
配管工事の関連資格を一挙紹介!資格取得でスキルアップを目指そう!
2016/10/18
2021/04/07
「スキルアップのために資格をとりたい」「就職・転職に役立ちたい」など、配管工事の資格取得を考えている方は多いでしょう。資格を取得するには配管工事について詳しく知らなければなりません。そこで、配管工事とはどんなものなのか、配管工の職務や資格概要・試験など詳しく説明します。配管工事について知りたい方や資格をとりたい方はぜひ参考にしてください。
この記事を読むことで、配管工事について詳しく知ることができます。そして、配管工事に必要な資格を取得しましょう。
1.配管工事(管工事)とは
東京オリンピックに向けて建築工事がすすんでいる中、配管工事の需要も高まってきています。そこで、配管工事とはどんなものか、どんな種類があるのか見ていきましょう。
1-1.どんなものか
配管などの設備工事をおこなう専門工事のことを「配管工事(管工事)」といいます。冷暖房や空気調和・衛生・給排水など設置するには配管工事が必要です。金属製の配管を通じて、水やガス・水蒸気などを送ります。
1-2.どんな種類があるのか
配管工事の種類は幅広いです。主に、空調機・ボイラーなど機器類の設置や給水・排水などの衛生配管工事・冷温水配管・蒸気配管などの配管工事になるでしょう。ほかにも、衛生機器・風呂設備などの機器類も設置します。また、空調・排気などのダクト工事や排気フード設置工事も配管工の1つです。
2.配管工について
実際、配管工の仕事は大変なのか、自分でできるかどうか不安になるでしょう。最初は誰だって不安です。資格取得のためにも職務や求人・年収など気になる内容を把握しておきましょう。
2-1.職務
配管工の職務は、住宅やビルなどの専用スペースで給水管・排水管・ガス管などの設置・工事をおこなう作業になります。管をつないで配管を造り、冷暖房の換気設備や空気洗浄装置などを取り付ける工事です。配管工に使用する管の種類や必要な設備機器も把握しなければなりません。
2-2.区分とその概要
配管工事の区分は主に6つわかれています。区分は以下のとおりです。
- 空調配管工:空調に関する配管工事
- 衛生配管工:給排水など衛生に関する配管工事
- 冷媒配管工:エアコンに関する配管工事
- ガス配管工:ガスをつなぐ管工事
- 医療ガス配管工:医療に関する管工事
- 消火配管工:消火・防災に関する配管工事
2-3.魅力・大変なこと
管工事は狭い場所や外での作業が多いです。そのため、真夏日は暑く、冬は寒い場所での作業になるでしょう。しかし、管工事にも魅力があります。管工事の魅力は資格試験を受けてステップアップを目指すことができる点です。配管工事に特別な資格は必要ありません。しかし、管工事施工管理技士や配管技能士・建築設備士など関連資格を取得することで、仕事の幅が大きく広がります。
2-4.求人・年収
配管工の求人は年々増加傾向にあります。建築業界の需要が高まってきているため、配管工の有資格者を採用している業者も増えているのです。また、配管工は造るだけでなく、メンテナンスも必要になります。メンテナンスをおこなう面でも配管工のプロが必要です。年収面ですが、配管工の年収はおよそ350万~420万円になります。資格を取得して仕事の幅を広げると、昇給が期待できるでしょう。
2-5.現状と将来性
配管工の仕事は工務店・ハウスメーカーからの依頼を受けておこなうことが多いです。そのため、利益がほとんど元請業者にとられてしまうケースもあります。よって、将来は自分たちが自ら仕事をとれるように元請業者化していかなければなりません。また、配管工をおこなうだけではなく、メンテナンスを重要視する傾向があります。メンテナンスは長く使い続けるための作業です。工事をするだけでなく、メンテナンスにも力を入れることで、配管工の仕事を長く続けられるでしょう。
2-6.適正について
配管類の組み立てや配管図面に基づいた作業など、配管工は地道な作業が多いです。また、狭い場所でも配管工具を扱いながら工事をします。そのため、地道な作業がコツコツとできる人・体を動かすことが好きな人に向いている仕事といえるでしょう。
2-7.女性の適正について
配管工は女性でも十分に活躍できる職務です。取りつけ工事や配管の組み立てには女性1人での作業が難しいケースもあります。そんなときは補助的な立場に回るのでケガをする恐れもありません。実際に、働いている女性の中には資格を取得しながら経験を積み、現場監督・施工責任者になっている人もいますよ。
3.配管工事の資格について
配管工事に特別な資格は必要ないですが、資格を取得しておいたほうが断然有利です。そこで、具体的なメリットや資格内容など詳しく説明します。
3-1.資格の有無・メリット
配管工事の資格取得はスキルアップにつながります。資格を持っている人=配管工に詳しい人とみなされるので、雇う企業や会社も積極的に有資格者を採用するものです。就職・転職に役立つ資格であることは間違いありません。
3-2.配管技能士
配管工の資格で最もポピュラーなのが「配管技能士」です。国家資格の1つである配管技能士は、給水管・ガス管・空気洗浄装置など建築物の配管工事をおこないます。配管技能士を名乗って工事をおこなうには、必ず資格を取得しなければなりません。国からのお墨付きである資格を取得することで、昇給昇格のチャンスが取得できます。さらに、給料アップも期待できるでしょう。また、1級~3級にわかれており、1級から順に上級・中級・初級技能者です。初級の3級は配管の組み立てなど配管工事の基本、中級の2級は配管図を見て材料を用意するところから工事ができます。そして、上級の1級は2級・3級でできる内容に鋼管の溶接作業など高レベルの技術が加わるのです。
3-2-1.配管技能士の種類
技能検定試験においては、建築配管作業・プラント配管作業の2つにわかれている資格です。一般的な配管は建築配管作業、石油・ガス製造施設に関する配管作業の場合だけプラント配管作業になります。
3-2-2.配管技能士の仕事
配管技能士の仕事は一般的な配管工事になります。ガス管・給水管・排水管などの工事から、空気洗浄・冷暖房の換気設備の設置です。建築物の配管工事が主な仕事だと思っておいてください。
3-3.管工事施工管理技士
施工管理技士国家資格の1つが「管工事施工管理技士」です。1級・2級管工事施工管理技士にわかれています。スキルアップを目指したい方は管工事施工管理技士を取得したほうが良いでしょう。
3-3-1.管工事施工管理技士の種類
管工事施工管理技士は1級と2級があります。1級は特定建設業の営業所に設置しなければならない「専任技術者」や工事現場ごとに設置が必要な「主任技術者」「監理技術者」になれるのです。そして、2級は一般建設業の営業所に置く「専任技術者」や「主任技術者」になることができます。
3-3-2.管工事施工管理技士の仕事
管工事施工管理技士の仕事内容は、空調設備工事・冷暖房設備工事・ガス配管工事・ダクト工事などの管工事において施工計画の作成です。配管工程や品質・安全管理をおこなうことになります。直接、工事をする人ではなく、全体的なスケジュールを計画し管理する資格です。管工事施工管理技士になれば、工事全体の責任者になれます。管工事だけでなく、作業員をまとめる能力が身に着くでしょう。
3-4.建築設備士
配管工事でもさらなるスキルアップを目指したい方は「建築設備士」がおすすめです。建築設備士は建築士の求めに対してアドバイスをおこなう国家資格になります。
3-4-1.建築設備士の種類
建築設備士は配管技能士・管工事施工管理技士にある等級はありません。「建築設備士」の資格を取得すれば、認定され働くことができます。1年の実務経験があれば電気工事・管工事の一般建設業における営業所で「専任技術者」に、工事現場の「主任技術者」に選任される資格です。
3-4-2.建築設備士の仕事
建築士に対して工事監理・建築設備の設計に関するアドバイスをします。建築士から尋ねられた場合は、すぐに建築設備士が伝えなければなりません。そのため、建築設備における設計・工事監理をきちんと把握しておかなければならないでしょう。よって、建築設備士は建築業界のあらゆる分野に対する影響力が強い資格です。空調設備・電気やガスの設計・給排水設備などそれぞれ幅広い人脈が構築できます。培った人脈を活用して、独立する建築設備士の方も多いですよ。さまざまな業界とのパイプもできるため、転職にも有利な資格になります。
4.各資格の試験について
配管技能士・管工事施工管理技士・建築設備士とそれぞれの試験について詳しく説明します。
4-1.試験概要
誰でも受験できる試験から、受験資格がある試験、合格基準など資格によって異なります。事前に、取得したい資格を決め、試験内容を把握してから試験に挑みましょう。
4-1-1.受験資格
それぞれの受験資格は以下のとおりです。
<配管技能士>
- 1級配管技能士:学歴によって定められている実務経験が必要
- 2級配管技能士:職業訓練校や専門学校などを卒業・3級配管技能士を取得している者は実務経験不要。それ以外は2年の実務経験が必要
- 3級配管技能士:不問
<管工事施工管理技士>
- 1級管工事施工管理技士:学歴によって定められている実務経験が必要
- 2級管工事施工管理技士:同上
<建築設備士>
学歴によって定められている実務経験が必要
4-1-2.申込期間
配管技能士の申し込みは前期・後期にわかれています。前期は4月上旬、後期は10月上旬です。管工事施工管理技士は5月上旬~5月中旬、建築設備士は2月下旬ごろになります。
配管技能士申し込みページ/管工事施工管理技士申し込みページ/建築設備士申し込みページ
4-1-3.試験日
配管技能士の試験日は前期が5月ごろ、後期が11月ごろになります。管工事施工管理技士は学科試験が9月ごろ、実地試験が12月ごろです。2級管工事施工管理技士は学科・実地試験を11月ごろに1日でおこないます。そして、建築設備士は第一次試験が6月ごろ、第二次試験が8月ごろです。
配管技能士試験日ページ/管工事施工管理技士1級:2級試験日ページ/建築設備士試験日ページ
4-1-4.検定料
検定料はそれぞれ以下のとおりです。
- 配管技能士:学科試験 3,100円/実技試験 16,500円 ※都道府県によって異なる
- 管工事施工管理技士:1級 学科・実地試験それぞれ別で8,500円、2級 学科試験・実地試験併せて8,500円/それぞれ別で4,250円
- 建築設備士:35,640円(うち消費税額2,640円)
4-1-5.試験地
試験地は配管技能士が各都道府県、管工事施工管理技士は1級が全国10地区、2級が13地区になります。建築設備士は札幌市・仙台市・東京都・名古屋市・大阪府・広島市・福岡市および沖縄県です。
4-1-6.受験者数・合格率・難易度
配管技能士の受験者数は、すべての等級を併せて70万人ほどです。最も受験者が多いのは中級技能士といわれている「2級配管技能士」になります。合格率は年々ばらつきが多く、1級・2級で30%~50%、3級では50%以上でしょう。決して、難易度が高い試験ではないため、きちんと勉強すれば合格できる範囲です。管工事施工管理技士は1万~2万人ほど、合格率は1級・2級とも50%になっています。国家試験の中でも難易度は「普通」です。そして、建築設備士は受験者数が2,500人前後、合格率は25%前後になります。第一次試験よりも第二次試験のほうが合格率は良いので、第一次試験さえクリアすれば問題ないでしょう。
4-1-7.合格基準
配管技能士の合格基準は学科試験において65%の正解率・実技試験では100点満点中60点以上です。管工事施工管理技士の場合は、1級・2級ともに学科・実地試験60%以上の正解率になります。そして、建築設備士は合計基準点が60%以上が合格基準です。
4-1-8.試験内容・科目
配管技能士・管工事施工管理技士・建築設備士の試験内容と科目を以下に記載しています。ぜひ参考にしてください。
<配管技能士>
●1級・2級・3級学科試験
- 施工法一般
- 材料
- 製図
- 関係法規
- 安全衛生
- 選択科目:建築配管施工法/プラント配管施工法
(※3級だけ関係法規は含まれない)
●実技試験
- 選択科目:建築配管作業/プラント配管作業
<管工事施工管理技士>
●学科試験
- 機械工学
- 施工管理法
- 法規
●実地試験
- 施工管理法
<建設設備士>
●第一次試験
- 建築一般知識・建築法規
- 建築設備
●第二次試験
- 建築設備基本計画
- 建築設備基本設計製図
4-1-9.問い合わせ先
配管技能士は「中央職業能力開発協会」の各都道府県協会、管工事施工管理技士は「全国建築研修センター」、建築設備士は「建築技術教育普及センター」へ問い合わせてください。
中央職業能力開発協会問い合わせページ/全国建築研修センター問い合わせページ/建築技術教育普及センター問い合わせページ
4-2.学習方法・学習のポイント
学習方法は主に独学・専門スクール・通信講座と3つの方法があります。自分でテキスト・参考書を購入して勉強するのも良いでしょう。しかし、きちんと勉強スケジュールを立てなければいけません。専門スクールはお金がかかりますし、仕事で忙しくなると通えなくなります。難易度が低くても毎日勉強を続けなければ合格できません。自分にとって毎日続けやすい勉強法を選ぶのが、学習のポイントです。
4-2-1.勉強時間
毎日数分間でも良いので勉強を続けてください。お休みの1日を丸ごと使って一気に勉強する人もいるでしょう。しかし、毎日地道にコツコツと続けたほうが暗記しやすくなります。一気に勉強するのではなく、コツコツと積み重ねが大切です。
4-2-2.参考書・テキスト
自分で参考書・テキストを購入する際は、わかりやすい内容になっているか確認してください。たとえ、知人からおすすめされたものであっても自分にとってわかりやすい参考書でなければ意味がありません。また、試験に出てくるポイントを押さえているかどうかも要チェックです。
4-2-3.過去問
試験にパスするためにも過去問をできるだけ多く解いておきましょう。なぜなら、過去問から似ている問題が出題される可能性が高いからです。過去問は、それぞれ試験を主催しているセンターの公式HPからダウンロードできます。
配管工事士過去問/管工事施工管理技士過去問/建築設備士過去問
5.配管工事に関してよくある質問
配管工事に関してよくある質問を5つピックアップしました。この機会に、試験を受ける方や配管工事について知りたい方はぜひチェックしてください。
Q.資格取得後の講習会は必要か?
A.資格取得後の講習会や更新は必要ありません。従来、建築設備士には5年ごとの講習が義務づけられていましたが、現在は廃止されています。
Q.配管の規格とは?
A.国内で使用される配管はJIS規格配管と呼ばれており、外径サイズによって呼び径が異なります。JIS規格配管にはA呼称・B呼称と2とおりの呼び径が定められているのです。管工事にかかわる人は呼び径を把握しておかなければなりません。
Q.配管工事の単価が知りたい
A.配管工事の単価は主に、配管の長さと太さ・工事範囲・施工手間で精算されます。配管1mあたりの目安はおよそ450円~500円です。
Q.専任技術者とは?
A.営業所・事業所の作業員数によって専任しなければならない役職です。専任技術者はビルや商業施設など特定建設業の営業所に置かなければなりません。工事方法の検討や技術的な説明・見積もり作成などをおこないます。
Q.管工事施工管理技士と建築設備士の年収が知りたい
A.管工事施工管理技士の年収はおよそ430万円前後、建築設備士の年収はおよそ700万円前後になります。
まとめ
配管工事は特別な資格を取得しなくてもできる仕事です。しかし、配管工事に関する資格を取得したほうが仕事の幅が大きくなり、資格手当など給料面でも期待できます。主な資格は配管技能士になりますが、管工事施工管理技士や建築設備士などもスキルアップに必要な資格です。取得できる資格から挑戦し、スキルアップを目指してみてはいかがでしょうか。
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