ビルメンは女性でもなれるのか? 将来性・資格取得のメリットなど解説
2017/09/11
2021/04/07
ビルメンテナンスは、ビル・商業施設・工場などの建築物を使用し、維持・管理するために必要な作業を行うことです。省略して「ビルメン」と呼ばれており、男性だけでなく女性も活躍しています。まだ、女性ビルメンの数は少ないですが、十分に活躍していける職場です。しかし、昇給・昇格を目指すためには、ビルメンに役立つ資格が必要となるでしょう。そこで、本記事では、ビルメンの基礎知識・仕事と職場・女性のビルメン・おすすめの資格について説明します。
この記事を読むことで、女性のビルメンについて知ることができます。資格取得や就職・転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
1.ビルメンの基礎知識
ビルメンとは、一体どのような仕事なのでしょうか。働きたいと思っている方は、ビルメンの基礎知識を身につけることが大切です。主な職務・種類と分類について説明します。
1-1.ビルメンとは
ビルメンテナンス・ビル管理・建築物管理のことを省略して「ビルメン」と呼んでいます。不特定多数の人が出入りする施設は、きちんと維持・管理するために清掃・点検・修繕などを行わなければなりません。それらの業務を行うのが、ビルメンです。
また、「ビル管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)」において、床面積が3,000㎡以上のビルは管理方法が定められています。
1-2.主な職務
ビルメンの主な職務は、建築物の清掃・点検・修繕などの業務です。建築物を利用する人たちが快適かつ安全に過ごすための職務を担当することになります。具体的な内容としては、清掃・衛生管理、設備管理、常駐警備・防災、管理サービスの4つに分かれているので、以下に詳細をピックアップしてみました。
- 清掃・衛生管理:建築物の内部やその周辺を保つための作業を行う。廃棄物の分別回収・衛生害虫害獣の侵入防止など
- 設備管理:電気設備・空気調和設備・衛生設備・防災防犯設備・搬送設備などの総合管理・運転監視・定期点検を行う
- 常駐警備・防災:事件・事故・火災などの災害を防ぐための監視・巡回や、カギ・セキュリティーカード・駐車場の管理業務などを行う
- 管理サービス:エレベーターや郵送物の管理、テナントとオーナーの仲介などを行う
1-3.種類・分類
ビルメンに種類はありませんが、事業者によって特徴があります。どの事業者に属するのかによって、担当する建築物が異なるのです。以下に、主な事業者とそれぞれの特徴をピックアップしてみました。
- 不動産系:不動産会社が所有・運営している建築物が対象。営業・経理・事務・対外交渉などのビルマネジメント事業を主とした会社と、清掃・警備・設備管理などの現業部門の会社を有している場合がある
- ゼネコン系:ゼネコンが施工した建築物が対象。一般的な建築物管理業務だけでなく、改修・改造工事も行っている
- メーカー系:電機メーカー・計装メーカー系列で、一般的な建築物管理業務だけでなく、エレベーター・エスカレーター・電力機器などの整備・修理も行っている
- 金融系:金融機関の保有する本・支店・コールセンターなどの建物や、出資している施設などが対象
- 商業系:大手チェーンストアの店舗やショッピングモール・娯楽施設などが対象
- 鉄道系:鉄道施設・駅ビル・百貨店・ホテルなどの建築物が対象
2.ビルメンの仕事・職場について
ビルメンの主な職場・仕事内容・メリットについて詳しく説明します。
2-1.主な職場
ビルメンの主な職場は、オフィスビル・商業施設・事業所・工場などです。不特定多数の人が出入りする場所の設備管理を行います。また、建築会社・ビルメンテナンス会社・ビル管理会社など、勤め先もさまざまで、中には職場を転々としながら実績を積む人もいるのです。さまざまな現場で培った技術を生かしています。
2-2.仕事内容
ビルメンの主な仕事は、設備管理・清掃・警備の3点です。ビルには空調・電気・水道などのさまざまな設備が備えられています。これらの設備は、定期的な保守点検が必要とされており、ビル管理法でも定められているのです。きちんと保守点検を行わなければ、空調が効かない・電気が使えない・水が漏(も)れたなどのトラブルが起きてしまいます。ビルメンは保守点検を行い、異常が見つかったときにはすぐに対処しなければなりません。
2-3.メリット
ビルメンの業務自体は、無資格でも行えるものです。しかし、ビルに備えつけられている電気設備・空調設備の点検、ボイラーの取り扱いや保安業務など、資格を持っている人だけしかできない業務がたくさんあります。無資格でもビルメンとして働けるという考えは、持たないほうが良いでしょう。
また、資格を取得することで、転職・就職に役立ちます。ほとんどの企業は無資格者よりも有資格者を欲しがっているため、好きな職場を選ぶことができるでしょう。転職・就職に役立つだけでなく、資格手当など、給与面にも大きなメリットがあります。
3.女性とビルメンについて
ビルメン業界は男性の世界と思いがちですが、女性のビルメンも増えてきています。ここでは、女性ビルメンの割合、メリット・デメリット、将来性についてチェックしていきましょう。
3-1.女性ビルメンの割合
女性の社会進出が目立つようになった現代、ビルメンとして働く女性も増えてきました。企業の中でも、女性を募集しているところはありますが、まだ少ないのが現状です。ビルメン事業を行っているある企業では、約500人の社員のうち女性社員が5人なので、約1%が女性ビルメンの割合となります。男性よりも圧倒的に少ないですが、女性でも活躍できる現場といえるでしょう。
3-2.女性ビルメンのメリット・デメリット
女性ビルメンの大きなメリットは、女性目線での細かな作業ができる点です。
たとえば、女性向けのアパレルショップが多数入っているビルでは、女性目線で考えることが多いでしょう。女性が使用したらどう思うのか、トイレの清掃品質・空調調整・照明によるお肌への影響など、女性視点で考えることができます。男性では分からないことが、女性ビルメンの場合はすぐに気づけるのです。
デメリットといえば、力仕事や体力関連での不安となります。ビルメンに力仕事はほとんどありませんが、夜勤があるところもあるため、体力に不安を抱えることもあるでしょう。
3-3.今後どうなるのか、将来性について
今後、ビルメンの質が求められるといわれています。どうすれば建築物を長く使用し続けられるのかに重点を置くオーナーが増えてきているため、質の高いビルメンを採用する傾向があるのです。そのため、細かな点に気づくことのできる女性ビルメンは、将来性があります。女性の顧客をつかみたい企業・会社も多いため、女性視点から考えられるビルメンが求められるのです。
4.ビルメンにおすすめの資格について
ビルメンが取得すれば役立つ資格は、一体どのようなものなのでしょうか。資格概要・取得方法・実務経験などについて説明します。
4-1.どんな資格があるか
ビルメンに必要な資格は、さまざまな種類があります。建築物の維持・運営にたずさわる仕事だからこそ、資格も幅広いのです。では、どのような資格があるのでしょうか。
4-1-1.資格の重要性
「資格を取得しなくても大丈夫」と考える方はいますが、取得したほうが仕事に役立ちます。たとえば、電気工事士という資格を取得すれば、電気設備の工事を自分の手で行うことが可能です。つまり、職務に必要な資格を取得すれば、万一に不具合が起きたときでも適切な対処ができるでしょう。幅広い業務ができ、企業・会社からも重宝されます。
また、現在は、無資格者がビルメンの仕事に就けるかどうかも分かりません。資格を取得しておけば、転職・就職もしやすくなります。
4-1-2.ビルメン4点セットとは
ビルメンに必要な資格といえば、「ビルメン4点セット」が代表的です。ビルメン4点セットは、2級ボイラー技士・危険物取扱者乙種4類・第2種電気工事士・第3種冷凍機械責任者となります。それぞれの内容について、以下にピックアップしてみました。
- 2級ボイラー技士:小規模ボイラーから伝熱面積25㎡以内のボイラーを取り扱うことができる
- 危険物取扱者乙種4類:ガソリン・灯油・軽油などの危険物を取り扱うことができる
- 第2種電気工事士:一般住宅・店舗など600V以下で受電する設備工事に従事できる
- 第3種冷凍機械責任者:冷凍機器に関係する高圧ガス製造施設などで保安業務ができる
4-1-3.上位資格について
ビルメン4点セット以外に、ぜひ取得してほしい上位資格があります。それは、「建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士・ビル管理技術者)です。ビル管理のエキスパートともいえる国家資格で、建築構造・設備・室内環境・衛生に関する知識を有します。主に、ビル管理に関わる仕事の監督作業です。現在は、法律によって、面積が3,000㎡以上の店舗・事務所・博物館・ホテル、または、8,000㎡以上の学校施設に選任しなければなりません。ビルメン4点セットよりも、需要が高まる資格といえるでしょう。
4-2.資格取得方法
資格を取得するためには、試験に合格しなければなりません。それぞれの資格によって、主催団体・受験資格・試験内容などが異なるので注意してください。ビルメン4点セットと建築物環境衛生管理技術者の資格試験主催団体は、以下のとおりです。
- 2級ボイラー技士:安全衛生技術試験協会
- 危険物取扱者乙種4類:消防試験研究センター
- 第2種電気工事士:電気技術者試験センター
- 第3種冷凍機械責任者:高圧ガス保安協会
- 建築物環境衛生管理技術者:日本建築衛生管理教育センター
それぞれのホームページに、資格試験の内容が記載されていますので、ぜひチェックしてください。
4-3.実務経験について
ビル4点セットの資格試験に関しては、受験資格がありません。未経験者でも受験できる試験となっています。しかし、建築物環境衛生管理技術者などの上位資格には、受験資格に実務経験が必要です。最低でも、ビルメンテナンスの仕事に就いて2年以上の経験が必要となります。また、厚生労働省令で定められた建築物の用途部分において、同省令の定める実務に従事しなければなりません。
5.女性とビルメン、資格に関してよくある質問
女性とビルメン、資格に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
Q.女性ビルメンの需要が高い職場とは?
A.女性が多く出入りする商業施設・ホテル・旅館や女子寮などは、女性ビルメンの需要が高いといえるでしょう。女性限定の場所はもちろんのこと、最近では、女性の意見を重要視する職場も増えてきました。さまざまな職場で、活躍できる可能性はあります。
Q.ビルメンの平均年収が知りたい
A.ビルメンの平均年収は、約300万~500万円です。実績や経験を積んでいる人ほど、昇給・昇格が期待できます。また、経験を積みながら資格を取得している人も多いのです。
Q.ビルメンに必要な能力とは?
A.ビル設備管理に関する専門的な知識はもちろんのこと、トラブル対応時における適切な判断力やコミュニケーション能力も必要となります。テナントとオーナーとの橋渡しも大切な仕事なので、さまざまな人と交流する機会が増えるでしょう。
Q.どの資格を取得したら良いのか?
A.複数の資格を取得するのも良いですが、まずは自分がやりたい仕事に適した資格を取得しましょう。たとえば、電気設備関連の仕事がしたい場合は「電気工事士」の資格、ビル設備管理の監督をしたい方は「建築物環境衛生管理技術者」の資格がおすすめです。
まとめ
ビルメンは男性の仕事と思いがちですが、女性でも活躍できる職場です。女性ならではの細かい部分に気づくことができ、細やかな作業ができると重宝されています。ビルメンに必要な資格を取得しておけば、転職・就職にも役立つでしょう。ビルメンとして働きたい女性は、働くために必要な知識と取得すべき資格を把握してくださいね。
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