産業医になるには何が必要? 労働衛生コンサルタントの資格も詳しく!

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企業が健全な状態で利益を上げ続けるためには、労働者が自分の仕事に打ち込んで成果を出すことが必要不可欠です。そのためにも、職場環境を整えたり健康管理をしっかり行ったりすることが必要となります。産業医は、労働者の健康を守るために必要な存在です。今回は、産業医について興味のある人のために、資格概要や取得の方法について詳しく解説します。また、関連資格として労働衛生コンサルタントの取得についても学んでください。必ず役に立つことでしょう。

  1. 産業医とは
  2. 産業医を置くべき職場について
  3. 産業医と労働衛生コンサルタントの違い
  4. 産業医の資格について
  5. 産業医の資格に関するよくある質問に回答します!

記事を読んだ人は、産業医に関して深く理解することができます。具体的な取得方法についても自分がどんな方法を選ぶべきかわかることでしょう。なお、労働衛生コンサルタント資格を取ることで産業医としての仕事にプラスに働きます。将来性を考えても、損はありません。まずは、記事をじっくり読んで詳細を学んでください。


1.産業医とは

まずは、産業医の基本について学ぶことにします。定義や職務だけでなく、目的や必要性までしっかり頭に入れましょう。

1-1.産業医の概要と法律での定義

産業医とは、労働者の健康管理を行うための医師のことです。産業医に関しては、労働安全衛生法によって一定の条件を満たす事業場で選任の義務があります。産業医になるには、まず医師資格があることが大前提です。医師である者が、規定の研修を修めたり労働衛生コンサルタントの資格を得たりすることでなることができます。

1-2.産業医の職務とは

  • 健康診断の実施
  • 月100時間以上残業をした労働者に対する面接指導
  • 労働者のストレスチェックの実施
  • 労働者の作業環境の改善と指導
  • 毎月1回以上の作業場巡回
  • 労働者に対する衛生教育
  • そのほか労働者の健康維持に関する指導

上記のように、産業医は労働者たちの健康に関する責任を負っているのです。

1-3.産業医の目的や必要性について

労働者が、作業場で安全かつ健康に働くためには専門知識を得た人材が適切に管理をすることが必要となります。そのため、労働者たちの健康を守るとともに、適切な職場環境を作ったり改善したりするために産業医を置くのです。産業医の存在は、労働者たちにとっても企業にとってもメリットが大きいと考えてください。健全な経営は、労働者の健康管理なくしてあり得ないのです。

2.産業医を置くべき職場について

産業医を置くべき職場の条件について解説します。選任義務や規定・罰則についての知識を身に付けましょう。

2-1.産業医の選任義務について

すべての業種において常時50人以上の労働者がいる職場に関しては、産業医の選任義務があります。なお、常時3,000人以上の労働者がいる場合は、2人以上の産業医を選任する必要があるので注意してください。また、義務が発生してから14日以内に選任した後、速やかに職場を管轄する労働基準監督署長宛てに届け出る必要があります。

2-2.産業医を置くべき職場に関する規定

常時1,000人以上の労働者を使用する場合や特定の業種で常時500人以上の労働者がいる場合は、産業医が専属であることが必要です。また、産業医は、常時49人以下の労働者がいる職場に関しては選任義務がありません。つまり、産業医を置かなくても問題は無いわけです。しかし、常時49人以下の労働者がいる職場であっても、労働者の健康管理は大切なことであることに変わりはありません。そのため、義務ではなくても専門知識を有する医師などに依頼して適切な管理を行うように努力する必要があります。

2-3.産業医に関する罰則など

産業医には、守秘義務があります。職場で知り得た内容を外部に話すことは職務違反です。産業医は、労働者の不利益になることとはしてはなりません。産業医は、労働者から職場に対する不満や悩みの相談を受けることが多いため、守秘義務を守ることが大切なのです。万が一規則に反した場合は、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金となります。

3.産業医と労働衛生コンサルタントの違い

産業医と労働衛生コンサルタントとは、何が違うのでしょうか。資格取得の条件や職務の違いなどを解説します。

3-1.産業医は医師免許が必要

産業医になるためには、医師免許が必要です。しかし、労働衛生コンサルタントになるためには医師免許は必要ではありません。そのため、労働衛生コンサルタントになれても産業医になることができない人も多いです。反対に、産業医である人が労働衛生コンサルタントを取得することは可能となります。

3-2.労働衛生コンサルタントとの職務の違い

産業医と労働衛生コンサルタントは、職務が違います。

  • 産業医の職務:事業所で働く労働者の健康管理が主な職務(選任義務あり)
  • 労働衛生コンサルタントの職務:事業所などの労働衛生基準の向上が主な職務(選任義務なし)

産業医も労働衛生コンサルタントも、職場の労働衛生管理にかかわる点では変わりません。しかし、産業医は労働者の健康管理・労働衛生コンサルタントは職場の衛生管理に重きを置く点で異なると考えましょう。

3-3.産業医は労働衛生コンサルタントを取得するべきですか?

すでに産業医である人も、労働衛生コンサルタントを取得することで業務に関する知識を深めることが可能です。また、労働衛生コンサルタントとして勤務することも可能になります。産業医は医師であるため、労働衛生コンサルタント試験の一次試験科目免除などの特典もあるため有利です。ぜひ、取得を前向きに考えてください。

4.産業医の資格について

産業医の資格を取得するために必要なことを学びましょう。資格要件や取得方法を詳しく解説します。

4-1.産業医の資格要件を確認しよう

産業医は、医師であるほかにも下記のような資格要件があります。

  • 厚生労働大臣の指定する機関が行う研修を修めた者
  • 産業医科大学など厚生労働大臣が指定する機関において履修・卒業後に実習を履修した者
  • 労働衛生コンサルタント試験(試験区分が保健衛生)に合格した者
  • 大学において労働衛生に関する科目を担当する教授・准教授・常勤講師または経験者

産業医になるためには、労働者の健康管理に関する専門知識を学ぶことが絶対条件なのです。

4-2.産業医の資格取得方法いろいろ

それでは、産業医の資格取得方法についてそれぞれ解説します。いずれかの方法によって、産業医を目指しましょう。

4-2-1.労働衛生コンサルタント試験に合格する

産業医資格は、労働衛生コンサルタント試験に合格することで取得が可能になります。ただし、区分は保健衛生に限定となるので注意してください。なお、すでに医師免許がある人は、労働衛生コンサルタントの一次試験が免除になるので、受験申し込みのときに忘れないで申請しましょう。

4-2-2.日本医師会の研修を受ける

日本医師会の研修を受けることでも、産業医の資格を得ることができます。具体的には、産業医活動を行うために必要な基礎研修を、50単位以上取得することが条件です。受講を希望する人は、研修日程などをチェックして準備しましょう。なお、より詳しい情報に関しては下記を参考にしてください。

日本医師会認定産業医制度説明ページ

4-2-3.産業医科大学の講座を受講する

産業医科大学は、医師や看護師の育成を行うほかにも産業医として必要な知識の教育も行っています。産業医になるためには、産業医科大学の講座を受けることでも可能です。より詳しい情報に関しては、下記をご覧ください。

産業医科大学産業医学基礎研修会説明ページ

4-2-4.そのほかの取得方法について

そのほかにも、労働衛生に関する科目を担当する教授・准教授・常勤講師である人は資格試験や講習会を受けずとも産業医を名乗ることができます。また、現職でなくても経験者であることで産業医として認定を受けることが可能です。すでに労働衛生のエキスパートとしてすでに深い知識を持っているため、資格試験や講習会の必要はありません。

5.産業医の資格に関するよくある質問に回答します!

最後に、産業医の資格に関するよくある質問に回答します。資格取得のためには疑問や不安を無くしておくことが大切です。

5-1.産業医にはどんな人が向きますか?

産業医は、企業において多くの労働者の健康管理を行うことになります。場合によっては、仕事の悩み相談を持ち掛けてくる労働者もいることでしょう。労働者の状況を的確に判断し、適切なアドバイスや改善指導を行える人が望ましいのです。労働者にとっては、産業医が心のよりどころとなることもあります。そのため、規定の職務に当たるだけでいいと考えてはいけません。なお、産業医には守秘義務がありますから口が堅い人が向くと言えます。

5-2.産業医には夜勤がありますか?

勤務先の企業によります。夜勤が無い職場に勤務する場合は、当然ながら夜勤の必要はありません。病院に勤務したり開業医になったりする場合は、夜間でも緊急で患者の対応をする必要も出てくるはずです。しかし、産業医に関しては基本的に勤務時間内での職務となります。夜勤が嫌な人は、夜勤と伴わない職場を探しましょう。

5-3.女性にとって産業医は働きやすい職場が多いと聞きましたが?

産業医は、病院勤務と比べると労働環境が整っているとも言えます。たとえば、勤務先の企業が朝8時から夕方5時までの勤務体系の場合は、産業医も基本的に準じると考えましょう。産業医には、残業はほぼありません。また、休日出勤もありませんからライフワークバランスを大切にしたい人には向いている職場と言えます。特に、結婚や出産で家庭との両立を考えている女性にとってはおすすめです。

5-4.産業医を掛け持ちで受けることはできますか?

産業医として企業と契約をする場合、複数の企業と掛け持ちをしても構いません。通常、職場に常任する必要は無いからです。ただし、常時1,000人以上の労働者を使用する職場と特定の業種で常時500人以上の労働者がいる職場では、専任の産業医である必要があるため掛け持ちは不可能となります。職場探しをするときには、ほかの企業と兼任することを先方に伝えましょう。

5-5.産業医と労働衛生コンサルタントを同時取得するメリットは?

たとえば、医師免許を持っている人は労働衛生コンサルタント試験の一次試験が免除になるため、資格取得の近道になります。また、労働衛生コンサルタントの試験に合格することで産業医としての認定を受けることも可能です。資格取得を効率よく進めることができる点で、同時取得はメリットが大きいと言えます。さらに、職務内容に関しても労働者の健康管理という点で基本は同じであり、実務に関してより理解が深まることもメリットと言えるでしょう。

まとめ

産業医について詳しく解説をしました。産業医は、企業にとって必要不可欠な存在であり労働安全衛生法によっても選任義務を規定しています。医師資格を持っている人は、産業医の資格取得に関してもぜひ積極的に考えてください。また、産業医になるためには労働衛生コンサルタントの資格試験に合格する方法をおすすめします。労働衛生コンサルタントは、産業医の職務に当たるときにも必ず役に立つことでしょう。いずれにしろ、産業医として活躍するためには職務内容をしっかり理解しておくことが大切です。労働者の健康管理という責任のある職務を果たすためにも、がんばってくださいね。

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