騒音規制法の基準は? 資格試験対策もバッチリ伝授!

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騒音は、私たちの暮らしの質を落とす大きな原因です。特に大規模工場の周辺では、騒音による苦情があると企業活動にも影響します。そのため、企業は騒音規制法に従って、適切な対策する必要があるのです。そこで、騒音規制法についての正しい知識を持った人材として公害防止管理者の資格取得者が必要となります。今回は、騒音規制法の基準などの基本を学ぶとともに、公害防止管理者の資格試験対策もしっかり解説することにしましょう。将来の仕事として考えている人も、資格取得を具体的に考えている人も、ぜひ読んでみてください。

  1. 騒音規制法について
  2. 騒音規制法の対象とは
  3. 騒音規制法の決まりごとを学ぼう
  4. 騒音規制法に関係する資格について
  5. 騒音規制法についてよくある質問

記事を読み終えるころには、騒音規制法に関してエキスパートとなっていることでしょう。企業にとって騒音規制法の対策は、重要かつ急務です。必要な人材となって活躍するためにも、ぜひ記事の内容を参考にして資格取得にチャレンジしてください。一生仕事に困らないためにも、資格取得は大きなメリットがありますよ。そのためにも、まずは記事をじっくり読んで基本的な知識を身に付けてください。


1.騒音規制法について

まずは、騒音規制法について基本的なことを学びましょう。概要・目的・できた背景や各都道府県の関連条例などを詳しく解説します。

1-1.騒音規制法の概要

騒音規制法とは、騒音規制に関する国の法律で昭和43年6月に制定となりました。産業の発展に従い、特定の工場や施設・状況における騒音問題は放置しておけないレベルとなったため、規制する法律が必要だったのです。法律で騒音基準を設定することは、企業にと近隣住民の両方にとってメリットが大きいと言えます。

1-2.騒音規制法の目的とは

騒音規制法の目的は、近隣地域の環境保全と住民の暮らしを快適に守ることです。たとえば、工場も業種や規模によっては大きな騒音を発生します。企業活動のために仕方が無いとはいえ、近隣住民にとっては大問題です。そこで、法律を定めることで企業が基準以上の騒音を出すことが無いように規制をすることが必要になります。騒音規制法は、近隣住民に対して毎日をおだやかに暮らす権利を守っているものであると考えましょう。

1-3.騒音規制法ができた背景

国にとって、国民の健康や安全を維持することは大切な仕事です。しかし、産業の発展も重要となります。産業の発展を後押ししつつも、国民の健康や安全を保障するためには決まりごとが必要です。それに、すべての騒音を規制することはできなくても法律で基準を定めることは明らかに大きな効力であると言えます。騒音規制法は、産業の発展を推し進めるためには、必要不可欠だったのです。

1-4.騒音規制法に関連する都道府県の条例

騒音規制法と関連して、各都道府県では環境保護条例を設定しています。環境保護条例とは、地域ごとの特性を考えて環境破壊や迷惑行為の防止などを規定した条例です。たとえば、環境保護条例で指定を受けた場合は地域や時間によって基準以下の騒音に抑えるようにする義務があります。一例として、以下も参考にしてください。

埼玉県の騒音・振動の規制に関する説明ページ

2.騒音規制法の対象とは

では、騒音規制法の対象について学びましょう。対象となる施設や状況について詳しく学ぶことは、資格取得を考えても大切なことです。

2-1.騒音規制法の対象について

騒音規制法の対象は、「特定の工場・事業場」「特定建設作業」「自動車騒音」「深夜騒音など」となっていますので、それぞれ確認しておきましょう。

2-1-1.特定の工場・事業場

工場や事業場で、騒音発生が予測できる業務を行っている場合は、特定の工場・事業場として市町村長への届け出を行う必要があります。届け出の目的は、区域や時間帯ごとの騒音基準を管理するためです。市町村長は、特定の工場や事業場が基準値以上の騒音を出した場合、改善勧告を行ったり改善命令を出したりすることができます。

2-1-2.特定建設作業

建設作業のうち、大きな騒音や振動を出す可能性があるものが特定建設作業です。たとえば、ビル建築や道路工事などの作業が当てはまります。また、くい打ち機など騒音や振動を発生しやすい工作機械を使う建設作業も該当すると覚えておきましょう。新規に建設作業を行う場合は、特定建設作業に当てはまるかどうかチェックする必要があります。

2-1-3.自動車騒音

自動車は、便利な移動手段として多くの人が利用しています。しかし、自動車は車種や道路状況によって大きな騒音を出すものです。クラクションの使い方ひとつでも、不快な騒音となるでしょう。そのため、市町村長は、自動車の騒音問題のために快適な住環境の確保が難しくなったときには、都道府県公安委員会に適切な処置を取るように求めることができるのです。

2-1-4.深夜騒音など

飲食店などの営業は、業務形態によって夜間・深夜に及ぶことがあります。たとえば、居酒屋やスナック・カラオケハウスなどですね。しかし、夜間・深夜の営業は、騒音が発生しやすく近隣住民たちの生活に悪影響を与えます。そこで、地方自治体は、近隣住民たちの暮らしを守るために夜間の騒音や拡声器による宣伝を抑制することを条例で定めることができるのです。

2-2.そのほかの対象について

騒音規制法に例示のあるもの以外にも、騒音を発生するケースがあります。特に政治団体の活動は拡声器を用いて演説をすることが多く、騒音が発生しやすいものです。政治活動に関しては自由に行う権利があっても、騒音を出していいものではありません。しかし、たとえば東京都では「拡声器による暴騒音の規制に関する条例」があります。自治体単位では、このほかにもあらゆる騒音に対して必要に応じて条例で規制をしていることを知っておきましょう。

3.騒音規制法の決まりごとを学ぼう

騒音規制法の決まりごとについて詳しく解説します。基準値や管理者の選任義務など、重要なところですからしっかり学んでください。

3-1.対象施設における騒音規制法について

昭和43年の騒音規制法制定当時と比較して、現在はさまざまな業種や施設・設備が増えています。また、騒音の種類も異なることは明らかです。そのため、対象施設においては法律の内容だけでカバーできない範囲が出てきたのも事実と言えます。平成8年には、環境省から「騒音規制法の規制対象施設の在り方について」の中間報告が発表になりました。企業と近隣住民が、共存していくためにも随時見直しが必要なのです。

3-2.騒音規制法における基準値とは

基準値や区域や時間帯別に、以下のとおりとなっています。

  • 第一種区域:(昼間)45デシベル以上50デシベル以下(朝・夕)40デシベル以上45デシベル以下(夜間)40デシベル以上45デシベル以下
  • 第二種区域:(昼間)50デシベル以上60デシベル以下(朝・夕)45デシベル以上50デシベル以下(夜間)40デシベル以上50デシベル以下
  • 第三種区域:(昼間)60デシベル以上65デシベル以下(朝・夕)55デシベル以上65デシベル以下(夜間)50デシベル以上55デシベル以下
  • 第四種区域:(昼間)65デシベル以上70デシベル以下(朝・夕)60デシベル以上70デシベル以下(夜間)55デシベル以上65デシベル以下

なお、区域や時間帯に関するより詳しいことは下記を参考にしてください。

環境省:特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準

3-3.騒音規制法における管理者について

企業は、騒音規制法に基づいて基準値を超えないように管理する必要があります。なお、以下の条件に当てはまる場合は、公害防止管理者を選任してください。

  • 製造業・電気供給業・ガス供給業・熱供給業で特定工場の指定を受けている場合
  • 機械プレスで呼び加圧能力が980キロニュートン以上の設備を有する場合
  • 鍛造(ちゅうぞう)機で落下部分の重量が1トン以上のハンマーを有する場合

なお、騒音規制法の指定地域内に設置された設備・ハンマーに限ります。

3-4.騒音規制法の届け出について

騒音規制法では、新たに騒音発生の可能性のある業務を行うとき、もしくは、施設や設備を作るときは届け出を義務付けています。たとえば、騒音発生施設の設置に関しては、設置工事開始日の30日前までに設置者が届け出をしてください。なお、無届けが発覚した場合は罰金刑を科すこともあるので注意しましょう。そのほかについては、下記もご覧ください。

岩手県釜石市の騒音規制法届け出事項一覧

3-5.騒音規制法の対策について

企業は、騒音規制法を順守することが義務です。そのため、自社の企業活動を行うときに基準以上の騒音を発生しないように取り組むことや発生時の的確な対策マニュアルを準備するなどの対策が急務と言えます。騒音規制法に沿って騒音対策をすることは、企業にとっても必要不可欠なため、公害防止管理者の需要が高まっているのです。

3-6.騒音規制法の決まりごとに関するそのほかのこと

騒音規制法は、自治体ごとの条例と合わせて認識しておく必要があります。また、設備の追加や新設・廃止・移動があったときは速やかに手続きをしておきましょう。なお、自治体から指導があったり勧告があったりした場合は、内容を確認して適切な対応を行ってください。基準値を超える騒音を出しているときは、企業活動に問題があったり無理をしていたりすることが多いです。経営方針の見直しのきっかけとして受け止めるといいでしょう。

4.騒音規制法に関係する資格について

騒音規制法に関係する資格や、資格取得のための情報について詳しく解説します。おすすめの勉強法についても触れているので参考にしてくださいね。

4-1.騒音規制法に関連する資格には何がある?

騒音規制法に関連する資格には、公害防止管理者があります。公害防止管理者は、産業の発展に伴う公害の発生を防止したり環境改善に努力したりするために存在する国家資格です。問題は、薬物による大気汚染や水質汚染だけではありません。企業活動による騒音も、近隣住民にとっては大きな問題となるのです。公害防止管理者は、規定以上の騒音が発生しないように管理・維持・改善を行っています。

4-2.騒音規制法に関連する資格取得について

では、公害防止管理者の資格取得をする方法について詳しく解説しましょう。

4-2-1.公害防止管理者の受験資格

受験資格については、指定がありません。そのため、公害防止管理者になりたい人は自由に試験を受けることが可能です。受験資格の設定が無いため、実務経験の有無も関係ありません。未経験者でも、公害防止管理者として働きたい人は積極的に資格取得について考えてみてください。

4-2-2.公害防止管理者の試験概要

  • 試験日時:1年に1回・毎年10月ごろに実施
  • 試験場所:札幌・仙台・東京・愛知・大阪・広島・高松・福岡・那覇
  • 受験料:6,800円または6,400円(受験する区分によって異なる)
  • 申し込み方法:インターネットからの申し込みもしくは指定の受験願書による申し込み
  • そのほかの注意点:全体として不合格でも科目別合格制度あり(次回試験の際に申請で免除)

公害防止管理者は、13もの区分に分かれています。そのため、自分が受験する区分を確認してから規定の受験料を払い込むようにしてください。

4-2-3.公害防止管理者の試験内容

  • 試験科目:受験する区分によって異なる(いずれも筆記試験・マークシート方式)
  • 試験時間:受験する区分によって異なる
  • 実地試験について:実施無し

試験科目や時間配分の詳細は、以下を参考にしてください。

一般社団法人産業環境管理協会・公害防止管理者試験の科目の範囲と内容解説ページ

4-2-4.公害防止管理者試験の難易度や合格率について

区分にもよりますが、大体2割から3割の合格率となります。そのため、資格取得の難易度としては中程度と考えてください。未経験者でも受験可能であることを考えると、決して難しいとは言えません。試験対策をきちんと行うことで、合格を勝ち取ることは十分可能ですよ。

4-2-5.公害防止管理者試験を受けるときの注意点

公害防止管理者は13区分に分かれているため、受験区分を間違わないようにしましょう。たとえば、騒音規制法に対応する場合は区分が「騒音・振動関係」となります。区分を間違えて受けても、意味がありません。業種によって、また取り扱う内容によっても、適する区分があります。まずは、自分がどの区分を受験するべきか確実にしておいてください。また、資格試験は年に1回のチャンスです。1年に1回、10月ごろの実施となりますが申し込みに関しては、7月上旬ごろから始まるため見逃すことが無いようにしてください。

4-2-6.公害防止管理者の講習や勉強法について

公害防止管理者になるためには、公害防止管理者等資格認定講習を受講する方法もあります。ただし、受講には実務経験が必要となるなどの条件があるため、初心者や未経験者には向きません。そのため、やはり国家試験を受けて合格する道をおすすめします。資格試験は、試験に特化した勉強を行うことが大切です。過去問題を多く解いて問題の傾向を知ったり類似問題をたくさん解いたりして実力を養いましょう。

5.騒音規制法についてよくある質問

それでは、騒音規制法についてよくある質問にお答えしましょう。普段はなじみが無い法律のためか、ほかの皆さんからもさまざまな質問が届いていますよ。

5-1.騒音規制法に違反した場合は罰則がありますか?

騒音規制法の罰則は、第6章に規定があります。違反した場合には、主に罰金刑を受けることになるでしょう。ただし、罰則を直ちに受けるのではなく改善要請や勧告があることが多いです。改善要請や勧告に応じなかったり悪質は違反だったりする場合には、罰則を受けることになると覚えておきましょう。

5-2.騒音規制法の基準を守っていても近隣住民から苦情が来たのですが?

騒音規制法の基準は、あくまでも目安となります。数値は適正範囲内であっても、騒音の種類によっては不快なレベルに達している可能性も否定できません。特に、早朝や夜間に掛かる時間は騒音の抑制に気を付けることが大切です。しかし、苦情が来た場合は、近隣住民との話し合いの場を持ってください。両者の考えを話し合うことで、今後の解決策が見えてくるものです。

5-3.公害防止管理者になると転職に有利になりますか?

公害防止管理者は、企業にとって必要不可欠な存在です。そのため、資格を取得しておくと転職に有利になることがあります。もちろん、業種や業務形態にもよりますが無資格の人と比べると明らかにポイントが高くなると言えるでしょう。企業として、公害対策に積極的になることは法律での規制が無くても当然のことなのです。転職活動のときには、ぜひ資格取得者であることをアピールできるようにがんばってください。

5-4.公害防止管理者資格は何年ごとに更新がありますか?

公害防止管理者には、更新義務がありません。そのため、ひとたび資格を取得した後はそのまま半永久的に資格取得者として職務に当たることができます。ただし、氏名変更などがあった場合は、一般社団法人産業環境管理協会に変更届を出して手続きをしておきましょう。なお、公害防止管理者には免状が存在しません。そのため、免状の書き換え手続きということではないので注意してください。

5-5.公害防止管理者と公害防止統括者の違いは何ですか?

公害防止管理者も公害防止統括者も、公害発生の防止が職務であることに変わりはありません。しかし、公害防止管理者は資格が必要である点に比べて公害防止統括者には必要が無いのです。公害防止統括者は、実質的に工場長など現場をまとめる立場の人が就くことになります。実務に当たる人が公害防止管理者で、まとめ役が公害防止統括者になると覚えておきましょう。

まとめ

今回は、騒音規制法について詳しくまとめました。産業の発展は、環境に大きな影響を与えるものです。その中でも、騒音に関しては大気汚染や水質汚染に比べて軽く見がちなのも事実と言えます。しかし、騒音は精神的なストレスを引き起こすものです。特定の工場など、近隣住民たちにとっては生活の質を落とす原因となってしまいます。企業は、騒音規制法に基づいて騒音レベルを超えない運営を行うべきであると考えてください。騒音規制法に対応するためにも、公害防止管理者の選任は必要です。ぜひ、取得を目指してみてくださいね。

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