ボイラー技士の講習会とは? 講習内容・日程などをチェックしよう!
2018/06/25
「ボイラー技士」は、ボイラーを取り扱うために必要な国家資格の1つで、空調・温水ボイラーの操作や点検を行います。ボイラー技士の資格を取得するためには、試験に合格しなければなりません。また、受験資格として実務経験が必要となります。そこで、実務経験がない方が試験を受けるために必要なのが、「法定講習」なのです。
そこで、本記事では、ボイラー技士の受験資格に必要な実務経験を得るための講習会について解説していきましょう。
この記事を読むことで、ボイラー技士の講習会について詳しく分かります。受験を検討している方や、実務経験がない方はぜひチェックしてください。
1.ボイラー技士講習の基礎知識
まずは、ボイラー技士がどのような資格なのか、受けなければならない講習について解説します。
1-1.ボイラー技士の概要、種類
ボイラーは、燃料を燃焼し生み出した熱を水に伝えて、水蒸気やお湯にする熱源機器です。ボイラーの取り扱いは、「労働安全衛生法」に基づく「ボイラーおよび圧力容器規則」で定められており、ボイラーの設置・定期検査はボイラー技士だけしかできません。誤った取り扱いをすれば、大爆発・火災など大きな事故につながるため、専門知識を持った人が取り扱わなければならないのです。また、ボイラー技士の資格は、特級・1級・2級・ボイラー取り扱い技能講習修了の4種類があります。それぞれ取り扱えるボイラーの範囲が異なるため、注意が必要です。
- 特級ボイラー技士:小規模ボイラーから伝熱面積が500㎡以上
- 1級ボイラー技士:小規模ボイラーから伝熱面積が25~500㎡以内
- 2級ボイラー技士:小規模ボイラーから伝熱面積が25㎡以内
- ボイラー取り扱い技能講習修了:小規模ボイラーのみ
1-2.ボイラー講習の種類を紹介
ボイラー技士の講習会は、さまざまな種類があります。自分が受けたい講習を間違えないように選択しなければなりません。主なボイラー講習の種類と内容を以下にピックアップしたので、ぜひ参考にしてください。
- ボイラー実技講習:ボイラーの取扱経験がない方が実技講習を受講・修了することで、2級ボイラー技士免許に合格すれば免許を得ることができる講習
- 受験準備講習:ボイラー技士免許試験の特級・1級・2級に区分して合格を目指すための受験準備講習会
- 通信教育:2級ボイラー技士免許試験通信講座
- 実践ボイラー教室:ボイラー技士の運転技術を向上させるための教室
- ボイラー・圧力容器の特別教育、技能講習:特別教育・技能講習は法令に基づく就業制限の資格取得のための講習(都道府県労働局長の登録講習)
- 能力向上・安全衛生教育:能力向上教育、ボイラー取扱業務従事者安全衛生教育についての紹介
- 支部開催の技術講習会:専門的・技術的なテーマについての技術講習会(不定期開催)
1-3.ボイラー取扱技能講習会
ボイラー取扱技能講習会は、小規模ボイラー取扱者の資格を取得するために必要な講習会です。小型ボイラー取扱業務特別教育を修了した者は、小規模ボイラーを始め、小型ボイラー・簡易ボイラーの取扱が可能になります。講習を受けるだけで資格が取得でき、受験資格の制限がありません。たとえば、クリーニング店・学校の給食室・病院などで使われる小規模ボイラーだけを取り扱うのであれば、ボイラー取扱技能講習会を受けるだけでOKです。
1-4.ボイラー実技講習
ボイラー実技講習は、受講・修了が免許交付要件の1つとして位置づけられる講習です。前述したとおり、ボイラー技士の資格を取得するためには、実務経験が必要となります。実務経験がない方が2級ボイラー技士の試験に合格しても免状が交付されません。そこで、ボイラー実技講習を受講・修了すれば、実務経験とみなされ、免許が交付されるというわけです。
1-5.受験資格はあるのか?
ボイラー実技講習に受講資格はありません。そもそも、2級ボイラー技士の免許取得のための前提となる講習会となるため、実務経験がない人でも受講できます。ほかに、特別な資格を取得する必要もありませんので安心してください。また、ほかの講習も、ほとんどが受講資格等の制限はありません。ただし、「化学設備関係第一種圧力容器取扱作業主任者技能講習」は、化学設備の取扱作業に5年以上従事した経験が必要です。中には、受講資格がある場合もあるので、詳細は「一般社団法人 日本ボイラ協会」のホームページをチェックしてください。
2.ボイラー実技講習の内容は?
ボイラー技士の資格取得のためには実務経験が必要なので、実務経験がない方はボイラー実技講習を必ず受講しなければなりません。ここでは、気になるボイラー実技講習内容・スケジュールをチェックしておきましょう。
2-1.具体的な講習内容をチェック!
ボイラー実技講習は、3日間かけて行われます。それぞれの内容について詳しく説明しましょう。
2-1-1.講習1日目:座学
はじめの2日間は座学となります。座学1日目は、試験で出題される内容の確認が行われますが、いきなり「縦ボイラー」「貫流ボイラー」などの専門用語が出てくるので、初心者にとっては何を言っているのか分からなくなりがちです。また、説明のスピードが速いこともあり、きちんと確認できないまま次へ次へとすすみます。
2-1-2.講習2日目:座学(テキスト使用)
2日目も続けて座学ですが、ここでは提供されるテキスト「ボイラー実施テキスト」と「ボイラー図鑑」を使用した講義を受けることになります。パワーポイントを使った講義となりますが、1日目と変わらずに専門用語がどんどん出てくるでしょう。そのため、何も理解していない人が聞くとわけが分からず、説明についていけなくなってしまいます。
2-1-3.講習3日目:実習
2日間でボイラー取り扱いの基礎を身につけた後、3日目で実習に入ります。講義を受けた場所から移動し、ボイラー製造メーカーや福祉センターなどで実習を受けることになるでしょう。実際のボイラーを前にした実地講習と、パソコンシミュレーターやボイラーの模型を使用した実習を行います。実際のボイラーを扱う際は、作業前と水高計の点検・バルブ操作・燃焼中の火災の確認作業などを行う内容です。パソコンシミュレーターを使用する場合は、点火作業の手順を学びます。
2-2.講習のスケジュールは?
前述したとおり、講習は3日間にかけて行われますが、それぞれ時間が異なります。3日間にわたる大まかなスケジュールを以下にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
1日目:午前9時〜午後5時まで座学
2日目:午前9時〜午後4時まで座学(テキスト使用)
3日目:1日中実習。午前と午後に分けてパソコンシミュレーターとボイラーの模型または実物の取り扱い方を学ぶ
2-3.受講日程、時間は?
実技講習の日程は、「一般社団法人 日本ボイラ協会」の都道府県支部で異なります。たとえば、東京支部の場合は、毎月に2回実施されており、AとB(どちらも内容は同じ)どちらかのコースを選ぶ仕組みです。年度内(4~3月)に限り、都合の良い開催日を組み合わせて、3日間受けることもできます。ただし、定員が毎回80人と決まっているので、早めに申し込みをしたほうが確実です。また、講習時間は20時間と法令で定められています。つまり、必ず20時間講習を受けなければ、2級ボイラー技士の資格が取得できません。
3.ボイラー実技講習の受講方法は?
それでは、ボイラー実技講習の受講方法をチェックしていきましょう。
3-1.受講概要
実地日程・場所、申し込み方法・受講料、持ちもの、服装について説明します。
3-1-1.実施日程、場所
前述したとおり、実施日程は各都道府県によって異なります。具体的な日程を知りたい方は、都道府県支部のページをチェックしてください。また、受講場所は、都道府県支部になるケースがほとんどです。具体的な場所と詳細に関しては、「一般社団法人 日本ボイラ協会」のホームページを確認してください。
3-1-2.申し込み方法、受講料
申し込みは、窓口・郵送・FAXの3つの方法があります。
- 窓口:申込書に必要事項を記入し本人確認証(運転免許証など)と受講料を添えて東京支部窓口へ提出
- 郵送:現金書留にて受講料と申込書・本人確認証を支部住所まで郵送
- FAX:振込口座に受講料を振り込み、申込書と本人確認証をFAXで送る
また、気になる受講料は、21,600円(税込)となります。受講料の中に教材費(テキスト代)は含まれていないので、別途お金が必要になるでしょう。
3-1-3.持ちもの
基本的に、特別なものは必要ありませんが、以下のものを用意しておくと良いでしょう。
- メモを取るノート
- 用意したテキスト
- 筆記用具
- 本人確認証
講習を受けるためには、必ず「本人確認証」が必要となります。本人確認証とは、氏名・生年月日および住所を確認できる書類(マイナンバーが記載されていないもの)です。たとえば、自動車運転免許証の写し・住民票・健康保険被保険証の写しなどがあります。申込時に本人確認証が必要になるため、事前に用意しておきましょう。
3-1-4.どんな服装が良いのか?
「実際にボイラーを扱うなら汚れるのでは……」と心配になりますが、普段着で問題ありません。汚れる心配はほとんどないので、動きやすいラフな格好で受講してください。女性の場合は、スカートではなくズボンのほうがベストでしょう。心配な方は、実習を行う3日目だけ汚れても良い服装で参加すると安心です。
3-2.受講前にしておくべき準備は?
1日目の座学から、ボイラー技士の専門用語が飛び交います。せっかく高い受講料を支払って受けるのですから、事前に予備知識を習得したほうが講師の話も分かりやすくなるでしょう。ボイラー技士について深く知る必要はないですが、最低でも専門用語の意味だけは理解しておくことをおすすめします。また、時間に余裕があるなら、購入したテキストを一読しておくとさらに内容が理解しやすくなるはずです。
4.ボイラー技士に関してよくある質問
ボイラー技士に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
Q.ボイラー実技講習は試験に役立つのか?
A.実技講習は試験対策ではなく、あくまで試験を受けるための事前講習的な位置づけとのことです。そのため、実務経験がない方が受講します。もし、試験対策として講習を受けたい場合は、受験準備講習を受けると良いでしょう。「一般社団法人 日本ボイラ協会」では、不定期に開催されているので、実技講習を終えた後はこちらに参加するのも試験対策の1つです。
Q.座学では具体的にどんなことを学ぶのか?
A.学科(座学)では、「燃焼」「附属設備および附属品の取り扱い」「水処理および吹出し」「点検および異常時の処置」を学ぶことになります。これらの科目には、たくさんの専門用語が出てくるので、事前に自分で学び理解しておいたほうが良いでしょう。実習中は分からないところがあっても次々と話がすすむので、質問をする暇がありません。注意してくださいね。
Q.講習当日の注意点は?
A.遅刻・早退は認められないので注意してください。講習時間は20時間と法定で決められているため、1日数時間でも講習を受けることができなければ、講習修了証がもらえません。事前に支払った受験料も無駄になってしまうので注意が必要です。
Q.実習で知識を習得するポイントは?
A.試験対策につなげるため、あまった時間は使用したテキストの復習に充てると良いでしょう。分からないところがあれば、最終日の空いた時間に尋ねることができる可能性もあります。特に、テキストとして使用する「ボイラー図鑑」は写真が大きいので、しっかり写真を見て実物で実際の感覚を感じ取りましょう。
まとめ
ボイラー技士の受験資格には、実務経験があります。実務経験のない方は、最初に試験の前提講習として「ボイラー実技講習」を受けなければなりません。3日間かけて行われる講習を受ければ、最終日に講習修了証が与えられ、ボイラー技士受験資格を得ることができます。また、実技講習は各都道府県の日本ボイラ協会支部で異なるため、事前の確認も必要です。不明な点があれば、お住まいの地域の支部に問い合わせてください。
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