遮断器の種類や役割は? どんなときに電気を遮断する必要がある?

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電気工事にかかわる仕事をしていると、遮断器を扱うことも多いでしょう。遮断器は、電気を安全に使用し、事故を防ぐための安全装置のようなものです。そこで、今回は遮断器の種類や役割についてご紹介します。職場では、特定の遮断器しか使わないという方も多いでしょう。

また、電気工事士の資格試験には遮断器に関する問題も出題されることもあります。電気工事の仕事に就いている方や電気工事士の資格取得を目指している方は、ぜひこの記事を読んでみてください。

  1. 遮断器の役割は?
  2. 遮断器の種類は?
  3. 断路器とは?
  4. 断路器を使用する際の注意点
  5. 遮断動作の種類は?
  6. 遮断をやめるときの注意点
  7. 遮断機の種類や役割まとめ

1.遮断器の役割は?

電気関係の「遮断器」とは、電気回路の故障や異常が起きたときに流れる電流を遮断する器具のことです。もう少し具体的に説明しましょう。電流が流れている回路を切るとき、電流はそれに逆らって流れようとする性質があります。すると、火花が散るのですが、これそのままにしておくと、火災などの原因になるのです。ですから、これを遮断するのが遮断器の役目。遮断器が電路を遮断できるのは、平常のときのほか、短路、地路、過電流が発生したときも働きます。

過電流とは、何らかの原因で回路に流れる電流が増大することです。このときに電流が流れっぱなしになると電線が熱くなったり回路が発火したりします。地路とは、通常は地面やほかの場所に接しない回路の部分が地面などに接したときのこと。短路とは、本来電流が流れるところを通らないで電流が流れる状態です。どれも、電流を遮断しないと回路が故障してしまうでしょう。なお、遮断器は回路の異常が起きたときだけでなく、回路の点検や検査をするときにも使用されます。

遮断機は電流を遮断する機器なんですね。
はい。安全装置などにつけられています。

2.遮断器の種類は?

では、遮断器にはどのような種類があるのでしょうか? この項では、遮断器の種類の一例をご紹介します。

2-1.電圧の違いによる遮断器の種類

遮断器は高圧遮断器と低圧遮断器があります。高圧遮断器については、次でより詳しくご説明しましょう。低圧遮断器は、配線用遮断器、漏電遮断器、低圧気中遮断器などがあるのです。ちなみに低圧遮断器は交流では600ボルト以下、直流では750キロボルト以下を指します。家庭に取りつけられているヒューズやブレーカーも配線用遮断器の一種です。

2-2.油入遮断器

油入り遮断器は高圧遮断器の一種です。遮断部分は油が入ったタンクの中に設置されている仕組みになっています。遮断時に火花(アーク)が発生すると油が水素などに分解され、水素ガスが発生し、冷却作用によって火花を消すのです。

2-3.真空遮断器

真空遮断器は、遮断部分が高真空になった容器内に設置されている高圧遮断器です。電流を遮断したときに発生する火花の金属蒸気を高真空により拡散して消弧する仕組みになっています。

2-4.ガス遮断器

遮断部分がSF6ガス(六フッ化硫黄)を充てんした容器内に設置された遮断器です。電流を遮断するときに発生する火花を、絶縁性能のあるSF6ガスを吹きつけて遮断します。現在最も多く普及している遮断器です。

2-4.磁気遮断器

遮断部分が、磁気を発するコイルや鉄心にまかれた構造になった遮断器です。電流を遮断するときに発生する火花を、磁界を作用させて消弧します。

遮断機には種類がいくつもあるんですね。
はい。機器によって使い分けられています。

3.断路器とは?

断路器とは、定格電圧で充電された電路を開閉分離させるために使われる機器です。別名、ディスコンともいいますので、そちらの方がなじみのある方も多いでしょう。遮断器と役割がよく似ていますが、断路器は電流を遮断したときに発生する火花を消す能力がありません。ですから、条件によっては開閉分離できない電流もあるので注意しましょう。断路器は、遮断器の一次側に設置されます。

そして、回路の点検整備中、遮断器を開放しているのに間違えて遮断器を投入しても電流が送電されないようにする役割があるのです。また、遮断器自体の整備のときも断路器を開くケースがあります。

断路器には火花を消す能力がないんですね。
はい。そのため、遮断機を整備する際に用いられることが多いんです。

4.断路器を使用する際の注意点

遮断器と断路器はよく似た機械に見えますが、断路器は電流を遮断できません。ですから、負荷電流が流れている状態で断路器だけを開くとアーク放電が発生するのです。これを断路器の生切りといいます。

アーク放電が発生すると電気機器が壊れる可能性があるだけでなく、機械を操作している人がアーク放電に触れて感電事故を起こすこともあるのです。ですから、断路器を開くときは一気に開かず、二段階に分けて開きましょう。そうすれば、操作ミスで遮断器が開いたつもりが閉じていた、というときにアーク放電の発生を予防できるのです。

断路器を使用する場合は、アーク放電に注意が必要なんですね。
はい。遮断機とは扱い方が違うので注意しましょう。

5.遮断動作の種類は?

では最後に、遮断動作の種類をご紹介しましょう。遮断器は自動で遮断することもあります。その種類によって、なぜ遮断したのかが分かるのです。

5-1.過負荷遮断(かふかしゃだん)

電路の容量を超えて電流が流れ続けるときに発生します。このような事態になると、電線や電路自体が熱を持ち、やがて発火することもあるでしょう。それを防止するために、熱が上がる前に電路を遮断します。この時間は、電流の大きさによって変化するのです。

5-2.短絡遮断

本来は、通らない場所で電流が通ると、短路といって短い時間で極端に大きな電流が流れます。これが数秒でも続くと負荷がかかりすぎて電気機器が壊れたり発火したりすることもあるでしょう。この電流を瞬時に遮断するのが、短絡遮断です。動作するまでの時間は0.1秒と大変短くなります。

5-3.地絡遮断

本来は触れてはいけないところに回路が触れている状態を地絡といいます。この状態になると漏電といって電気が漏れて火災の原因になるのです。これを検知し、除去する目的で瞬時動作をしたり時延動作をしたりします。感電防止ならば瞬時動作、火災防止なら時延動作になるでしょう。

遮断機にも複数の種類があるんですね。
はい。機器によって使い分けられています。

6.遮断をやめるときの注意点

自動遮断が行われると復旧作業が必要になります。しかし、自動遮断が起こったということは、何らかの不具合が発生したということです。遮断を回復する前にまずは回路の確認をしてください。

もし、不用意に遮断を取りやめたりしたら電流が流れて再び自動遮断が発生する可能性があります。遮断器自体の故障でない限り、電流の流れに異常があったり回路の故障があったりするはずです。ですから、必ず念入りに点検してください。「また電源が落ちた」と確認もせずに電流を流してはいけません。

確認をして遮断することが大切なんですね。
はい。何度もやっているからと、確認もせずに遮断してはいけません。

遮断機の種類や役割まとめ

今回は遮断器と手段の役割についてご紹介しました。私たちの生活に最も身近な遮断といえば、ブレーカーです。これは、電気の使い過ぎによって負荷がかかりすぎることによって発生します。ですから、電気器具の使用を控えれば回復するでしょう。そのときに、必ず電気機器の具合を確かめてからブレーカーを上げますね。大型の遮断器でもそれは同じです。

また、震災が起こればライフラインが遮断されます。つまり電気が来なくなるわけですから、電流は強制的に遮断されるのです。しかし、この後電気が復旧すると急に電流が流れて回路に負担がかかりすぎて、自動遮断が起こったり回路がショートしたりしてしまうこともあります。これを防ぐためには、一度遮断器を手動で操作し電流を遮断したうえで復旧を待ちましょう。その後、電気が復旧したら電気機器を確認してスイッチを切ってから、遮断器を開放して電源をつけます。そうすれば、火花などが散ることはないでしょう。

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