丸ボイラーってどんなボイラーなの?構造や仕組みをわかりやすく解説!

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ボイラーという名前を聞いたことがある方は多いでしょう。液体がboilする(沸騰する)、つまり水蒸気や温水をつくる機器のことです。でも、詳しいこととなると、よくわかりませんよね。ボイラーは、私たちの暮らしになくてはならない存在です。ここでは、ボイラーの種類の1つである丸ボイラーの構造や種類を中心に紹介します。

  1. ボイラーとは
  2. 丸ボイラーの仕組み・構造
  3. 丸ボイラーの種類
  4. ボイラー技士
  5. まとめ

1.ボイラーとは

ボイラーとは、燃料を燃やして水蒸気や温水をつくる熱交換装置をもった熱源機器のことをいいます。水蒸気をつくるボイラーは蒸気ボイラー、温水をつくるボイラーは温水ボイラーです。
普段、私たちがボイラーを目にする機会はほとんどありません。でも、工場やオフィスビル、地域冷暖房などになくてはならない機器です。私たちの暮らしを支える縁の下の力持ちといった存在といえるでしょう。
ボイラーの定義は、次の3つの当てはまるものとされています。

  • 火気、高温ガスまたは電気を熱源とするもの
  • 水または熱媒(ねつばい=熱を伝える仲介物質)を加熱して、蒸気または温水をつくる装置であること
  • 蒸気または温水をほかに供給する装置であること

ボイラーは、規模によってボイラー(大規模なボイラー)、小型ボイラー、簡易ボイラーの3つに分類されます。
また、構造の違いでいくつか種類も。代表的なボイラーの1つが、今回紹介する丸ボイラーです。

2.丸ボイラーの仕組み・構造

丸ボイラーは、円筒形をしたボイラーのことです。水を満たした鋼鉄製の筒を主体にしてつくられています。円筒の直径は1~3m。構造上の制約から、ボイラーのなかでも、中小規模のものが大半です。
円筒内に水を満たし、その中に煙管(えんかん)や炉筒(ろとう)を入れます。そして、火格子(燃料を載せる格子状の装置=ロストル)で、燃料を燃やすようにしているのが基本的な構造です。円筒を縦にした下部に焚(た)き口を設けたのが立て型、円筒を横にしたのは横型と呼ばれています。
丸ボイラーの特徴は、次のような点です。

  1. 構造が簡単で設備が安い。
  2. 伝熱面積当たりの保有水量が比較的に多い。
  3. 負荷の変動による圧力・水位の変動が少ない。
  4. 構造にもよるが、筒内に入って水あかの除去ができ、点検・掃除が容易である。
  5. 寿命もほかのボイラーに比べて長い。

一方で、デメリットもあります。

  • 起動から蒸気発生までの立ち上がりが遅い。
  • 保有水量が多いので、もしも爆発が発生すれば、被害が大きくなる側面もある。

3.丸ボイラーの種類

丸ボイラーには、構造によって大きく4つに分類することができます。煙管(えんかん)、炉筒(ろとう)、炉筒煙管(ろとうえんかん)、立ての4つのボイラーです。それぞれの特徴を整理します。

3-1.煙管(えんかん)ボイラー

水を満たした筒に、いくつも煙管(えんかん)を設けて伝熱面を増加し、効率性を高めたボイラーです。煙管(えんかん)の中に、燃焼室の燃焼ガスを通すことで熱します。炉の形状が自由なので、粗悪な燃料にも適用できるのがメリットです。その一方で、構造が複雑でメンテナンスがしにくいという側面も。陸用では、レンガ組みの炉をもつものが多くあります。
代表例は、蒸気機関車のボイラーです。新しくつくられるものもありますが、数としては少なくなっています。

3-2.炉筒(ろとう)ボイラー

円筒形の筒の中に、筒を貫通する炉筒(ろとう=円筒形の燃焼室)を設けたボイラーです。炉筒(ろとう)が1つのものをコルニッシュボイラー、2つのものをランカシャーボイラーといいます。
構造がシンプルで、メンテナンスがしやすいのがメリットです。しかし、効率的でないため、最近では、新しくつくられることはほとんどないといわれています。

3-3.炉筒煙管(ろとうえんかん)ボイラー

炉筒(ろとう)と煙管(えんかん)を設けた内だき式のボイラーです。丸ボイラーのなかで、最も効率がよいボイラーといえます。据え付け面積も少なくて済み、現在、丸ボイラーの主流となっているボイラーです。特に、大容量のビルに採用されています。
近年では、パッケージ形式としたもの、自動化したもの、燃焼効率をより高めたものが作られるようになってきました。

3-4.立てボイラー

筒を直立させ、燃焼室を下に配置したボイラーです。煙管(えんかん)ボイラーのように縦方向の煙管(えんかん)をもつものなど、いくつかのタイプがあります。容量が小さくて済む場合に使われているボイラーです。
効率が悪く掃除もたいへんですが、据え付け面積が少なくレンガ組みも不要なため、移動用などで多く採用されてきました。ただし、小規模な給湯や船舶を除き、現在では、新しくつくられることはほとんどないようです。

4.ボイラー技士

ボイラーは、誰でも取り扱うことはできません。労働安全衛生法には、ボイラーは、ボイラー技士の免許を受けた者でないと、取り扱うことができないと規定されているのです(簡易ボイラーを除く)。
国家資格であるボイラー技士の免許は、特級、1級、2級の3つ。また、ボイラー取扱作業主任者という規定があり、特級と1級、または2級のボイラー技士免所を受けた者から選任しなければならないことになっています。

  • 特級ボイラー技士:すべてのボイラーの取扱作業主任者になれます。
  • 1級ボイラー技士:原則として、伝熱面積の合計が500㎡未満のボイラー取扱作業主任者になれます。
  • 2級ボイラー技士:伝熱面積が25㎡未満のボイラー取扱作業主任者になれます。

ボイラー技士免許は、2級を取得して1級、特級とステップアップしていくといいでしょう。2級ボイラー技士の免許は、小規模ボイラーの取り扱い経験と、試験に合格することが必要です。経験については、都道府県の労働局長に登録している機関の実技講習(3日間)を受けると、経験者として認めてもらえます。
2級ボイラー技士の免許があれば、取り扱うだけならどんなボイラーでも可能です。
免許を取得するため、独学で勉強される方もいます。でも、合格の早道は、やはり教育機関で勉強することです。
ネットで検索すると、専門の教育機関があります。たとえばDVDを使った動画教材などは、とてもわかりやすい内容です。インターネット回線を利用して、パソコンやスマートフォンから、「いつでも、どこでも」学ぶことができるなど、空(あ)いた時間を有効利用した学習もできます。
教育機関を選ぶときの参考にしてはいかがでしょうか。

5.まとめ

ボイラーの種類の1つである丸ボイラーの構造や種類について解説しました。合わせてボイラーを扱うボイラー技士の免許と資格を得るための方法も紹介しています。
ボイラーは、私たちの暮らしに深くかかわっている熱源機器です。ですから、ボイラーやボイラーを扱う人たちの役割を、ぜひご理解していただきたいと思います。
ボイラーにかかわる仕事をしたいと思っている方は、まず2級ボイラー技士の免許にチャレンジしてください。仮に資格が不要な設備でも、資格者を優遇する事業所が増えてきました。熱源機器を扱う仕事には不可欠な資格です。ボイラー技士の資格者となって、ボイラーの役割を世の中に伝える伝道師の役割も果たしてください。

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