一般粉じん発生施設の定義について解説! 特定粉じん発生施設との違いは?
2018/10/05
「公害防止管理者の資格を取得するため、一般粉じん発生施設に関することを詳しく知りたい」という人は、いませんか? 公害防止管理者の資格区分の1つ、「(一般・特定)粉じん関係」の資格を取得するには、粉じん施設の定義や届け出の方法などをよく理解しておくことが大切です。
そこで今回は、一般粉じん発生施設と特定粉じん発生施設の違いや、粉じん発生施設における公害防止管理者の選任の義務などについて解説します。
この記事を読めば、公害防止管理者の資格取得方法もよく分かるでしょう。公害防止管理者の資格を取得したい人は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.粉じん発生施設の基礎知識
はじめに、粉じん発生施設の種類や排出基準、届出の義務などについて解説します。
1-1.粉じん発生施設とはどのようなものか
粉じん発生施設は、大気汚染防止法において「粉じんを発生する施設」として構造・使用・管理基準などが規制されている施設のことです。一般粉じん発生施設と特定粉じん発生施設の2種類があります。
1-2.一般粉じん発生施設とはどのようなものか?
一般粉じん発生施設とは、鉱物・石炭・土石などを運搬・破砕・選別・堆積するような施設が該当します。具体例を挙げると、コークス炉・堆積場・ベルトコンベアー(バケットコンベアー)・破砕機(摩砕機)・ふるいです。規模については、環境省の該当ページに詳しい記載があるので、確認してください。
1-3.特定粉じん発生施設とはどのようなものか?
特定粉じん発生施設とは、石綿を切断・研磨・プレス・破砕(摩砕)する施設のことです。原動機の定格出力が2.2~3.7kW以上ある石綿を扱う施設は、おおむね該当すると考えていいでしょう。特定粉じん発生施設は、9種類に分類されており、環境省の該当ページに詳細な記載がありますので、確認してください。現在のところ、特定粉じん発生施設に該当する物質は石綿に限られています。
1-4.一般粉じん発生施設の規制について
一般粉じん発生施設を設置する場合は、設置する場所の自治体に施設の種類・規模・配置図・飛散防止のための装置の配置図、管理方法などを事前に届け出なければなりません。また、粉じん濃度の測定義務の規定はありませんが、公害防止管理者の選任が義務づけられています。また、大気汚染防止法によって該当施設の構造・使用・管理の基準が定められており、厳守することが求められているのです。なお、一般粉じん発生施設の構造・使用・管理の基準については自治体独自の条例が制定されていることもあるので、必ず確認してください。
1-5.特定粉じん発生施設の規制:届け出について
石綿を扱う特定粉じん発生施設は、設置するだけでなく、施設の使用を廃止した場合や施設の経営者が変わった場合なども、すべて届け出が必要です。設置する場合は、工事着手予定の60日前まで、廃止した場合は廃止後30日以内と、届け出を出す期間まですべて決められているので、注意しましょう。なお、届け出を出す先は、設置されている場所の自治体です。自治体独自の決まりがあることもあるので、必ず事前に確認してください。
1-6.特定粉じん発生施設の規制:濃度測定について
特定粉じん発生施設は、工場や事業場の敷地の境界線における大気中の濃度を6か月に1度の割合で測定し、その結果を3年間記録しておかなければなりません。ただし、従業員が20名以下の場合は、測定期間を延ばすことができます。
2.粉じん発生施設と公害防止管理者について
公害防止管理者とは、公害を発生させる可能性のある工場や施設などに常駐し、公害発生を未然に予防するために、大気・水・振動・騒音などの検査を行える国家資格です。一般粉じん発生施設は、特定粉じん発生施設と共に、公害防止管理者の選任が義務づけられている、特定工場に該当します。
なお、公害防止管理者には13種類の資格区分がありますが、一般粉じん発生施設で公害防止管理者の選任がうけられるのは、一般粉じん関係公害防止管理者の有資格者です。ちなみに、特定粉じん発生施設は、特定粉じん関係公害防止管理者の有資格者になります。
3.粉じんの公害防止管理者の資格を取得する方法
この項では、粉じんの公害防止管理者資格の取得方法を解説します。取得すれば、昇給や昇進が見込まれるほか、仕事の幅が広がって転職にも役立つでしょう。
3-1.公害防止管理者の資格を取得する方法
公害防止管理者の資格を取得するには、一般社団法人産業環境管理協会が主催する試験を受けて合格する方法と、協会が主催する認定講習を受ける方法があります。試験の場合、受験資格は定められていないので、性別・年齢・学歴・職業に関係なく受験することが可能です。一方、認定講習は、第1種・第2種電気主任技術者や、甲種・乙種ガス主任技術者など特定の技術資格を取得するか、一定期間の実務経験がなければ、受講することはできません。受講資格について詳しいことは、協会のサイトを確認してください。
3-2.試験科目について
国家試験の試験科目は、以下のとおりです。
- 公害総論
- 大気概論
- ばいじん・粉じん特論(特定粉じんのみ)
- ばいじん・一般粉じん特論(一般のみ)
なお、試験は科目合格が認められており、60%以上得点できればその科目は合格です。3年以内にすべての科目に合格できれば、総合合格となります。
3-3.認定講習の申し込み方法
認定講習は、毎年30回程度実施されます。一般社団法人産業環境管理協会のサイトから、申込手順の冊子や申込書がダウンロードできるのでまずはよく確認してください。認定講習を受講できる資格を満たしている場合、申込書に必要事項を記入し、協会宛に仮申し込みを行います。審査後に受講が認められれば、本申し込みを行いましょう。講習は1日で終わります。講習料金は、一般粉じん関係が16,000円で、特定粉じん関係は17,000円です。講習は、全国の主要都市で行われるので、遠方に住んでいる場合は宿泊して参加する必要があります。なお、認定講習の定員に達しない場合、講習が中止されることもあるので承知しておきましょう。
3-4.試験の申し込み方法
公害防止管理者の試験は、毎年10月に行われます。受験申し込みは、一般社団法人産業環境管理協会からの電子申請が利用可能です。受験料8,200円で、試験が免除される科目があっても電子申請ができます。協会のサイトから、申し込みの手順を説明した冊子がダウンロードできるので、まずはよく読んでください。なお、受験会場は全国の主要都市です。試験会場から遠い場合は、宿泊準備をしてください。
3-5.勉強方法のコツ
公害防止管理者の試験は、一般社団法人産業環境管理協会が受験対策講座を開催し、参考書なども販売しています。受験対策講座が受講できない人のために、通信講座も開催されているので、自分に合った方法を選んでください。試験を主催しているところの講座なので、効率的に試験に必要な知識を身につけることができます。
4.一般粉じん発生施設に関するよくある質問
この項では、一般粉じん発生施設に関するよくある質問を紹介します。
Q.一般粉じん発生施設は、石綿以外、粉じんが発生するすべての物質を堆積や破砕するための施設ですか?
A.はい。現在のところ、そのような認識です。
Q.たとえば、石綿とコンクリートが混じったものを堆積しておく場合は、特定粉じん発生施設に該当しますか?
A.はい。石綿が含まれていれば、特定粉じん発生施設です。
Q.石綿をただ堆積しておくだけで、粉じんが舞い散る可能性がごくわずかでも、特定粉じん発生施設に該当しますか?
A.はい。石綿が含まれている時点で一般粉じん発生 施設には該当しません。
Q.一般粉じん発生施設は、大気の測定は必要ないのですか?
A.法律では義務化されていませんが、粉じんが舞い散ることが多い場合は測定して健康管理の目安にしてもいいでしょう。
Q.一般粉じん発生施設の公害防止管理者と、特定粉じん発生施設の公害防止管理者は同時受験可能ですか?
A.いいえ。公害防止管理者の資格試験はどの資格区分も同日に行われるので、不可能です。
まとめ
いかがでしたか? 今回は、一般粉じん発生施設について解説しました。石綿が含まれない鉱物・石炭・コンクリートなどを堆積や粉砕する施設が該当すると覚えておけば間違えることはないでしょう。
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