
感知器の種類や用途を徹底解説! 設置場所に合わせて選ぼう!
2016/04/25
2020/06/23
感知器とは、煙や熱を感知して火事の発生を知らせてくれる装置です。オフィスビルや商業施設など広いところにたくさんの人が活動している場所では、火事が起こっても気づかれにくいこともあります。火災の発見が遅れれば、それだけ犠牲者も増える恐れが出てくるでしょう。そのため、感知器の設置が法律で義務づけられているのです。
今回は、感知器の種類や用途をご紹介しましょう。一口に感知器といっても、適した場所に設置しなければ誤作動をくりかえすこともあります。
また、火事を感知する速度にも差が出てくるでしょう。消防設備士の資格取得を目指している方も、ぜひこの記事を読んでみてください。
1.感知器とは?
感知器とは、火事が起きた際に熱や煙、さらに赤外線や紫外線を察知して火事が起きたことを知らせたり、消防署へ自動で通報したりする装置の総称です。火事を察知する機器としては、スプリンクラーをイメージする方も多いですが、あれは自動消火器に分類されます。感知器は、大きく分けて自動と手動があるのです。自動感知器というのは、前述したように煙や熱を察知して音や信号で火事の発生を知らせます。手動感知器というのは、誰かが火事を見つけたとき、素早く広範囲に火事を知らせる装置です。非常ベルがこれに該当します。
感知器は、消防法によって一定の面積を持つ建物には設置が義務づけられているのです。しかし、施設によっては厨房(ちゅうぼう)など火事以外にも熱を使うところが少なくありません。そのため、場所によって感知器の種類を変えて、確実に火事だけを察知できるようにすることが大切です。
2.感知器の種類は?
この項では、感知器の種類と用途についてご紹介します。感知器は火事の際に発生するいろいろなものをキャッチできるセンサーがついているのです。ですから、用途に合わせて選ぶことが大切になるでしょう。
2-1.熱感知器
火災が起きると、周囲の温度が上がります。このときの熱を感知して警報器を鳴らすのが、熱感知器です。熱感知器には作動式スポット型、定温式スポット型があります。熱、というのは火事以外でも上昇したり下降したりするのです。たとえば、白熱灯をつけていても周囲の熱は上がるでしょう。さらに、暖房器具をつけていたりコンロの火をつけていたりしても、温度は上がります。その度にいちいち感知器がなっていてはしょうがありません。
そこで、温度が上昇する速度によって感知器が作動するのが、作動式スポット型です。感知器が作動する温度が決まっていないので、厨房(ちゅうぼう)など温度変化が激しい場所でもつけられるでしょう。定温式スポット型は、一定の温度になると作動します。普段火の気のない場所や、温度変化がほとんどない場所に設置するのならば、これで十分でしょう。
2-2.煙感知器
火事になると炎とともに発生するのが煙です。燃えるものによっては、炎よりも先に煙が激しく上がるというものもあるでしょう。煙感知器は、光電式、スポット型、分離型があります。光電式は周囲の空気に一定の濃度の煙が混じったら、警報を発するのです。普段煙が立たない場所に設置するならば、これで十分でしょう。スポット型は、特定の場所で煙が発生すると感知するような仕組みになっています。
たとえば、一か所に熱源があり、それが一定以上の温度まで上がって煙が発生したら危険、という場所に置くとよいでしょう。厨房(ちゅうぼう)に設置しておくとよいですね。分離型は感知器と受光器という2組1セットの火災報知機。この2組の装置の間に煙が上がってセンサーがさえぎられると火事だと認識して警報を鳴らします。たとえば、ストーブやコンロなど一定の広さを持つ熱源のある場所に設置しておくとよいでしょう。
2-3.赤外線や紫外線を探知する機器
火事が発生するとき、炎や煙以外にも赤外線や紫外線が発生します。この紫外線や赤外線を察知して警報を鳴らす装置もあるのです。赤外線や紫外線は炎の規模にかかわらず発生します。
また、炎が上がらなくても炭火のように大量に赤外線を発する熱源もあるでしょう。そのため、「炎や煙が上がりにくい素材がたくさんある」という場所に設置しておくと火災を早期発見しやすくなります。
3.感知器の設置基準は?
感知器の設置基準は、消防法によって定められています。「とにかく何でもいいから、設置しておけば火災が感知できるのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、熱感知器の場合は、熱がある程度伝わらなければ作動しないのです。天井まで熱が届くほどの炎、というと相当燃え盛っている、と思って間違いないでしょう。ですから、非常時に避難通路になるところには、熱感知器よりも煙感知器を設置しておいた方がよいのです。
また、「無窓階かつ特定用途建築物」には、煙感知器を設置しなければなりません。粉じんが多いなど特殊な事例を除いて、熱報知機をつけても消防法違反になってしまうので注意が必要です。さらに、天井の高さも考慮に入れましょう。火災感知器は一定の熱や煙が届かなければ反応しません。天井が高いほど報知器の数を多くしなければならないのです。その基準は、4mですので、これから建物を建てるという方は注意しましょう。4m以上の天井を作る場合は、報知器の感知区分が半分になってしまいます。
また、サウナのような常時高温の場所に設置する報知器は、高温仕様のものを使いましょう。値段は高くなりますが、通常の火災報知機では誤作動の原因になります。
4.感知器の誤作動を防ぐには?
感知器は火災が起きない限り出番はありません。それが一番よいのですが、困るのが誤作動です。報知器が誤作動すれば、その度に確認しなければなりません。あまりに続くと業務が滞るようになるでしょう。その結果、「火災報知機の電源を切ってしまう」ということになる可能性があります。かつて、大勢の犠牲者を出したホテルの火災は、火災報知機の電源を切っていたため被害が大きくなったのです。火災報知機の誤作動を防ぐためには、設置位置を適切なものにすることと、定期的な点検が大切になります。
ただし、定期点検や設置は消防設備士の有資格者しかできませんので、注意してください。資格を保持している方は、誤作動が多い場合はメーカーの人とも相談して報知器を変えたり設置場所をずらしたりしてみましょう。
おわりに
今回は、感知器の種類や設置基準について説明しました。現在では、室内で裸火を使うことはほとんどありません。しかし、厨房(ちゅうぼう)ではコンロを使いますし、暖房をつければ一か所だけ温度が上がることもあるでしょう。これらを考えて感知器を設置しなければなりません。
また、感知器が誤作動をするという場合は感知器が故障しているか、感度がよすぎる場合もあります。さらに、感知器の種類があっていないということもあるでしょう。前述したように、消防設備士の職務の中には感知器の点検や整備もあります。あまりに誤作動をくりかえすようでしたら、ビルの持主などと相談して感知器の種類や位置を変えるように提案してみましょう。わずか数十センチ位置をずらすだけで誤作動が無くなる可能性もあります。最初に設置するときも、熱源がある場合はよく考えて場所を選びましょう。
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