ビル管理法に基づく特定建築物の水質検査はどんなことをするの?

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ビル管理法では、特定建築物は定期的な水質検査が義務づけられています。では、なぜ特定建築物は水質検査が必要なのでしょうか?

そこで、今回は特定建築物で行う水質検査についていろいろとご説明します。水質検査が必要な理由や頻度、さらに検査項目などもご説明しましょう。水は、私たちの生活になくてはならないものです。現在の日本では、蛇口をひねれば安全な水が出てきます。しかし、特的建築物は受水槽を備えてあるところも多いでしょう。だからこそ、検査が必要なのです。建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の方や資格取得を目指している方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

  1. 特定建築物で行う水質検査は?
  2. 水が汚染されると大変なことになるかも
  3. 水質検査の項目とやり方について

1.特定建築物で行う水質検査は?

特定建築物とは、3,000平方メートル以上の店舗や事務所、遊技場などに利用される建築物と8,000平方メートル以上の学校施設を指します。これらの特定建築物は、ビル管理法という法律で管理方法が定められており、その責任者が建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)なのです。法律で定められている管理項目のひとつに、水質検査があります。これは、6か月~1年に1度実施されることが義務づけられているのです。

しかし、一般家庭ではこのような水質検査は義務づけられていません。いったいなぜ特定建築物では水質検査を行わなければならないのでしょうか? その理由は、受水槽の存在や利用人数にあります。私たちが現在飲用水にしている水は、ほとんどが水道水です。水道水は水道局によって管理され、消毒された清潔な水が水道管を通って各家庭へ運ばれています。一部では井戸水を利用しているところもありますが、その場合は定期的な水質検査が義務づけられているのです。

特定建築物で使用されている水は、もちろん水道水。ですから、品質的には問題ないはずです。では、なぜ水質検査があるのでしょうか? それは、受水槽の存在があります。受水槽とは、水道水をいったんためておく施設のこと。特定建築物のように大規模な建物の場合は、一度に使われる水の量も多いです。ですから、水道管ではまかないきれません。そのため、受水槽に一度水をためて各蛇口に水を分配しています。

ちなみに、マンションなどの屋上に大きな水のタンクが備え付けてあるのを見たことがある人もいるでしょう。あれも、受水槽の一種です。「貯水槽」という名前で覚えている方もいるでしょう。

また、高層ビルやマンションの場合は、水道管だと高層階に一定の水圧で水を送れません。一度屋上へ大量の水を押し上げて、各家庭へ水を分配しているのです。この受水槽が汚れたり水槽内で雑菌が繁殖したりしてしまえば、水質が悪くなります。ですから、特定建築物では水質検査が必要なのです。

6か月~1年に1度、水質検査が実施されることが義務づけられているんですね。受水槽が汚れたり水槽内で雑菌が繁殖したりしてしまえば、水質が悪くなってしまうため、特定建築物では水質検査が必要なのです。

2.水が汚染されると大変なことになるかも

自宅以外で水道水を直接飲むという方は少ないでしょう。しかし、特定建築物には飲食店も入っている場合が少なくありません。水質汚染にはいろいろなパターンがあります。雑菌が繁殖している場合もあれば、金属が溶けている場合もあるでしょう。

また、消毒薬に使われている薬が化学反応を起こして体に有害な消毒副生成物を作っている場合もあります。日本の水質基準はとても厳しいので、数値を上回ったからといってすぐに命に別状があるわけではありません。しかし、一部の雑菌などは熱しても冷やしても消えないのです。

雑菌が繁殖している水を調理や飲み物を作るのに使った場合は、食中毒が発生する可能性もゼロではありません。特定建築物は多くの方が利用します。特に、駅ビルなど公共交通機関に直結した施設で食中毒が発生した場合は、保菌者が広範囲にわたって散らばってしまうこともあるでしょう。食物が原因の食中毒ならば、食べる人も限られています。

しかし、飲用水の場合は老若男女だれもが口にするのです。ですから、水が汚染されていれば大変なことになるかもしれません。さらに、金属は長期間にわたり体に蓄積されると、内臓などにダメージを与えることがあります。水が金属に汚染されて、なおかつ長期間気づかなかった場合は、時間がたってから障害が出ることもあるでしょう。ですから、水質の検査は大切なのです。

水質汚染は雑菌が繁殖している場合もあれば、金属が溶けている場合もあるんですね。
雑菌が繁殖していれば食中毒が発生する可能性がありますし、金属に汚染されていれば内臓などにダメージを与えることがあります。

3.水質検査の項目とやり方について

では、水質検査はどのように行えばよいのでしょうか? この項では、水質検査の項目と頻度、検査を引き受けてくれる機関についてご紹介します。

3-1.水質検査の内容とは?

水質検査は、省略不可能な11項目と省略可能な5項目、消毒副生成物の12項目、有機化合物の7項目があります。そのうち、省略不可能な11項目と、省略可能な5項目は6か月に一回の検査が必要です。ちなみに、省略可能な5項目は前回の検査で基準値を上回っていれば、次の検査では省略可能になります。消毒副生成物の検査は1年に1回、有機化合物の検査は3年に1回となっているのです。

また、プールが備えてある施設ではプールの水質検査、飲料不可ですがトイレの水などに使う雑用水がためられている受水槽がある場合は、雑用水検査が必要になります。つまり、水を使う設備が多いほど、検査も多くなっていくでしょう。

3-2.水質検査を行ってくれる機関は?

水質検査を行ってくれる機関は、各自治体に数か所ずつあります。公益財団法人や一般財団法人の形をとっていることが多いでしょう。ビルごとに水質検査を行ってくれる機関と契約してあることも珍しくありません。水質検査を行ってくれる機関は、利益を追求する一般企業ではないことがほとんどです。ですから、金額もどの機関に頼んでもそれほど変わりありません。

ただし、「依頼したのにいつまでも来てくれない」とか「検査がいいかげん」といった場合は、ビル管理士の権限で水質検査を行ってくれる機関を換えることもあるでしょう。

3-3.水質検査はいつ行うの?

水質検査は、給水前に行うのが普通です。ですから、特定建築物ではオープン前に行われることが多いでしょう。ホテルや旅館など24時間人がいるという場合は一番水を使わない朝食前あたりに行うことが多いようです。また、年に1度受水槽の清掃も行わなければいけませんので、それに合わせて水質検査を行う施設も多いでしょう。万が一、水質に異変が発生した場合は、施設の閉鎖を含む対応を協議しなければなりません。また、水質検査の結果は、一定期間保存しておきます。

水質検査は、省略不可能な11項目と省略可能な5項目、消毒副生成物の12項目、有機化合物の7項目があるんですね。
省略不可能な11項目と、省略可能な5項目は6か月に一回の検査が必要です、省略可能な5項目は前回の検査で基準値を上回っていれば、次の検査では省略可能になります。

おわりに

今回は、ビル管理法に基づく水質検査の項目や頻度についてご説明しました。
まとめると

  • 特定建築物は、ビル管理法に基づいて定期的に水質検査が義務づけられている。
  • 水質検査を責任もって行うのはビル管理士である。
  • 水質検査は6か月~1年に1回、ビル管理士の主導の元に行う。

ということです。ビル管理士は、特定建築物が安全に使われるように管理するための資格。ですから、水質検査も業務の一部です。といっても水質検査を実際に行うのは、業者になります。ビル管理士は6か月~年に1度業者や機関に依頼して、水質検査を正確に行わなくてはなりません。水質検査を定期的に行わなかった場合は、法律によって罰せられるでしょう。また、前述したように水質検査の結果物質が基準値を超えていた場合は、すぐに対策を立てる必要があります。

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