
公害防止統括者とは? 職務内容や資格取得のコツまで完全網羅!
2016/10/31
2021/04/07
環境への配慮やエコへの意識が高まりつつある今、公害防止統括者に注目が集まっています。しかし、公害防止統括者とはどのようなものなのか、よくわからない人が多いのも事実です。そこで、今回は公害防止統括者について詳しく解説をしています。公害防止統括者について知りたい人、公害防止に関する資格取得に興味がある人には役に立つ内容ですよ。
- 公害について
- 公害防止統括者について学ぼう
- 公害防止統括者の選任義務について
- 公害防止統括者に関連する「管理者」とは
- 公害防止管理者・公害防止主任管理者の資格取得について
- 公害防止統括者に関するよくある質問に回答
記事を読んだ人は、公害防止統括者だけでなく公害防止管理者や公害防止主任管理者についての知識も同時に身に付けることができます。また、資格取得のための試験に関する情報や勉強法のコツなども知ることができて有益です。公害防止統括者を目指す人は、ぜひ読んでくださいね。
1.公害について
まずは、公害そのものについて学ぶことにしましょう。公害とはどういうものかを理解した後で、公害防止管理者制度を解説することにします。
1-1.公害の定義とは
公害とは、工場などが化学汚染物質を排出することによる自然破壊や環境破壊が原因で起きます。主な公害の種類に関しては下記をご覧ください。
- 大気汚染
- 水質汚濁
- 土壌汚染
- 騒音
- 振動
- 悪臭
- 地盤沈下
公害は、単独で起きるだけでなく複数の要素を伴って起きることもあります。公害が発生すると、私たちの健康を大きく損ねるほか、環境悪化による生態系の乱れなど、さまざまな悪影響が起きることを知っておきましょう。
1-2.公害防止管理者制度とは
公害防止管理者制度とは、公害発生の予防を目的した制度です。具体的には、一定の条件を満たした工場に対して、公害防止統括者や公害防止管理者を中心した組織を作って運用することを国が義務付けている制度になります。公害防止統括者や公害防止管理者の選任をしなかったり、公害防止に向けて適切な対応を取っていないと判断したりした場合は違反となるので注意しましょう。
2.公害防止統括者について学ぼう
公害防止統括者の定義や職務内容、必要性を学びましょう。公害防止統括者の存在意義を深く理解できますよ。
2-1.公害防止統括者の定義を学ぼう
公害防止統括者とは、公害防止を目的とした組織の統括者に当たる立場のことです。公害防止統括者は公害防止管理者などをまとめる立場となるため、工場では工場長を公害防止統括者として専任することが多くなります。
2-2.公害防止統括者の職務内容を解説
公害防止統括者の職務内容は、工場の公害防止に関する業務を統括して管理することです。公害を防止するためには、組織として目標を掲げたり具体的な対策を考えたりすることも大切ですが、実際に現場で作業するのは一般の労働者たちとなります。公害防止統括者は、労働者たちに公害防止のための心掛けやノウハウを教育することも大切な職務なのです。
2-3.公害防止統括者の必要性とは
公害防止への取り組みは、工場全体で連携して行うべきです。しかし、たくさんの労働者がいる工場では、必要事項の徹底を図ることが難しい点もあります。そのため、公害防止への取り組みを統括する立場の人間が必要と考えてください。統括防止管理者は、公害防止管理者や公害防止主任管理者とともに、公害防止に努力しているのです。
3.公害防止統括者の選任義務について
公害防止統括者には、選任義務があります。具体的に、どんな条件が揃(そろ)うと選任義務が発生するのかを学びましょう。
3-1.特定工場とは
特定工場とは、次のような条件に当てはまる工場のことです。
- 業種が製造業(物品の加工業を含む)・.電気供給業・ガス供給・熱供給業のいずれかである
- ばい煙発生施設・特定粉じん発生施設・一般粉じん発生施設・汚水等排出施設・騒音発生施設・振動発生施設・ダイオキシン類発生施設のいずれかの施設を所有している
特定工場と認定するには、上記の条件を両方とも満たす必要があります。ちなみに、上記で挙げた施設は、「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律施行令」に規定があるので覚えておくといいでしょう。
3-2.選任義務の条件は?
公害防止統括者の選任義務は、基本的に特定工場と認定されることが条件となります。しかし、常時使用する従業員の数が20人以下の小規模事業者は、公害防止統括者を選任する必要がありません。特定工場、かつ、常時雇用する従業員の数が21人以上の場合は、選任義務が発生します。なお、従業員は正社員である必要は無く、パート従業員やアルバイト従業員も含みますので注意してください。
3-3.選任するための資格は?
公害防止統括者は、公害防止管理者の資格を持っていない者でも選任可能です。従って、公害防止管理者資格の有無に限らず、工場長など組織の上に立つ役職の者を選任することが現実的と言えます。専門的な知識などは、公害防止統括者の下に付く公害防止管理者もしくは公害防止主任管理者がサポートをすると認識してください。
3-4.公害防止統括者の届け出について
企業は、公害防止統括者と選任したことを30日以内に届けることになっています。届け出を行わないままにすることは、法律に反することになるので気を付けましょう。なお、届け出の手続きは、事業者が行うことが基本です。しかし、工場長が代理で手続きを行うことも可能になっています。いずれの場合も、選任した日から30日以内の届け出を忘れないでください。
4.公害防止統括者に関連する「管理者」とは
公害防止統括者のほかにも、公害を防止するための「管理者」資格が存在します。ここでは、公害防止管理者と公害防止主任管理者について説明しましょう。
4-1.公害防止管理者について
公害防止管理者とは、特定工場において公害防止に関する技術的な部分を管理する人のことです。公害防止管理者は、国家資格のひとつでのため資格試験に合格する必要があります。公害防止管理者には、13種類の区分に分かれていることが特徴です。資格取得のときには、業種に合った区分を選んで受験するようにしましょう。
4-2.公害防止主任管理者について
公害防止主任管理者とは、公害防止統括者や公害防止管理者と共に公害防止に努めることが職務となります。公害防止主任管理者に選任されるためには、公害防止管理者資格を得ているなどの条件が必要です。ただし、公害防止主任管理者の選任義務は、多量のばい煙および汚水を排出する施設を有する工場に限ります。
4-3.公害防止管理者・公害防止主任管理者の資格について
公害防止管理者資格を得るには、国家試験に合格することが必要です。また、公害防止主任管理者は、公害防止管理者などの資格取得者の中から選任する必要があります。公害防止管理者など、規定の資格が無い者を公害防止主任管理者として選任することはできません。
5.公害防止管理者・公害防止主任管理者の資格取得について
公害防止管理者や公害防止主任管理者の資格取得について、詳しく解説します。受験資格や試験内容など、しっかり目を通してくださいね。
5-1.公害防止管理者試験の受験資格
公害防止管理者試験を受けるためには、実務経験は必要としません。そのため、実務経験が無い状態でも公害防止管理者の受験をすることは可能です。未経験者でも挑戦しやすいことが公害防止管理者試験の特徴でもあります。公害防止主任管理者も、公害防止管理者試験で公害防止主任管理者区分を受験する必要はありますが、実務経験は問いません。
5-2.公害防止管理者試験の概要を解説
公害防止管理者試験の概要は、下記を参考にしてください。
- 試験日時:1年に1回、10月に実施
- 試験場所:札幌・仙台・東京・愛知・大阪・広島・高松・福岡・那覇
- 受験料:6,800円もしくは6,400円(区分により異なる)
- 申し込み方法:郵送もしくはインターネット経由にて
公害防止管理者試験は、1年に1回のチャンスとなります。申込期日に間に合うように余裕を持って受験申請してください。公害防止管理者試験は、科目合格制度があることを覚えておきましょう。資格試験自体には不合格でも、一部の科目が合格点に達している場合は、最初に合格した年を含め3年まで合格科目の受験が免除できます。科目合格の特典を受けるためにも、免除申請を忘れないでください。
5-3.公害防止管理者試験の内容
公害防止管理者試験の科目・時間については、下記をご覧ください。
- 試験科目:受験区分により異なる(参考:区分ごとの試験科目の範囲)
- 試験時間:受験区分により異なる(参考:受験区分・科目別試験時間)
なお、試験はマークシート方式の学科試験だけで実地試験はありません。また、科目ごとに合格基準を判定し、すべての科目で合格基準を満たした場合に資格取得となります。
5-4.公害防止管理者試験の難易度や合格率
公害防止管理者試験の難易度や合格率は、どうなっているのでしょうか。公害防止管理者試験は、区分が細かく分かれているものの20%から40%程度の合格率となっています。半分以上の受験者が不合格になると考えると、合格率は高いとは言えません。しかし、きちんと試験対策をして臨めば合格することは十分に可能ですよ。
5-5.公害防止管理者試験の注意点
公害防止管理者試験を受けるときは、試験区分を間違わないで申し込みましょう。公害防止管理者は、大気・水質など区分が細かく分かれていて試験内容が異なります。受験申請のときには、試験区分を間違えないように十分に気を付けてください。また、公害防止主任管理者資格を取得する人も、区分を間違えないようにしましょう。
5-6.資格取得のための講習や勉強法について解説
公害防止管理者の資格試験に合格するためには、実際の試験に即した勉強を行う必要があります。具体的には、過去問をたくさん解いたり類似問題を徹底的にこなしたりすることがおすすめです。また、利用者の合格率が高かったり評判が良かったりすることも大切な条件と言えます。
6.公害防止統括者に関するよくある質問に回答
最後に、公害防止統括者に関するよくある質問に回答します。今まで学んだことの復習としても役立ちますから、それぞれ確認してくださいね。
6-1.公害防止統括者は専任で職務に当たる必要が無いのですか?
公害防止統括者に選任されても、職務に専任する必要はありません。現実には、工場長などを職場の長(おさ)として公害防止統括者に選任することが多くなります。工場長を選任すると、公害防止業務だけにかかわるわけにはいきません。もちろん、公害防止管理者や公害防止主任管理者と協力して専任で職務に当たっても良いのです。大企業などで雇用に余裕がある場合は、公害防止統括者も専任で職務に当たることが望ましいと言えます。
6-2.公害防止統括者は工場長以外の人間を選任してもいいですか?
公害防止統括者は、統括管理する立場にある者が望ましいという理由から工場長を選任することが通例です。しかし、必ずしも工場長である必要はありません。工場長以外にも、公害防止統括者として適任と考える人材を選任してもいいのです。また、公害防止統括者は公害防止管理者資格を取得していなくても構いません。
6-3.公害防止統括者が休暇を取っているときは代理人を選任するべきですか?
公害防止統括者が休暇を取っていても、ただちに代理人を選任する必要はありません。また、常時複数の公害防止統括者を選任しなくても大丈夫です。しかし、公害防止統括者が休暇中に、万が一の事故が発生しては困ります。公害防止統括者の休暇中には、代理業務ができる人物を指定しておくことが理想です。
6-4.公害防止統括者が異動・退職になったときはどうすればいいですか?
公害防止統括者が異動・退職になった場合は、新たに選任し直す必要があります。なお、公害防止統括者の異動・退職が頻繁(ひんぱん)にあると、届け出の手続きを忘れてしまいがちです。後任の公害防止統括者を選任し直した場合は、届け出を忘れないようにしましょう。
6-5.公害防止管理者資格は更新義務がありますか?
公害防止管理者資格は、ひとたび取得すると永年資格となります。そのため、更新手続きをする必要はありません。また、資格取得後の免許申請もありませんから安心してください。公害防止管理者資格を持っていることは、社内での昇進に有利なだけでなく、転職の際にも優遇を受ける可能性が高いなどメリットがたくさんあります。需要のある資格ですから、ぜひがんばって合格を目指しましょう。
まとめ
今回は、公害防止統括者に関するあらゆることを解説しました。公害防止は、公害防止合統括者の最も重要な職務となります。企業が利益を追求しながらも、環境に配慮する姿勢を維持するには、普段からきちんと環境問題に気を配ることが大切です。公害防止統括者は、工場において公害防止に関するまとめ役として重要な任務を抱えています。将来、公害防止統括者として活躍するためにも、公害防止管理者や公害防止主任管理者の資格取得を目指しましょう。
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