潜水士になるには? 試験内容や効率よく資格を取得するためのコツを解説!
2015/10/07
水難救助や水中での作業をする際に欠かせないのが「潜水士」です。海辺に住んでいたり水にかかわる仕事に就いていたりする人にとって、潜水士はなくてはならない存在です。
そこで今回は、潜水士という資格についてご説明しましょう。また、潜水士になるとどのような職業に就けるのか、もご説明します。潜水士の資格取得を目指す方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
1.潜水士と普通のダイバーの違いは?
フジテレビが製作した人気映画「海猿」は、潜水士の活躍を描いたものです。主人公は海上保安庁の職員ですが、潜水士の資格を取得していないと映画のような活躍はできません。潜水士とは、潜水用具をつけて水中や水底で作業をする人たちのことを指します。
また、国家資格としての潜水士とは、「潜水作業に従事することができる人」のことを意味するのです。今は、レジャーでダイビングをする人も多いですが、ダイビング講習を受けて取得できるCカードとは異なります。Cカードを取得しただけでは、潜水士にはなれません。第二種自動車免許を取得できなければ、職業としての運転手になれないのと同じです。
2.潜水士になるにはどうしたらいいの?
通常、技術が必要になる国家資格には「実技試験」があるのです。自動車やバイクの運転免許を取得するにも、学科試験と実技試験がありますね。しかし、潜水士の資格には実技試験がありません。受験資格もないのです。免許交付は18歳以上にならないとできませんが、年齢制限もないので何歳でも受けられます。
極端な話、全く泳げない人であっても学科試験さえクリアできれば、潜水士の資格は取得できるのです。これは、「潜水士」という職業が、限られた場所でしか必要とされないからともいわれています。また、自動車は運転技術がない人が運転した場合、多くの人を巻きこんだ事故を起こす可能性が高いです。ですから、運転免許を取得するには年齢制限や技術が必要。
ほかの技術系の国家資格も同じです。しかし、潜水士は泳げない人が取得しても困るのは本人でしょう。
また、潜水士の実技試験を行うには、深さのあるプールなどが必要。そんなプールは、日本でも限られた場所にしかありません。つまり、潜水士の資格試験に実技試験を加えてしまうと、実施できる場所も受けられる人数も限定されてしまいます。現在、潜水士の資格を取得しようと思っている方は、潜水の技術を持ち、その技術を生かして仕事をしたいと思っている方が大半です。ですから、学科試験だけで資格取得が認められています。しかし、現在この「潜水士」の試験のあり方に疑問を持つ方が増えているのです。ですから、近い将来なんらかの変更があるかもしれません。
3.潜水士としての技術を身につける方法は?
では、潜水士として仕事をしていくために、どこで潜水技術を身につければよいのでしょうか? この項では、その方法をご紹介します。
3-1.ダイビングスクールで身につける
日本全国にあるダイビングスクールに入れば、ダイビングの技術が身につきます。ダイビングスクールは、年齢や性別の制限はありません。最初は趣味でダイビングを始め、それが高じてインストラクターになった方も少なくないのです。ちなみに、ダイビングの世界にはいくつかの民間資格も存在しますが、インストラクターになるためには潜水士の資格が必要。そのため、「インストラクターになるから、潜水士の資格を取る」という方が多いです。
3-2.海上自衛隊に入隊する
海上自衛隊の中には、潜水員という職域があります。海上自衛隊に入隊し、潜水員を目指すと、潜水士としての技術が身に着けられるのです。といっても潜水を専門としているわけではなく、業務のひとつとして潜水を行います。
現在、海上自衛隊には日本国内では最も多くの潜水士が所属しているのです。職業として潜水士を選ぶならば、海上自衛隊は最適でしょう。ただし、心身共に健康で10代後半には入隊していなければ務まりません。
3-3.海上保安学校に入学する
映画「海猿」の舞台になっているのが、海上保安学校と海上保安庁です。ここで潜水の技術を身につけて、潜水士の資格を取得すると主に人命救助や事故調査などを行います。「海の警察官」と考えれば理解しやすいでしょう。潜水士の就職先としては、花形です。しかし、海上自衛隊と同じように心身共に健康でなければ、受験資格がありません。
また、海上保安学校の倍率は年々上昇しています。今では、難関大学に入るのと同じくらい難しいでしょう。また、現在のところ海上保安庁で活躍している潜水員は、すべて男性です。
3-4.そのほか
海洋学の研究などで、海の底に潜って調査をする場合は潜水士の資格が必要です。ですから、ダイビングスクールで技術を学び、潜水士の資格を取って研究のために海に潜る人もいます。
また、船のメンテナンスをする仕事に就いている方も、職場で潜水の技術を学んで潜水士の資格を取得するケースがあるでしょう。海に潜る仕事をしている人というと、海女(あま)や漁師をイメージする方もいますが、彼らは潜水用具をつけずに潜水します。この場合は、潜水士の資格は必要ありません。しかし、保険などの関係で潜水士の資格を取る人もいます。この場合、潜水の技術は先輩の海女(あま)や漁師から教わるのです。
4.潜水士の試験内容
潜水士の試験は、全国の安全衛生技術センターで年に4回ほど行われています。詳しい日程は安全衛生技術試験協会のホームページから確認してください。申し込みは協会から願書を入手し、協会や全国各地の安全技術センターあてに送付しましょう。電子申請は行っていませんので注意してください。試験場所から遠い人は、宿泊準備をしておく必要もあります。受験料は6,800円です。
潜水士の試験内容は、
- 潜水業務
- 送気、潜降および浮上
- 高気圧障害
- 関係法令
以上の4科目です。午前と午後に分かれて試験が行われ、科目を免除する制度などはありません。
5.潜水士の合格率は?
潜水士の合格率は、毎年80%前後と非常に高くなっています。しかし、決して簡単な試験というわけではありません。潜水士の資格取得を目指している人の中には、警察や海上保安庁へ就職するために学校に通っている生徒も多く、そのような学校では、授業中に試験対策も行っています。そのため、合格率も高いのです。一夜漬けの勉強で試験に合格するほど甘くはありません。
6.潜水士の就職先について
6-1.潜水士を必要としている職場
潜水士は、水中で作業を行う必要のある職場全般に需要があります。建築会社だけでなく、水中の調査を行う会社などもありますから、常に一定の求人があるでしょう。また、ダイビングライセンスと併用すれば、ダイビングインストラクターとして活躍できます。さらに、警察や海上保安庁・海上自衛隊でも潜水士の有資格者は大活躍中です。
6-2.適性ややりがい・向いている人など
潜水士は泳ぎが得意で、体が丈夫な人に向いています。また、ダイビングで潜水の楽しさに目覚めた、という人も多いでしょう。また、警察や海上保安上・海上自衛隊の潜水士になれば人助けをすることもあります。責任は重大ですが、やりがいがあるでしょう。
6-3.年収や将来性について
潜水の技術が不要になることはありません。一度技術を身につけ経験を積んでいけば、体が動く限り潜水士として活躍できるでしょう。また、後身を指導する技術者として活躍することもできます。潜水士の年収は300万円~ですが、作業に危険が伴う仕事ほど高収入です。
8.よくある質問
Q.潜水士に実地試験はないのですか?
A.はい。ありません。潜水士として働くために必要な知識を問う筆記試験だけです。
Q.単にダイビングを楽しむだけならば、潜水士の資格は必要ありませんか?
A.はい。ただし、インストラクターになるには資格が必要です。
Q.潜水士の資格があれば、無経験でも資格を活用して就職できますか?
A.はい。潜水士の資格を取得する前にダイビングスクールなどで技術を取得している人が大部分ですので、そのつてなどを活用し、就職することが多いでしょう。
Q.潜水士の資格があれば、警察などにも就職できますか?
A.いいえ。警察・海上保安庁・自衛隊はまず警察学校など定められた教育機関に合格した後、潜水士の資格を取得する形になります。潜水士の資格を取得したからといって、警察や海上保安庁で働くことはできません。
Q.潜水士は女性でも活躍できますか?
A.もちろんです。特にダイビングインストラクターは女性が活躍しています。
おわりに
今回は、潜水士の資格を取得する方法についてご説明しました。
- まとめると
- 潜水士とは、潜水用具を利用して水中で作業を行える国家資格である。
- 試験は学科試験だけで、合格率は80%と高い。
- 潜水技術を身につけるには、ダイビングスクールに通ったり、自衛隊や海上保安学校に入ったりしよう。
- 自衛隊や海上保安庁は潜水士の就職先としては花形である。
ということです。潜水士は、人の命を預かる仕事につくことも多いでしょう。ですから、まずは技術を身に着けることが大切です。ダイビングインストラクターの場合は、Cカードにランクがあり技術や潜水時間によってアップしていきます。海上保安庁や自衛隊に入りたいという場合は、中学卒業するまでには進路として考えておきましょう。狭き門ですが、やりがいのある仕事です。また、大学や研究所に資料採集のために潜水士が雇われていることもあります。
無料登録でキャリアアップへの一歩を!
現在よりも好条件な職場に転職したい方や、未経験から新しい職種に挑戦したい方におすすめなのが転職エージェントサービスです。
中でも『マイナビエージェント』は求人数が業界トップクラスで、転職活動全般をサポートするサービスも充実!
非公開求人を豊富に保有しており、一般公開されない優良求人を逃すことなくチェックできます。
すぐに転職予定がない方も相談に乗ってもらえるため、早めに登録しておくことで、よりマッチ度の高い求人を紹介してもらいやすくなります。
関連記事
- 2017/06/12 潜水士の試験は過去問活用で合格できる? 難易度はどの程度?
- 2018/04/19 潜水作業について知りたい人必見! 作業内容や必要な資格を解説
- 2017/12/29 水中溶接の仕事がしたい人必見! 必要な技術や資格は?
- 2015/12/04 高気圧障害の原因や予防方法とは? 潜水に潜むリスクを知っておこう!
- 2016/03/17 【徹底解説】潜水士の試験難易度はどのくらい?効果的な勉強法はどんなもの?