高圧ガス保安監督者になるのに必要な資格は? 選任条件を詳しく解説
2018/08/02
高圧ガス保安監督者、この職種について詳しく知っていますか? 具体的な選任基準や職務について理解している方は意外と少ないかもしれませんね。それもそのはず、直接法律に定義がないこの職種は混乱を招くこともあります。
そこで今回、高圧ガス保安監督者が選任できる事業所や、選任を受けられる人の条件を明確に説明します。
この記事を通して、あなたの疑問が解消され、理解が深まることを願っています。一緒に学んで、安全で効率的な職場環境作りに貢献しましょう!
1.高圧ガス保安監督者の基礎知識
はじめに、高圧ガス保安監督者の定義やほかの保安関係の職種との違いを解説します。
1-1.高圧ガス保安監督者とは、どんな職種?
前述したように、高圧ガス保安監督者とは保安統括者等の代わりに高圧ガスを製造する事業所で、保安に関する職務を監督する職種です。保安技術管理者や保安主任者・保安係員の仕事内容を把握し、その成果を確かめ、改善点を確認していくのも仕事になります。
1-2.保安監督者とそのほかの保安責任者との違い
高圧ガスを製造する事業所では、保安統括者や保安技術管理者・保安主任者・保安係員などの選任が高圧ガス保安法によって、義務づけられています。しかし、前述したように高圧ガス保安監督者は、法律による定義はありません。そのため、基本的に選任しても自治体への届出は不要です。しかし、自治体によっては独自の条例で、届出をするように定めているところもあります。保安監督者を選任したら、まずは届出が必要かどうか自治体の産業保安課などに確認してください。
1-3.基本的に講習などは受ける必要はない
高圧ガス保安監督者は、保安統括者と同様、選任を受けるのに資格は必要ありません。また、講習等も受けなくても大丈夫です。ただし、無経験で高圧ガスに対して何の知識がない人が、選任を受けることもできません。次の項で、選任条件を詳しく説明していきます。
2.高圧ガス保安監督者の選任条件
この項では、高圧ガス保安監督者を選任できる事業所の条件や、それぞれの施設で選任を受けられる人の条件を紹介します。
2-1.製造しているガスの種類や設備による区分
高圧ガスを製造している事業所の中で、保安監督者の選任ができる設備やガスの種類の区分は、以下のとおりです。
- 移動式製造設備により、六フッ化硫黄ガスや空気、液化酸素・液化窒素・液化アルゴン・液化ヘリウム・液化フルオロカーボン・液化炭酸ガスを製造している
- 気化器や減圧弁により、酸素ガス・窒素ガス・アルゴンガス・ヘリウムガスを製造している
- 気化器や減圧弁、またはこれらと同様の機能を有するバルブ(気化器)で炭酸ガスを製造している
- 1日の冷凍能力が10トン未満の冷凍設備を使用し、気化器等に付属する液化炭酸ガスの貯蔵設備内の当該ガスを冷却している
2-1-1.監督者の選任を受けられる人の条件
- 大学や専門学校で、理学や工学に関する課程を修めて卒業した人
- 2-1で説明した気体の製造もしくは販売の経験が6か月以上ある人
- 高校で工業に関する課程を修めて卒業するか、高圧ガス保安協会が行う特定高圧ガスの取扱いに関する講習の課程を修了した人。ただし、特定高圧ガスの製造か消費 に関する経験が6か月以上あることが条件
2-2.呼吸用空気を充てんする製造設備
処理能力が1,000㎥/日未満のスクーバダイビング用等呼吸用の空気を、容器に充てんするための定置式製造設備。ただし、当該設備内の圧力が常用の圧力を超えた場合、自動的に充てんを停止する機能を備えた設備がある場合に限ります。
2-2-1.保安監督者の選任を受けられる人の条件
- 大学や専門学校で、理学や工学に関する課程を修めて卒業した人で、スクーバダイビング用等呼吸用の空気の製造に関する経験が、6か月以上ある人
- 高圧ガス保安責任者の資格区分の内、甲種化学・乙種化学・丙種化学・甲種機械・乙種機械責任者免状の交付を受けた人。ただし、スクーバダイビング用等呼吸用の空気の製造に関する経験が、6か月以上あることが条件
- スクーバダイビング用等呼吸用の空気の製造に関する経験が、1年以上ある人
2-3.天然ガス・圧縮水素・液化石油ガスを燃料として車両に充てんする場合
処理能力が25万㎥/日未満の事業所において、もっぱら天然ガスを燃料として使用する車両に固定された容器の中に天然ガスを充てんする場合。また、圧縮水素(常用の圧力 82MPa 以下)・液化石油ガスを燃料としている場合も保安監督者を選任できます。
2-3-1.保安監督者の選任を受けられる人の条件
高圧ガス保安責任者の資格区分の内、甲種化学・乙種化学・丙種化学・甲種機械・乙種機械責任者免状の交付を受けた人。ただし、可燃性ガスの製造に関して6か月以上の経験があることが必要です。なお、液化石油ガスを燃料として使用する設備において保安監督者の選任を受ける場合は、液化石油ガスの製造に関して6か月以上の経験があることが必要になります。
2-4.充てん設備により製造する場合
液石法第37条の4第1項に定められた充てん設備により製造する場合。
2-4-1.監督者の選任を受けられる人の条件
液石法第37条の5第4項の講習(充てん作業者講習)の課程を修了した人であれば、選任を受けることができます。なお、充てん作業者講習は、高圧ガス保安協会が主催しており、受講資格は定められていません。詳しくはリンク先を参照してください。
2-5.高圧ガス保安責任者の資格について
高圧ガス保安監督者の選任を受けたい場合、まず高圧ガス保安監督者の資格を取得するのがおすすめです。取得すれば、仕事の幅も広がります。資格を取得するには、高圧ガス保安協会が主催する試験を受けて、合格すれば取得可能です。受験資格は定められていません。こちらの記事に、試験内容や勉強のコツなどが詳しく記載されているので、ぜひ併せて読んでみてください。
3.高圧ガス保安監督者に関するよくある質問
この項では、高圧ガス保安監督者に関するよくある質問を紹介します。
Q.高圧ガス保安監督者を選任できる施設でも、保安統括者を選任することはできるでしょうか?
A.はい。それは問題ありません。
Q.高圧ガス保安監督者の雇用形態に決まりはありますか?
A.法律による決まりはありませんが、正社員でなければ務まりません。
Q.高圧ガス保安監督者は何名選任すればいいでしょうか?
A.事業所ごとに1名以上の選任が必要です。
Q.高圧ガス保安監督者は、条件を満たしていれば若い人でも選任できますか?
A.可能ですが、立場上30~40代以降の方が適しているでしょう。
Q.高圧ガス保安責任者は、学生でも取得可能ですか?
A.はい。受験資格は定められていないので大丈夫です。
まとめ
いかがでしたか? 今回は、高圧ガス保安監督者について解説しました。法律では定義されていない職種ですが、選任条件などは定められています。高圧ガス保安責任者の資格を有して一定の経験を積めば、選任を受けることができるので、まずは資格取得を目指しましょう。
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