【解説】害虫駆除はビル管理法でどのように決まっているの?頻度や方法とは?
2016/04/15
2023/08/03
ビル管理法、その中には目立たないけれど大事な要素がひとつあります。それが「害虫駆除」です。皆さん、一度くらいは虫に困った経験があるのではないでしょうか?
都市部のビルではなおさら、害虫問題は深刻になりがちです。この記事では、そんな害虫駆除の重要性と具体的な方法を解説します。
もしビル管理者を目指しているなら、この記事はきっとあなたの知識の一部になるでしょう。一緒に害虫問題を乗り越え、より快適なビル環境を作り上げましょう!
1.ビル管理における害虫とは?
害虫とは、文字どおり人に害を与える虫のことです。
ちなみに、害を与える動物のことを害獣といいますが、ネズミは害虫の中に含まれていることが多いでしょう。
害虫の定義は場所によって変わります。田畑ではアブラムシや芋虫、葉を食べるダニなどが害虫になるのです。
ビルの害虫は、ゴキブリ、ハエ、ネズミ。この3種類。
「でも、近代的なビルの中に害虫など入ってくるの?」と思う方もいるでしょう。
害虫の生命力は強く、食べ物がある場所ならばどこでも入ってくるのです。
ビルは、意外と食べ物があります。
商業施設ならば、必ず飲食店が入っているでしょう。
学校や病院などの施設も調理施設があるはずです。
オフィスビルも、外から利用者が食べ物を持ちこみます。
劇場や映画館なども同じです。
また、ビルは夜間無人になるところが多いでしょう。
そのため、害虫にとっては、1年中気温が一定で天敵がいない住みやすい場所でもあるのです。
2.法律に定められた害虫駆除とは?
ビル管理法では、床面積が3000平方メートル以上の商業施設やオフィスビルは、半年に1度害虫の生息調査をすることが義務づけられています。
このときの検査で異常が見つかれば、害虫駆除をしなくてはなりません。
害虫の調査は建築物環境衛生管理技術者(通称、ビル管理士)の役目ですが、実際は管理技術者に依頼された専門の業者が調査と駆除を行います。
3.害虫駆除を行わないとどうなるのか?
害虫は小さくて目に留まらないことも少なくありません。
しかし、だからといって害虫駆除をせずに放っておくといろいろな不具合が出てくるのです。
この項では、その一例をご紹介しましょう。
3-1.見た目が不潔になる
ゴキブリやネズミは人の気配に敏感です。
ですから、人目に触れることもそれほど多くはありません。
しかし、ハエはエサの気配がする場所にずっとたかっています。
ビルの中でハエが発生する場所はトイレ、ゴミ箱、そして飲食店内です。
特に、飲食店内ではハエがいるからといって大っぴらに退治するわけにもいきません。
また、トイレにハエがたくさんいたら気持ちが悪いでしょう。
商業施設の場合は、目に見えて利用者が少なくなる可能性もあります。
3-2.食中毒の原因になる
害虫の体には、病原菌がたくさんついています。
特に、ゴキブリやネズミは食べられるものを狙って、あちこちから侵入してくるのです。
害虫駆除を怠っていると、それらがたかった食べ物を口にする恐れもあります。
その際に一緒に病原菌も体内に入ることもあるでしょう。
食中毒が発生すれば飲食店は営業停止になりますし、ビル全体の評判も落ちてしまいます。
3-3.伝染病が流行する可能性もある
食中毒と似ていますが、害虫は伝染病も媒介します。
特に、ネズミが媒介する菌は伝染するものも多く、放っておくと大変なことになるかもしれません。
また、ネズミやゴキブリはコード類をかじってショートさせることも珍しくないのです。
電化製品やパソコンが急に故障したと思ったら、ネズミやゴキブリが巣を作っていたという話もあります。
入りこんだ場所が悪ければ、ビル全体の電源がショートするおそれもあるのです。
4.ビルの害虫を調査したり駆除したりする方法
この項では、ビルの害虫調査や駆除の方法をご紹介します。
いったいどのように害虫を駆除していくのでしょうか?
4-1.調査は専門の業者が行う
ビルの害虫調査は専門の業者が行います。
一般的に、ビルは古いほど害虫の被害に遭いやすいでしょう。ですから、築年数のたったビルの方が調査の値段が高い傾向にあります。
東京や大阪などの都市部には、複数の業者があるでしょう。
値段だけでなく口コミなども見て調査を依頼するとよいですね。
4-2.害虫駆除の方法
害虫駆除の業者はたとえ実物を発見できなくても、侵入の痕跡を見つけたり巣の残骸を発見したりすれば「害虫がいる」と判断して駆除してくれます。
駆除作業は主に夜間に行われるでしょう。侵入した場所を消毒したり侵入経路をふさいだりします。
また、罠(わな)をかけてゴキブリやネズミなどを捕獲することもあるでしょう。
一度にすべての駆除が難しいこともありますが、何度か駆除作業を行えば害虫は見かけなくなります。
4-3.テナントの依頼で駆除作業を行うこともある
ビル管理とは別に、テナントの依頼で駆除作業を行うこともあるでしょう。
特に、飲食店の場合はゴキブリが特定の店舗に大発生するということもあります。
これは、食材などに紛れ込んだゴキブリが外から持ちこまれる可能性があるためです。
また、食材を出しっぱなしにしておいたり、清掃が行き届いていなかったりする店舗はゴキブリが発生しやすいでしょう。
さらに、ほかの店舗からの苦情を受けてビルの管理者が、駆除をテナントに依頼することもあります。
飲食店での害虫発生は、場合によると店舗の存続にもかかわるでしょう。
ビルの管理者としても気を配っておく必要があります。
4-4.害虫が発生しないようにするには?
ビルに発生する害虫を完全に防ぎきることはできません。
特に、ネズミやゴキブリは侵入経路も複雑です。しかし、飲食店がテナントに入っている場合は、食材の管理をしっかりとするだけで害虫の発生率を下げられます。
冷蔵庫や扉がしっかりと閉まる戸棚に食べ物をしまう習慣をテナントにつけてもらいましょう。
また、ゴミの管理も大切です。
ゴミ捨て場の管理がいいかげんなビルは、害虫も発生しやすいでしょう。
非常階段に翌朝出すゴミを袋に詰めておいておく、などのことをテナントにさせないように注意してください。
必要ならば、ゴミ捨て場も定期的に消毒をしましょう。
ハエやゴキブリの被害がぐんと減るでしょう。
5.おわりに
いかがでしたか?
今回は、ビル管理における害虫駆除の方法についてご紹介しました。
場所や入っているテナントによっては、新築のビルでも害虫が大発生することがあります。
ですから、特に飲食店がテナントに入っている場合は、ビル管理者も食材の管理などに目を光らせましょう。
また、害虫の侵入経路は実に多彩です。場合によってはダンボールのすきまに隠れている場合もあります。
古いビルならば、配水管が侵入経路になることもあるでしょう。
そのため、共有廊下にゴミ箱があって自由にゴミを捨てられるようになっている場合は、こまめにゴミも捨ててください。
それだけでも害虫の発生を抑えられます。
なお、ビル全体で害虫が発生したという場合は素人の手には負えません。
必ず駆除業者に依頼しましょう。
ネズミとりの罠などをしかけても効果は期待できません。
また、必ず侵入経路をふさいでもらい、場合によってはオーナーにビルのメンテナンスを依頼しましょう。
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