電気工事士の一種・二種の違いを知りたい! 資格試験のポイントは?

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「電気工事士」は、ビル・工場・商店・一般住宅などの電気設備の工事を行うために必要な国家資格の1つです。電気工事は一定の資格を取得している人でなければ行うことができません。つまり、電気工事は電気工事士の資格を所有している人だけが行える特殊な仕事といえるでしょう。そんな電気工事士には、電気工事の範囲によって「第一種」と「第二種」に分かれています。自分の仕事に適した資格の種類を選択しなければなりません。

本記事では、電気工事士の第一種と第二種の違いと、資格取得のポイントについて解説します。

  1. 電気工事士第一種・第二種の違いは?
  2. 電気工事士の資格取得・試験内容を解説!
  3. 電気工事士資格取得の勉強方法は?
  4. 電気工事士に関してよくある質問

この記事を読むことで、電気工事士の第一種と第二種の違いが分かります。気になっている方や資格取得を目指している方はぜひチェックしてください。


1.電気工事士第一種・第二種の違いは?

電気工事士の第一種と第二種では、さまざまな面に違いがあります。試験を受ける前に、どんな違いがあるのかチェックしておきましょう。

1-1.工事の範囲

最も大きな違いといえば、可能な工事の範囲です。電気工事士は電気工作物の工事ができる資格ですが、資格種類によって取り扱える電気工作物が異なります。それぞれができる工事の範囲は以下のとおりです。

  • 第一種:第二種の範囲と最大電力500キロワット未満の工場・ビルなどの工事
  • 第二種:一般住宅や店舗など600ボルト以下で受電する設備の工事

上記のとおり、電気工事士第二種ができる作業は、小規模な電気設備工事に限られています。その一方で電気工事士第一種は第二種の範囲を含め、より大きな設備の仕事ができる資格種類です。

1-2.試験の難易度・合格率

行える作業の範囲が異なれば、試験の難易度にも大きな差が出てくるでしょう。近年の合格率を見てみると、第二種の場合は約2人に1人が合格していますが、第一種は3~4人に1人の割合です。圧倒的に第一種のほうが難易度が高く、試験範囲も広くなります。しかし、試験の難易度・合格率が高くなるということは、それだけ優位な資格であり、有資格者は貴重な存在になるでしょう。

1-3.試験の内容

第一種・第二種ともに、試験内容は「筆記試験」と「技能試験」の2つに分かれています。筆記試験で出題される範囲は第一種のほうが広くなり、事業用電気工作物を取り扱うための計算公式を理解することが大切です。試験科目はさまざまですが、計算問題のレベルが第一種ではかなり高くなります。また、技能試験においても、自家用電気工作物の検査・操作・故障の修理などが含まれるため、第二種より第一種のほうが難しくなるのです。

1-4.就職・将来性・給料

第一種電気工事士は幅広い作業範囲が行えるので、大企業からも重宝されます。就職に有利で将来性があるのは「第一種」と断言しても良いでしょう。もちろん、第二種を取得しても働き口に困ることはありません。しかし、より自分の腕を磨き、キャリアアップしていきたいなら第一種の取得をおすすめします。また、第一種と第二種では「給料」にも大きな違いが出てくるでしょう。電気工事士の平均年収は約400万~500万円ですが、第一種の場合は500万円以上になる可能性があります。スキルアップするほど年収もアップするでしょう。

1-5.より良い環境で働けるのは第一種

1日何時間、残業なし、福利厚生など採用条件を重視すると思いますが、自分にとってより希望に近い条件で就職するには、第一種のほうが有利です。多くの企業が幅広い範囲で作業ができる電気工事士を求めています。目の前に第二種と第一種それぞれの有資格者がいれば、迷わずに第一種の資格取得者を選ぶでしょう。

2.電気工事士の資格取得・試験内容を解説!

それでは、電気工事士第一種と第二種それぞれの資格取得方法と試験内容を解説します。

2-1.資格取得のメリットは?

前述したとおり、電気工作物の工事ができるのは「電気工事士」だけです。資格を取得し現場で経験を積み重ねれば、手に職をつけられるでしょう。また、私たちの生活に必要不可欠な電気を供給する設備工事なので、電気工事士の仕事はなくなりません。電気工事士を欲している企業はたくさんあるため、需要が高い資格種類といえます。

2-2.受験資格

第二種に受験資格はありませんが、第一種には「5年以上の実務経験」が必要不可欠です。電気科・電気工事科の大学や専門学校を卒業している場合は、実務経験が3年以上となります。これらの条件を満たしていないと免状が発行できないので注意してくださいね。中には、最初に第二種の資格を取得してから実務経験を重ね、第一種の資格を受けるという人がいます。取得方法は人それぞれです。

2-3.試験概要

では、電気工事士第一種・第二種それぞれの試験概要をチェックしておきましょう。

2-3-1.試験日時・場所・受験料

電気工事士の試験を行っているのは「一般財団法人 電気技術者試験センター」です。第一種は年に1回、第二種は年に2回実施されています。試験日時・場所・受験料は以下のとおりです。

試験日時

  • 第一種:筆記試験10月、技能試験12月
  • 第二種:上期/筆記試験6月、技能試験7月 下期/筆記試験10月、技能試験12月

試験場所

  • 第一種:筆記試験/札幌・仙台・新潟・東京・さいたま・名古屋・金沢・大阪・広島・高松・福岡・鹿児島および那覇 技能試験/さいたま・鹿児島をのぞく10か所
  • 第二種:上期/全国各地 下期/札幌・仙台・新潟・東京・横浜・さいたま・千葉・名古屋・金沢・大阪・広島・高松・福岡および那覇

受験料

  • 第一種:郵便申し込み11,300円、ネット申し込み10,900円
  • 第二種:郵便申し込み9,600円、ネット申し込み9,300円

2-3-2.申し込み方法

申し込み方法は、郵便とインターネットの2つの方法があります。
郵便の場合は、「受験案内・申込書」を申請し必要事項を記入した上で、ゆうちょ銀行の窓口に受験料と一緒に提出する方法です。インターネットの場合は、試験センターのホームページにアクセスし受験申し込みを行ってください。そして、受験料は期間内に銀行振込・クレジットカード決済・コンビニエンスストア決済・ペイジー決済のいずれかで支払います。

2-4.試験内容

基本的に、筆記試験は四肢択一方式で、第一種・第二種ともに50問を解いていきます。筆記試験の内容は以下のとおりです。

第一種の筆記試験科目

  1. 電気に関する基礎理論
  2. 配電理論および配線設計
  3. 電気応用
  4. 電気機器、蓄電池、配線器具、電気工事用の材料および工具並びに受電設備
  5. 電気工事の施工方法
  6. 自家用電気工作物の検査方法
  7. 配線図
  8. 発電施設、送電施設および変電施設の基礎的な構造及び特性
  9. 一般用電気工作物および自家用電気工作物の保安に関する法令

第二種の筆記試験科目

  1. 電気に関する基礎理論
  2. 配電理論及び配線設計
  3. 電気機器、配線器具並びに電気工事用の材料及び工具
  4. 電気工事の施工方法
  5. 一般用電気工作物の検査方法
  6. 配線図
  7. 一般用電気工作物の保安に関する法令

技能試験は、電動工具以外の作業工具を使用し定められた時間内で配線図から問題を完成させていきます。技能を評価する試験なので、実際に工事を行う内容です。第一種・第二種それぞれの技能試験科目は以下のとおりとなります。

第一種の技能試験科目

  1. 電線の接続
  2. 配線工事
  3. 電気機器及び配線器具の設置
  4. 電気機器、配線器具並びに電気工事用の材料及び工具の使用方法
  5. コード及びキャブタイヤケーブルの取付け
  6. 接地工事
  7. 電流、電圧、電力及び電気抵抗の測定
  8. 自家用電気工作物の検査
  9. 自家用電気工作物の操作及び故障箇所の修理

第二種の技能試験科目

  1. 電線の接続
  2. 配線工事
  3. 電気機器及び配線器具の設置
  4. 電気機器、配線器具並びに電気工事用の材料及び工具の使用方法
  5. コード及びキャブタイヤケーブルの取付け
  6. 接地工事
  7. 電流、電圧、電力及び電気抵抗の測定
  8. 一般用電気工作物の検査
  9. 一般用電気工作物の故障箇所の修理

3.電気工事士資格取得の勉強方法は?

電気工事士の資格を取得するには、地道な勉強が大切です。では、どのような方法で勉強をすれば良いのでしょうか。

3-1.どんな学習方法があるのか?

主な学習方法は、独学・スクール通学・通信講座の3つです。時間と金銭面に余裕があれば、スクールに通うこともできますが、講義時間が決まっているので仕事の都合で受けられなくなることもあるでしょう。また、独学は分からないところも自分で解決しなければなりません。仕事が忙しく、勉強との両立が難しい方は「通信講座」を利用してみてください。勉強法を選ぶ際は、ライフスタイルに合った方法かどうかが大きなポイントです。

3-2.参考書・過去問の選び方

参考書を選ぶ際は、「試験の重要ポイントが記載されているか」「自分にとって分かりやすい内容か」の2点に注目してください。友人からすすめられた参考書でも、自分にとって理解しにくい内容は意味がなく、勉強に対する意欲もなくしてしまいます。また、過去問は「一般財団法人 電気技術者試験センター」のホームページで無料ダウンロードが可能です。

4.電気工事士に関してよくある質問

電気工事士に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.資格手当に違いはあるのか?
A.電気工事士の資格を取得すると、企業から給料のほかに「資格手当」をもらうことができます。実は、電気工事士の第一種・第二種の違いには「資格手当」も当てはまるのです。第二種の場合は平均2,000円ですが、第一種の場合は平均4,000円と差があります。企業によっては、年間で5万円もの差が生まれるところもあるので、結構大きい違いといえるでしょう。

Q.勤務先によって仕事内容、給与の差はあるのか?
A.電気工事士の場合は、資格種類だけでなく「事業所の業務の種類」にかなり影響される傾向があります。事業所が規模の大きい電気設備工事の認定を受けていれば、第二種でも企業・工場など600キロワット未満の電気工事にかかわることができるでしょう。実際に、自分の手で工事するには第一種の資格が必要ですが、間近で仕事に触れられるチャンスです。

Q.電気工事士はスキルアップできるのか?
A.第一種電気工事士の資格を取得すると、給与面や将来性が安定するだけでなく、さらなるスキルアップを目指すことができます。簡易電気工事の作業に従事できる「認定電気工事従事者」の資格が得られるのです。ほかにも、「電気工事施工管理技士」などの受験資格が取得できます。

Q.技能試験のポイントが知りたい
A.技能試験は配線図が描かれている問題を通して、実際に使う道具でいかに応えられるかが大きなポイントとなります。まずは、配線図を理解しなければならないので、記号の意味などを暗記しましょう。そして、過去問で何度も問題を解いてみてください。過去問から類似問題が出題されることもあるため、実際の問題に慣れておきましょう。

Q.実務経験の対象になる電気工事とは?
A.第一種の受験資格となる実務経験は、以下のような電気工事が当てはまります。

  • 第二種電気工事士免状又は旧電気工事士免状取得後に行った一般用電気工作物の電気工事
  • 認定電気工事従事者証取得後に行った簡易電気工事
  • 事業用電気工作物のうち、電気事業の用に供する電気工作物又は、最大電力500kW未満の自家用電気工作物の設置・変更の工事
  • 経済産業大臣が指定する第二種電気工事士養成施設の教員として担当する第二種電気工事士養成に必要な実習

まとめ

電気工事士の第一種と第二種の大きな違いは、「工事の範囲」です。第一種は工事やビル等の大きな電気設備の工事ができますが、第二種は住宅や小規模な店舗などの電気設備だけと限られています。第二種でも十分な仕事はできますが、よりスキルアップしていきたい方は第一種の資格取得がおすすめです。しかし、第一種の資格試験は第二種よりも難易度が高いため、計画的な勉強が大きなカギとなるでしょう。自分のライフスタイルに合った方法で、毎日勉強を続けることが大切なポイントです。

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