士の試験にも登場します。
燃焼室の上に煙室伝熱面があり、その上に蒸気部連絡口がついた断面図を見たことがある方もいるでしょう。
セクションの連結部は通常が20程度ですが、それより多くても少なくても作れます。
ですから、大きさも比較的自由になりやすいでしょう。

2.鋳鉄製ボイラーの特徴とは?

鋳鉄製ボイラーは、前述のようにセクションを組み立てて作ります。
ですから、運搬や組み立てが容易なので、どんな場所にも比較的設置しやすいというメリットがあるのです。
給湯用や暖房用のボイラーというのは、集合住宅用のものから一般住宅用のものまで、大きさや容量もさまざまなものが必要でしょう。
でも、鋳鉄製ボイラーでしたら部品を組み合わせるだけで、容量や大きさが変えられます。
ですから、ボイラーの形も立てボイラー、炉筒ボイラー、炉筒煙管(えんかん)ボイラーなどいろいろなものがあるでしょう。

3.鋳鉄製ボイラーのメリット・デメリットとは?

では、鋳鉄製ボイラーにはどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか?
この項で詳しくご紹介します。

3-1.鋳鉄製ボイラーのメリット

鋳鉄製ボイラーは、その性質上鋼製のボイラーよりも腐食しにくく、寿命が2~3年長い傾向にあります。
さらに、製造費は鋼製に比べると安価。ですから、大量生産に向いています。
そして、能力当たりの形状が小さくてすむので場所も取りません。
また、セッションを組み合わせて作りますから、一部が壊れてもそこだけ取り換えればすむでしょう。
そして、セクションの組み合わせを変えれば、容量も自由に変更できます。
そのため、部品の組み合わせしだいで、いろいろなボイラーが作れるのです。

3-2.鋳鉄ボイラーのデメリット

さて、前の項で鋳鉄ボイラーはさまざまなセッションを組み合わせて形を作る、とご説明しました。
これが、鋳鉄ボイラーのデメリットでもあります。
鋳型は、どうしても接合部分が弱くなるのです。
そのため、高い圧力をかければボイラー自体が破損する恐れが出てきます。
ですから、ボイラーは低圧力のものしか使えません。
鋳鉄ボイラーが蒸気機関車や発電所に使われるということはないのです。
また、セクションを組み合わせて形作るので、構造が複雑になりがち。
そのため、掃除や点検が困難になりがちです。
ですから、水の不純物が中に入ってしまうと、あっという間に故障の原因になるでしょう。
そのため、ボイラー水を循環使用するしかできないのです。
また、鋳鉄製ボイラーは長期間の運転には向きません。
ですから、暖房用や給湯用に用いられるのです。

4.鋳鉄製ボイラーを扱うにはどうしたらいいの?

さて、このように低圧力の鋳鉄製ボイラーですが、だからといって誰にでも扱えるわけではありません。
ボイラーを扱うにはボイラー技士という資格が必要です。
給湯器や暖房機というとどこのご家庭にもあるので、つい電化製品と同じような感覚で使ってしまいたくなる方もいるかもしれません。
ですが、いくら低圧力とはいえボイラーはボイラーです。
不用意に運転して事故が起こった場合は、爆発する可能性もゼロではありません。
さらに、鋳鉄製ボイラーは掃除や点検が大変というデメリットもあります。
ですから、必ずボイラー技士に扱いを任せてください。

5.ボイラーの整備点検の仕方

さて、鋳鉄製ボイラーも定期的な点検や整備が必要です。
この場合は、ボイラー整備士やボイラー溶接士に依頼する必要があります。
ボイラー技士はあくまでもボイラーを取り扱う資格であり、ボイラーの設備やボイラーの修理や整備士や溶接技士の役目なのです。
めんどうだと思う人もいるかもしれませんが、ボイラーを安全に使うためには必要なこと。
しかし、鋳鉄製ボイラーは解体や持ち運びが楽ですから、ボイラーを製造販売している業者が、整備や点検を請け負ってくれることもあります。場合によってはボイラーの一部を取り外して修理してくれるでしょう。
このようなことができるのも、鋳鉄製ボイラーのメリットです。

6.ボイラーと普通の給湯器や暖房の違いとは?

給湯というと、私たちが真っ先に思い浮かべるのが給湯器でしょう。
一般のご家庭ではガス給湯器や電気給湯器が使われていると思います。
ですから、給湯器のためにボイラーを使うの?と思われる方もいるかもしれません。
確かに、少人数のご家庭ではボイラーよりも給湯器の方がランニングコストも安いですし便利でしょう。
しかし、大人数が一度にお湯を使ったりする場合は、給湯器では間に合いません。
ですから、旅館や病院など一度にたくさんお湯を使う施設は、給湯器でなくボイラーを使っていることが多いのです。
さらに、東北や北海道などの北国は、冬にたくさんのお湯を使います。
この場合も、小型の灯油ボイラーを使うことが多いでしょう。
電気やガスに比べて灯油の方がランニングコストは高いため、光熱費が安くすむのです。
また、暖房も広い施設を一度に温める場合は、エアコンよりもランニングコストがよいでしょう。
これも、病院など冬でもある程度の温度を保つ必要がある施設では、ボイラーによる暖房が使われることが多く、ボイラー技士もそれだけ需要があります。

7.おわりに

いかがでしたか?今回は鋳鉄製ボイラーの構造や特徴、さらにメリット・デメリットなどをご紹介しました。
鋳鉄製ボイラーは使われているところも多いので、ボイラー技士やボイラー整備士の資格を取得すると目にすることも少なくありません。
鋳鉄製ボイラーは圧力こそは低いものの、ボイラーのつなぎ目が劣化しているとそこから蒸気などがもれて、事故の原因になります。
ですから、鋳鉄製ボイラーを扱う際はメンテナンスをしっかりと行いましょう。
また、鋳鉄製のボイラーは鋼製のボイラーに比べて強度がありません。
そのため、セクションを組み立てるときに部品をぶつけたりどこかに落としたりしてしまうと、底にひびが入ったりすることもあるでしょう。
ですから、鋳鉄製とはいえ丁寧に扱ってください。
また、鋳鉄製のボイラーは夏になると使われなくなることも少なくありません。
再始動するときにもきちんと点検はしましょう。使っていない間に不具合が起きている可能性もあるのです。

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