特定工場に指定されるための条件は? 関連する法律や規制を詳しく解説

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特定工場とは、操業中に排出される空気や水、さらに製造などに使われる物質が公害の原因になる可能性のあるものを使っている工場のことです。
これらの工場は、公害防止管理者を選任し、公害を防止する設備を設置しなければなりません。
今回は、この特定工場とはどのような工場なのか、ということをご説明しましょう。
公害防止管理者を目指す方はもちろんのこと、自分の職場が特定工場に指定されているという方はぜひこの記事を読んでみてください。

  1. 公害と特定工場の関係とは?
  2. 特定工場に関する法律や義務とは?
  3. 公害防止管理者の選任や届け出について
  4. 公害防止管理者の職務とは?
  5. おわりに

1.公害と特定工場の関係とは?

公害とは、人の活動にともなって発生する大気・水・土の汚染。騒音や振動、地盤沈下や悪臭などです。
人の文明が発達するにつれて公害の規模も大きくなりました。
日本でも昭和30年代~40年代にかけて各地で公害が発生し、たくさんの被害者が出たのです。
学校の授業で習った方も多いでしょう。公害が発生する原因は複数あります。
その中でも、操業しているときに出る排気や排水、有害な副産物が原因となった例が多いのです。
実際、日本で発生した大規模公害のほとんどが、工場から出る排水や排気が原因のもの。
ですから、公害の原因となる物質がどうしても発生してしまう工場を「特定工場」に指定し、規制をかけることで公害を未然に防いでいるのです。

2.特定工場に関する法律や義務とは?

この項では、特定工場の選定や運用に関係する法律などについてご紹介します。
特定工場とは、どのような工場なのでしょうか?

2-1.特定工場に指定される工場とは?

特定工場には、物品の加工を含む製造業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業が業種として指定されています。
また、業種に問わずばい煙、汚水、振動、騒音、粉じん、ダイオキシンが発生する工場は特定工場に指定されるのです。
こうしてみると、特定工場に指定されないところの方が少ないということがお分かりになるでしょう。

2-2.特定工場に指定されると義務づけられることとは?

特定工場に指定されると、3つの義務が課せられます。
ひとつは、公害防止管理者の選任です。
公害防止管理者とは、工場が公害の原因とならないように燃料や原材料の検査、騒音や振動を起こさないような配置の改善、そして空気や水の汚染度を測定できる資格のこと。
一定の汚染物質が発生する工場には、必ず専任が義務づけられています。
2つ目は、公害防止管理者が定期的に工場から排出する空気や水を測定し、必要ならば設備の改善をすることです。
そして3つ目は、公害の原因となる物質が大気や水中に放出されたり騒音や振動が起こったりしないように、工場の設備を整えることになります。
この3つが守られないと、法律により罰せられるのです。

2-3.特定工場に関する法律とは?

特定工場は、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、騒音規制法などの法律が適用されます。
この法律を破っても罰則があるのです。
また、法律だけでなく自治体の条例も守らなければなりません。
このような法律があるからこそ、公害が起きなくなっているのでしょう。
しかし、法律は万能というわけではありません。せっかく法律があってもそれを工場に勤務する方が守らなければ意味がないのです。

2-4.公害防止管理者に関する法律とは?

公害防止管理者とは、公害を未然に防ぐことを職務とすることができる資格です。
公害は、一度発生してしまうと事態の収拾にまで長い時間と費用がかかります。
また、原因によっては被害者が出るかもしれません。
そのため、公害は予防が大切です。公害防止管理者は公害防止の職務に就くことができますが、その制度を定めたのが「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」になります。
この法律に沿って公害防止管理者は職務を行うのです。
ただし、この法律はどの工場にも当てはまるわけではありません。
日本にある工場の大部分を占める中小規模の工場は、自治体の条例などに基づいて公害予防をすることになります。

3.公害防止管理者の選任や届け出について

公害防止管理者は、特定工場に指定された工場に選任しなければならない有資格者です。
どんなに小さい工場でも公害防止管理者は必要になります。
また、このほかにも公害防止管理統括者、公害防止主任管理者などの選定が必要になることもあるのです。
この場合は、従業員数や1日に排出される汚水、ばい煙の量などによって専任が必要なのかどうかが決まります。
さらに、自治体の条例によって独自の選任方が必要になるケースもあるでしょう。
なお、特定工場に指定された場合は、その日から30日以内に公害防止管理者を選任しなければなりません。
公害防止管理統括者、公害防止主任管理者も同じです。
ですから、工場の稼働日が決まった時点で、選任を行いましょう。なお、届け出を出すのは自治体のトップになります。
都道府県知事や市町村長になりますが、詳しくは自治体に問い合わせてください。
ちなみに、公害防止管理統括者だけは、無資格でも専任できますがほかはすべて資格が必要です。

4.公害防止管理者の職務とは?

では、最後に公害防止管理者の職務や資格を取得する方法をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

4-1.公害防止管理者の職務とは?

公害防止管理者の職務は、前述したように公害を未然に防ぐことです。
しかし、公害の原因となる物質は、水にとけるものもあれば大気中に放出されるものもあります。
さらに、振動や騒音、悪臭などもあるのです。
公害防止管理者は大まかに分けて、大気関係、水質関係、騒音・振動関係、ダイオキシン関係、粉じん関係に分かれています。
すべての資格を取得すれば、どのような特定工場でも検査や施設の改善などを行うことも可能ですが、そのような方はごくわずかでしょう。
多くの有資格者は、職場で必要な種類の資格だけを取得しています。
また、いくら公害防止管理者の選任が行われても、工場が排出する汚染物質を検査したり改善したりできない管理者は認められないのです。
たとえば、水質汚濁の原因になる可能性がある物質が排出される工場に、大気関係の資格を取得した公害防止管理者が専任したところでできることはありません。
届け出を出しても認められないのです。

4-2.公害防止管理者になるには?

公害防止管理者になるには、一定の職務経験を積んで試験を受ける必要があります。
公害防止管理者は前述したように種類がたくさんあるので、必要なものから受けてください。
なお、実務経験がない分野の試験は受けられませんので注意しましょう。
公害防止管理者は、工場によって求められる内容が違います。
公害防止管理者を工場が募集する場合は、どの分野の資格を取得しているか、まで指定して募集をしましょう。

5.おわりに

いかがでしたか?今回は特定工場についていろいろとご説明しました。
記事を読んでいただければ分かりますが、特定工場に当てはまらない工場の方が少ないでしょう。
そのため、新しく工場を開設したいと思う場合や、公害防止管理者が退職したりした場合は、すぐに新しい有資格者を選任する必要があります。
ですから、工場によっては従業員に資格取得を奨励しているところもあるでしょう。
一定に実務経験が必要なので、資格取得のチャンスがある方は、ぜひ取得しておくと有利です。

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