工場設備の日常点検が必要な理由は? 実施方法や点検もれの原因も

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工場運営を維持し続けるためには、工場設備の日常点検が大切だといわれています。けれども、なぜ工場設備の日常点検がそれほどまでに重要なのか、ハッキリとした理由を把握していない方は多いでしょう。その重要性をきちんと把握しておけば、点検もれを防ぐことができるはずです。

本記事では、工場設備の日常点検が重要な理由や点検方法などについて解説します。

  1. 工場設備の日常点検が重要な理由は?
  2. 工場設備の日常点検はどのように行えばいいのか?
  3. 点検もれが発生する原因
  4. 点検もれを防ぐにはどうすればいいのか?
  5. 工場設備の日常点検に関してよくある質問

この記事を読むことで、工場設備の点検もれが発生する原因や防ぐ方法も分かります。気になっている方はぜひ参考にしてください。

1.工場設備の日常点検が重要な理由は?

まずは、工場設備の日常点検が重要な理由をチェックしておきましょう。

1-1.設備の問題を未然に防ぐため

工場設備の日常点検が重要なのは、設備の問題を未然に防ぐ役割を担っているからです。ほぼ毎日稼働している工場では、いつどこでどのような問題が起きるのか分かりません。日ごろから設備の点検を行っておかなければ、突然壊れて使えなく可能性があります。工場設備が使えなくなってしまうと生産ラインがストップし、大打撃になるでしょう。また、設備の問題は生産性や稼働率の低下だけでなく、品質の低下などさまざまな問題へ悪影響をおよぼしてしまいます。そのような問題を未然に防ぐために、日常点検はとても大切なことなのです。

1-2.効率アップや仕事環境の整備につながる

工場設備の日常点検は、作業効率の工場や仕事環境の整備につながります。工場で問題が発生するのは、現時点での仕組みが最適ではない証拠です。ヒューマンエラーが原因になることもありますが、ほとんどは仕事のやり方に問題があるといえるでしょう。工場設備の点検を怠った結果、仕事に支障が出てしまい、作業効率がぐんと下がってしまう恐れがあります。常に最適な仕組みを整えるためにも、工場設備の日常点検は大切なことです。

2.工場設備の日常点検はどのように行えばいいのか?

ここでは、工場設備の日常点検をどのように行えばいいのか、具体的な方法と種類を解説します。

2-1.法定点検と自主点検

工場設備の日常点検には、法定点検と自主点検の2種類があります。それぞれの特徴を詳しく紹介しましょう。

2-1-1.法定点検

労働安全衛生法・消防法・ガス設備事業法などの法律によって定められた点検のことを法定点検といいます。主に、機械換気設備・換気設備・ガス設備に対して実施されることになるでしょう。なお、法定点検では法律によって、数カ月または年に1回など定期的な点検が義務付けられているのが特徴です。

2-1-2.自主点検

自主点検は、法定点検のように法律で定められた規則はありません。それぞれの工場や会社で設定した点検項目・周期に基づいて工場設備の点検を行うことになります。また、自主点検には、作業前点検と定期点検に2種類があり、それぞれの特徴は以下のとおりです。

  • 作業前点検:製造を始める前に機械の点検を行うもの。原料投入の設定など、目的の製品を間違いなく製造するために実施される点検
  • 定期点検:工場設備に問題がないか定期的に行うもの。主に、機械故障が起こる前、故障原因になりやすい箇所を重点的にチェックする点検

2-2.日常点検の大まかな流れ

工場設備の日常点検を行うのは、製造ラインの作業者または整備保全の担当者です。製造ラインの作業者は細かいところまでは分からないケースがほとんどなので、設備に詳しい整備保全の担当者が、必要な点検箇所を実施することになります。なお、よくある日常点検の流れは以下のとおりです。

  1. 点検の必要な設備について、各設備の点検チェックリストをもとに点検を行う
  2. 点検が終わった箇所に、手書きでチェックを入れる
  3. 気になったことがあれば、点検チェックリストに記載する
  4. 紙の点検チェックリストをファイルにとじる
  5. エクセルの点検実施履歴表に、点検実施した日と点検をチェックした人の名前を入力する

2-3.問題点や気になる箇所があればすぐに対応を

日常点検で気になる箇所や問題点などが見つかった場合は、すぐに対応することが大切です。「大丈夫だろう」「稼働には問題ない」と自分で判断してはいけません。工場設備に詳しい担当者であっても、「おかしいな?」と感じる部分があれば責任者に相談してください。そして、状況によってはその場でパーツを交換したり、修復したりする必要があります。早急に対処することが、大きな問題発生を防ぐ大切なポイントです。

3.点検もれが発生する原因

ここでは、点検もれが発生する原因を解説します。

3-1.点検項目や担当者が明確になっていない

工場設備の点検もれが発生する原因はさまざまです。点検周期は各機械や機械のパーツなどによって異なるため、作業員や担当者に情報が行き渡っていない可能性があります。定期時期の一覧表で点検する周期を把握していても、いつ実施しなければならないのか・誰が点検を行うのかなど、忘れてしまいがちです。作業場の全員が把握しておかなければ、点検もれすら気づかずに、そのまま工場設備を使ってしまうことになります。当たり前になっていることでも、注意力や集中力の低下によって点検もれも発生しやすくなるのです。

3-2.点検業務の引き継ぎミスも

点検業務の引き継ぎがうまくできていなかったせいで、点検もれが発生することもあります。工場現場には熟練した点検担当者が多く、それぞれ長年培ったノウハウを持っているものです。そのため、新たな点検担当者へ業務を引き継ぐことになる場合、引き渡しがうまくいかないことがあります。その結果、点検もれへとつながってしまい、問題が発生してしまうケースもあるのです。点検業務の引き継ぎを行う際は、今までどのようなところに配慮してきたのか・どのような点に気をつければいいのかなど、詳しく入念に行うことが大切でしょう。

3-3.工場設備が大きくなるほどミスも多くなる

工場設備が大きくなるほど、点検もれといったミスも多くなりがちです。工場の規模が大きくなればなるほど、使用する設備も多くなるので点検しなければならない箇所がたくさんあります。点検箇所がたくさんあるのにもかかわらず、今までと同じ人数で日常点検を行えば、点検担当者の負担が大きくなるでしょう。その結果、点検もれにつながってしまいます。工場の規模や設備が大きくなれば、その分、点検まわりも調整していかなければなりません。

4.点検もれを防ぐにはどうすればいいのか?

ここでは、点検もれを防ぐ方法やポイントを解説します。

4-1.効率的な点検体制を整える

点検もれを防ぐ方法としては、効率的な点検体制を整えることが1番有効です。たとえば、設備保全システムのサービスを利用する方法があります。点検や修理など設備保全の実施・分析・改善のサイクルをサポートしてくれるのが設備保全システムです。設備保全システムのサービスを活用することで、点検予定日が表示された一覧表で点検日を簡単に把握できますし、タブレットに点検箇所の点検チェックリストが表示され、そのまま点検に使うことができます。点検箇所の写真も閲覧できるため、点検場所の間違いも防ぐことができるのです。

4-2.工場内すべての点検表を1箇所に集める

工場設備の点検を行うためには、点検表の作成が必要不可欠です。日常点検のほかに、週間点検表・月例点検表・年間点検表のように使い分けていくことになりますが、工場内すべての点検表を1箇所に集めてください。1箇所に集めることですべての点検表が見える化します。誰もが見ても分かりやすくなるように管理できますし、見える化することで点検もれも防ぐことができるでしょう。現場の管理者がひと目で設備の状況を把握できる状態にするのが理想です。

4-3.設備点検管理を継続できる仕組み作り

点検もれを防ぐためには、設備点検管理を継続できる仕組みを作っていかなければなりません。日常点検は設備を安定して稼働させるために必要不可欠なことです。当たり前に求められる点検だからこそ、地道な取り組みで地盤を強くします。たとえば、日常点検の中で問題が発生しやすい項目を選択しましょう。リスクの高い項目は、○×点検ではなく定量的な点検を行うのが理想です。そのように意識を高めるだけでも、日常点検のもれを防ぐことができます。設備点検管理を継続するにはどうすればいいのか、現場の状況を踏まえながら考えてみてください。

4-4.設備管理をIT化する

これまで紙の点検表で点検していたのであれば、設備管理をIT化するのも点検もれを防ぐポイントの1つです。IT化することで画面上のフローによって正しい点検順序・対応方法を表示でき、分かりやすくなります。その結果、点検もれや書きもらし・作業ミスを未然に防ぐことができるというわけです。IT化すれば紙の点検表で分かりにくかった作業全体が見渡せるようになり、業務を引き継いだばかりでも作業の手順が分かります。ノウハウの伝承ができていないことで点検もれにつながる恐れがありますが、IT化で可視化すれば、誰でも同じように対応可能です。

5.工場設備の日常点検に関してよくある質問

工場設備の日常点検に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.自主点検を行う必要性は?
A.製品ロスを防ぐ・未然に工場設備のトラブルを防ぐ・不良品の発生を防ぐ・設備の寿命を延ばす目的があるため、自主点検は必ず行うべきといえるでしょう。工場の中には、法律で定められている設備点検だけ行っているというところがあります。自主点検については法律上の定めがないため、実施しなくても法律違反にはなりません。けれども、自主点検は設備トラブルによる無駄なライン停止を防ぐ役割を担っているため、きちんと自社で検討していくことが大切です。

Q.管理状況を定期的に見直す必要はあるのか?
A.定期的に行う日常点検でも、管理状況を定期的に見直すことが大切です。たとえば、作業者に点検表を渡し、具体的にどこをどのように点検するのか説明を求めてください。これは実際に起こったことですが、作業者が「この点検はやっていない」と答えたことがありました。実は、その点検項目は技術部の人間でないとできない内容だったのです。技術部から点検のやり方を教えてもらえば解決できた問題なのに、そのようにしていなかったせいで点検もれが発生してしまいます。このようなことがないからこそ、管理状況を定期的に見直すことが大切です。

Q.設備点検管理の仕組みを検討する際のポイントは?
A.その設備が正常に稼働している状態を定義するところから始めるのがポイントです。正常に稼働している状態とは何か、明確に定義しなければなりません。定義を明確にしておかなければ、作業者同士での共有ができなくなってしまいます。引き継ぎがうまくできなくなったり、点検を行う人によって判断基準が変わったりと不安定になりがちです。

Q.ポカミスとは?
A.製造現場などで多用される言葉で、不注意から引き起こされた失敗のことを指しています。作業効率の悪化・不良品の発生・機械の故障や事故など、ポカミスはあらゆるトラブルの原因になりかねないものです。単にうっかりミスのケースもあれば、操作機械や作業手順のミスを誘発しやすい構造になっているケースもあります。

Q.工場設備の問題が起きたときの対処法は?
A.なぜ工場設備の問題が起きたのか、原因をハッキリとさせておかなければなりません。問題が明らかにならなければ、有効な対策も講じられなくなってしまいます。まずは原因を突き止め、どうすれば問題の再発を防ぐことができるのか考えてください。

まとめ

工場設備の日常点検は、製造ラインを安定させたり、工場の運営を維持し続けたりするためにとても大切なことです。日常点検を怠ってしまうと、問題が誘発しやすくなり、そのたびに製造ラインが止まってしまいます。また、点検もれは、点検表が分かりづらくなっていたり、可視化できていなかったり、作業の引き継ぎがうまくできていなかったりなど原因はさまざまです。現在の工場設備管理がどのような状態になっているのか把握しながら、改善すべきところを見つけて見直していきましょう。