金属が腐食するメカニズムと原因は? 防止方法とともに紹介
2016/01/27
金属の腐食は、とてもありふれた現象です。
ほとんどの金属が放っておけば腐食するでしょう。
しかし、その種類とメカニズムについてはあまり知られていないことも多いです。
そこで、今回は金属腐食の種類やメカニズムについてご紹介しましょう。
種類やメカニズムが分かれば、腐食の防止方法も分かります。
特に、野外で金属を扱う仕事に就いている方などは金属の腐食の種類やメカニズムを知っていて損はないでしょう。
ぜひこの記事を読んで参考にしてください。
1.金属が腐食するとはどういうこと?
腐食とは、化学や生物的な作用により、物体の外見や機能が損なわれる状態のことをさします。
一番イメージしやすいのが、食べ物の腐食ですね。
食べ物が腐ると見た目がいちじるしく変化して、食べられなくなります。
金属の腐食も基本的に食べ物の腐食と起こることは同じです。
鉄を雨ざらしにしているとさびます。
このさびも腐食の一種です。
つまり、金属の腐食とは、金属がおかれた環境によって金属の表面に化学反応が起きて見た目や機能が損なわれるということになります。
ちなみに、鉄がさびると強度が格段に落ちて、素手で壊せるぐらいボロボロになるでしょう。
つまり、機能が損なわれるということです。
2.金属が腐食するメカニズムとは?
今回は、鉄のさびを例にとって腐食のメカニズムを説明します。
鉄の構造は鉄の原子とその間にある自由電子e-から成り立っているのです。
この原子は非常に強力にお互いの手をつなぎ合っています。
その間を自由電子がうめているのです。
鉄は乾燥した大気中であればこの状態で安定しています。
しかし、ここに水がかかり続けるとイオン化が始まるのです。
さらに、周りの酸素が水中に取りこまれると自由電子が水分に取りこまれ、マイナスの水酸化鉄イオンになります。
その一方で鉄は、電子が奪われたためにプラスの鉄イオンになるのです。
この現象を電位といいます。
この鉄イオンはさらに電子を引き寄せて、酸素と水素原子と結合するのです。
この状態で水がかわくと水素原子と酸素原子が蒸発して酸化鉄が完成します。
これがさびのメカニズム。
つまり、原子と電子で酸化と還元が目まぐるしく行われているというわけです。
3.腐食の原因には何があるの?
この項では、腐食の原因をご紹介します。
金属はどのような環境で腐食しやすいのでしょうか?
3-1.金属の持つ自由電子
金属の持っている自由電子が水や酸と結びつきやすいものですと、腐食が起こりやすいです。
先ほどの鉄の例を取ると、自由電子のe-が水分に取りこまれたことが、さびの原因になりました。
同じようなことがほかの金属でも起こるのです。
3-2.金属の内部の原因
金属は一般的に加工して使われます。金属を加工する際に傷などが入ることは珍しくありません。
そこから原子の結合が弱まり、腐食が始まりやすくなるのです。
3-3.金属表面の傷や粗さ
金属の内部に傷などがなくても、表面に傷や粗さがあればそこから水や酸が侵入して腐食が始まることがあります。
3-4.異種金属同士の接触
金属同士をぴったりと接触しておいても、腐食は起こります。
これは、金属同士の接触によって「濃淡電池作用」が発生し電流が流れ、電子が移動するためです。
4.腐食の種類とは?
では、腐食はさび以外にどのような種類があるのでしょうか?
この項で詳しくご紹介していきます。
4-1.すきま腐食
すきま腐食とは、別名孔食とも呼ばれます。
表面が局部的に孔状に侵食される腐食になるのです。
これは、金属表面についた異物が原因。
金属の結合部分や合わせ目など、比較的凹凸が多く、異物がたまりやすい場所で起こることが多いでしょう。
4-2.粒界腐食
金属材料の結晶粒界だけが選択的に腐食することです。
金属を精製する際に、熱量が不足したり逆に過剰であったりしたために、金属中に不純な炭素化合物が増殖することが原因になります。
重度化すると腐食割れを引き起こすこともあるでしょう。
4-3.応力腐食割れ
応力腐食割れとは金属を加工する際に行われる溶接や冷却による残留応力や、使用するときにかかる外部の力によって、金属に引張応力(いんちょうおうりょく)が起こることで発生する腐食です。
つまり、金属が加工されることにより余計な負荷がかかり金属の原子の結合力が弱った結果、腐食が起こりやすくなるということ。
しかも、やっかいなことに院長応力がかかり続けていますから、腐食を起こすと金属はたやすく割れてしまうのです。
これは、大型建造物でも起こりやすい腐食になります。
5.腐食を防ぐ方法とは?
では最後に、腐食を防ぐ方法をご紹介します。
いったいどうすれば、金属はさびにくくなるのでしょうか?
5-1.防食皮膜の形成
これは、腐食を防ぐ皮膜を金属の上に人工的に作る方法です。
最も一般的に行われる亡父の方法で、ご家庭で行うものから工場などで大規模に行うものまでたくさんの種類があります。
さび止めの塗料なども、この防食皮膜の一種になるのです。
また、さびやすい金属の上に最も安定した金属である金を薄くかぶせる「めっき」も、防食皮膜の一種になります。
ちなみに、防食皮膜は一度塗ればよい、というわけではありません。
特に、屋外で雨風にさらされると皮膜は取れやすくなるでしょう。
ですから、定期的な作り直しが必要です。
5-2.電気防食
こちらは、水中などより腐食しやすい状況で使われている金属に用いられる方法です。
電流の作用で金属の電位を変化させて暴食する方法になります。
常に電流を流しておかなければならないというデメリットはありますが、たとえば海の中に建っている橋脚などの腐食にも使われているでしょう。
電位を変えればたとえ水中のように腐食しやすい場所であっても長期間腐食を防ぐことが可能です。
ちなみに、電気防食で感電の心配はほぼありません。
5-3.耐食材料の使用
銅、クロム、ニッケルなどの比較的腐食しにくい材料と金属を混ぜ合わせて加工することにより、腐食を防ぐ方法です。
電気防食も防食皮膜も行えない場所に防食したいというときに用いられます。
ただし、費用が効果になりがちなのと場合によっては金属の強度を下げてしまう可能性があるので、かなり高い技術力が必要になる方法です。
腐食をしてはならない場所を防食する方法として、用いられることが多いでしょう。
6.おわりに
いかがでしたか?
今回は、金属腐食の原因やメカニズムや原因をご紹介しました。
金属の腐食は、必ず起こる現象といっても過言ではありません。
通常ならば、さびたり腐食したりすれば取り換えることもできるでしょう。
しかし、柱の芯や水道管など腐食したとしても容易に取り換えられないものもあります。
ですから、防食をしっかりと行わなければなりません。
また、建築や加工の現場では工事がいいかげんだったり加工の手順が悪かったりすると腐食が早まります。
たとえば、コンクリートの芯に鉄を使った場合、コンクリートにひびが入っていたり塩分が含まれていたりすれば、鉄はあっという間にさびてしまうでしょう。
つまり、築年数などの割に腐食が進んでいる場所というのは工事自体がいいかげんなこともあるのです。
腐食は、工事のできのバロメーターといえるかもしれません。
ですから、築年数の建った物件や年数のたった機械を扱う場合は、腐食の具合を確認すると状態がよく分かるでしょう。
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