カーテンウォールの特徴や種類は? ビル管理技術者に必要な知識

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皆さんは「カーテンウォール」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。このカーテンウォールの知識は、建築物環境衛生管理技術者にも求められます。この記事では、カーテンウォールの特徴や種類についてまとめました。

  1. カーテンウォールとは?
  2. カーテンウォールの特徴
  3. カーテンウォールの種類
  4. カーテンウォールの工法

1.カーテンウォールとは?

カーテンウォールとは、非耐力壁の総称です。住まいの中で使っているカーテンのように重さが少ないのが特徴となります。

また、建築構造上取り外しも可能となっているのが特徴です。カーテンウォールは、建築物へ重さを負担しないように開発されました。建築物へ荷重の負担を掛けない柔構造の高層建築物に使われています。近年のガラス張りの超高層ビルは、大半がカーテンウォール工法で作られているのです。

カーテンウォールとは、非耐力壁のことなんですね。
はい。高層ビルなどに多く使われています。

2.カーテンウォールの特徴

2-1.建築物への重さを減らす

カーテンウォール最大の特徴は、建物への重さを減らす点となります。普通の建築物では、耐久壁を含めた土台や柱、梁(はり)全体が建築物へ重さの負担を掛けているもの。しかし、カーテンウォールの外壁材を使えば重さを減らすことができます。

カーテンウォールでは、骨組みだけを作って重さを土台、柱などにゆだねるのです。その骨組みにブロックやガラスを付けていきます。そのため、重さを軽減することに成功しているのです。

2-2.外壁の軽量化につながる

カーテンウォールは、非耐久壁と呼ばれる軽い壁となっています。軽い壁のため、高層ビルなど高い場所でも積み重ねて使うことができるのです。

また、カーテンウォールは骨組みにはめ込んで形成するのも特徴。はめ込むだけで作れるため、建物周囲に足場を設置する必要はありません。そのため、工期の短縮や足場設置費用の節約になるのです。

2-3.地震に弱い欠点もある

高層ビルの建築などに役立つカーテンウォール。しかし、そんなカーテンウォールにも欠点があります。それは、震災に対する弱さです。カーテンウォールは、地震が起きたとき壁面が変形します。その変形に伴ってガラスが割れたり崩れたりするのです。そのガラスが飛び散ることも問題視されています。

今では、建物のしなりによるゆがみ軽減などが加えられているのです。しかし、完全にガラスが飛び散ることを防ぐことにはつながっていません。

2-4.防火についての注意点

カーテンウォールには、2008年から防火について構造上の取り扱いが統一されています。カーテンウォールは、スパンドレル裏面に耐火パネルにて遮熱処理するように定められているのです。スパンドレルとは、壁や床、そで壁の総称となります。その裏側への処理を徹底するように定められているのを知っておきましょう。

また、部材のつなぎ目や隙間を防ぐ・開口部を防火認定品にすることが求められているのです。これは、火災が起きたときに火が大きく燃え広がらないようにする配慮と言えます。

カーテンウォールは軽量ですが、地震に弱いというデメリットがあるんですね。
はい。そのため、壁以外の地震対策が重要です。

3.カーテンウォールの種類

カーテンウォールの歴史は長く19世紀後半のヨーロッパにて開発されました。技術はどんどん進んで鋼材の開発と鉄骨構造の進歩、外壁のプレハブ化といった「建築の工業化」の中でカーテンウォールは生まれたのです。当初、カーテンウォールは外壁をプレハブ化することで経済的な効率や品質追求によって生まれました。その中で生まれたのが「アルミカーテンウォール」と「PCカーテンウォール」です。その2つのカーテンウォールからさまざまな種類が生まれています。

  • アルミパネル
  • アルミ+ガラス
  • アルミキャスト
  • ハニカムアルミパネル
  • チタンパネル
  • ガスケット
  • ガラスカーテンウォール
  • プレキャストコンクリートカーテンウォール
  • セラミックパネル

以上のカーテンウォールは、押さえておきましょう。国内で普及しているカーテンウォールは、あらかじめサッシや外装仕上げ材を取り付けてあるプレキャストコンクリート製パネルが多いです。もしくは、金属製の枠をくみ上げたガラス、スパンドレルを取り付けるカーテンウォールが主流となっています。

カーテンウォールの種類はたくさんあるんですね。
はい。建物の種類に応じて選ばれます。

4.カーテンウォールの工法

カーテンウォールを組み上げるには、多くの方法があるのです。その2つの方法について知っておきましょう。

4-1.マリオン方式

カーテンウォールにて最も代表的な方法です。マリオン(方立)と呼ばれる部材を上下の床か梁(はり)の間に掛け渡します。そこにガラスやスパンドレルパネルをはめ込んでいくのがマリオン方式です。マリオン方式のカーテンウォールでは、ガラスはマリオンの奥に取り付けられます。マリオンの縦線が強調されるデザインが主となるため「バックマリオン」と言われてもいるのを知っておきましょう。

最近では、マリオン前面にメタルの枠を組み込んだ後、ガラス窓やメタルパネルを取り付ける「ユニット方式」のバックマリオンも増えています。ほかには、マリオンに相当する力材を用いてガラス・スパンドレルをはめ込む「トランザム方式」があるのを知っておきましょう。

4-2.パネル方式

マリオン方式を並んで代表的な工法です。パネルを並べてビルなどの壁面を作る工法。非常に工事内容は単純となります。しかし、パネルのつなぎ目処理が課題となっているのを知っておきましょう。デザイン的には、パネルの中に窓を独立して設けるのが特徴です。

4-3.パネル組み合わせ方式

パネルを組み合わせて壁を作った後、残った部分にガラスを入れて窓にする工法となります。その方法を「パネル組み合わせ方式」と呼ぶのを知っておきましょう。ガラスを含むメタルの窓枠をパネル同様に扱います。パネルの組み合わせだけでカーテンウォールを構成する方式もあるのです。この方式では、風圧などの力を流すなどのメリットもあります。

4-4.柱・梁カバー方式

ビルなどを支える柱・梁(はり)を包むような形状のパネルを組み合わせる工法です。柱や梁を強調した作りとなります。柱・梁カバー方式は、多くの実例がある工法です。しっかりと覚えておきましょう。

4-5.スパンドレル方式

梁の前面と腰壁の部分だけをパネルで構成する工法です。上下のパネル間にガラスを入れて窓が連なっているように見せます。最近のビルなどに多い工法と言えるでしょう。パネルの間には、一般的にサッシを入れるかガラスだけをはめ込むかの2パターンがあります。

カーテンウォールの工法も複数あるんですね。
はい。種類と同じように建物の種類や工期によって選ばれます。

5.カーテンウォールを支える技術

カーテンウォールは、歴史に併せたデザインが求められるもの。そのデザインを支えるため技術も進化しています。ガラスなどの設備組み込みや熱線反射ガラス、等圧ジョイントが顕著な例です。ほかには、フッ素樹脂塗装や自然換気など見た目や環境への配備も進みました。また、インナーサッシなどの技術もあります。

カーテンウォールの技術も日々進化しているんですね。
はい。デメリットも解消されつつあります。

まとめ

この記事では、カーテンウォールの特徴や種類についてまとめました。カーテンウォールは高層ビルなどの外壁を覆う壁のことです。非耐久壁という軽い壁のため、建物に荷重を加えないのが特徴となります。

また、非常に軽いため取り付けも簡単に行えるのです。さらに、高い場所への足場設置も不要なのでコストを下げることもできます。欠点としては、震災に弱くゆがみが発生する可能性があるのを知っておきましょう。しかし、最近の技術によりゆがみによる破損は少なくなっています。カーテンウォールにはさまざまな工法があるのです。その工法ごとにビルのデザインが変わります。

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