
高圧ガス製造保安責任者になりたい!資格の種類や取得方法は?
2016/05/31
2020/01/31
高圧ガス製造保安責任者とは、あまり耳慣れない資格です。今初めて聞いたという方もいるでしょう。高圧ガスとは、文字どおり圧力の高いガスのこと。ガスというと都市ガスやプロパンガスをイメージされる方も多いですが、工業用、医療用、さらにエアコンなどの空調にも高圧ガスは利用されています。
そこで、今回は高圧ガス製造保安責任者の職務、必要とされている職場、資格取得の方法などをご紹介しましょう。ビルメンテナンスの仕事に就く場合も、取得しておいて損はありません。
- 高圧ガス製造保安責任者とはどんな資格?
- 高圧ガス製造保安責任者の資格の種類とは?
- 高圧ガス製造保安責任者の資格取得者の職場や求人について
- 高圧ガス製造保安責任者の講習とは?
- 高圧ガス製造保安責任者の試験について
- ガス高圧保安責任者の試験勉強のコツ
- 高圧ガス製造保安責任者に対するよくある質問
知名度が低い資格の場合、興味はあるけれども情報を集めにくいと悩んでいる方もいるでしょう。この記事を読めば高圧ガス製造保安責任者の有資格者ができることだけでなく、資格を効率的に取得する方法なども分かりますよ。高圧ガス製造保安責任者の資格取得を目指す方も必見です。
1.高圧ガス製造保安責任者とはどんな資格?
始めに、高圧ガス製造保安責任者という資格について詳しくご紹介しましょう。この資格はいくつもの種類に分かれているため、資格を取得したい場合は事前に詳しく調べておく必要があるのです。
1-1.高圧ガス製造保安責任者ができること
高圧ガス製造保安責任者の資格を取得すると、高圧ガスに関する第一種製造者等に当たる事業所で保安の職務に就くことができます。ここまでは、ほかの保安関係の資格と変わりありません。しかし、高圧ガスが使われている職場はたくさんあります。法律上、高圧ガスはその名の通り、高い圧力で圧縮されたガスでありその種類によって使われる場所が全く違うのです。工場などで使われることもありますし、病院でも使われます。
また、使用されている機材も異なるでしょう。私たちの生活に欠かせないエアコンも、高圧ガスが使われているのです。つまり、一口に保安といっても高圧ガスが使われている場所や機器によって、全くやり方が異なるということ。そのため、高圧ガス製造保安責任者の資格は細かく分かれており、名前も異なるのです。
1-2.高圧ガス製造保安責任者の資格を目指す際の注意点
高圧ガス製造保安責任者の資格を取得したい、と思っている方は勉強を始める前に、自分が何のために高圧ガス製造保安責任者の資格を取得したいのかはっきりさせましょう。同じ「高圧ガス製造保安責任者優遇」という職場があったとしても、その中でも資格の種類が違う、ということはよくある話です。ひとつの資格に複数の種類があるのは珍しくはありませんが、扱える機器や働ける場所が取得した資格の種類によって変わるというのは少ないでしょう。ですから、やみくもに「高圧ガス製造保安責任者を目指す」というのではなく、「高圧ガス製造保安責任者の中の、この種類を目指す」というような目標を立ててください。
高圧ガス製造保安責任者は受験資格が定められていません。ですから、全く畑違いの分野の方でも挑戦ができる資格です。だからこそ、下調べをしっかりと行いましょう。
2.高圧ガス製造保安責任者の資格の種類は?
では、高圧ガス製造保安責任者の資格の種類にはどのようなものがあるのでしょうか? この項で、詳しくご紹介していきます。働ける場所や就ける職務などもご紹介しますので、ぜひ目を通しておいてください。
2-1.化学および機械
石油化学等コンビナート高圧ガス製造事業所、LPガスの製造事業所、ガススタンドの保安の業務を行えます。種類は、
- 甲種化学・甲種機械責任者
- 乙種化学・乙種機械責任者
- 丙種化学(特別試験科目)責任者
- 丙種化学(液化石油ガス)責任者
があるのです。甲種は保安技術管理者、保安主任者および保安係員に任命できます。乙種は、保安技術管理者に選任される場合に限り制限があるのです。資格の立場としては、甲種の方が上位になります。主に、石油化学等コンビナートや高圧ガス製造事業所では必ず選任の必要があるため、取得していると転職にも便利でしょう。
丙種(液化石油ガス)は、LPガスの製造にかかわる保安の統括的または実務的な業務を行う者に必要な資格になります。乙種や甲種と働ける場所が異なるので、注意しましょう。乙種と同じように保安技術管理者に選任される場合に限りその規模の制限を受けます。丙種(特別試験科目)は、高圧ガスの製造にかかわる職場で、保安係員にのみなることができるのです。
2-2.冷凍機械
冷凍機械というと、冷凍庫というイメージがありますが空調設備であるエアコンも含まれます。冷凍機械責任者という資格を聞いたことがある方もいるでしょう。実は冷凍機械責任者も高圧ガス製造保安責任者の一種なのです。
冷凍機械責任者は、
- 第一種冷凍機械責任者(冷凍にかかわるすべての高圧ガス製造施設の保安が行える)
- 第二種冷凍機械責任(1日の冷凍能力が300トン未満の高圧ガス製造施設の保安が行える)
- 第三種冷凍責任者(1日の冷凍能力が300トン未満の高圧ガス製造背筋施設の保安が行える)
の3つがあります。
2-3.関連資格
高圧ガス製造保安責任者には、関連資格もあります。
一例を挙げて見ると、
- 一般家庭の燃料ガスの製造から供給までを取り扱う、ガス主任技術者
- 高圧ガスを取り扱う職場で専任が必要とされ、高圧ガス製造保安責任者が就任できる、特定高圧ガス取扱主任者
- 一般家庭用等のLPガス供給設備・消費設備の設置工事または変更工事ができる液化石油ガス設備士
があるのです。これらは、ガスの保安ではなく設置工事や取り扱いにかかわる資格であり、保安には携われません。ガスは使い道もたくさんあるので、資格も多いのです。このうち、特定高圧ガス取扱主任者だけは、高圧ガス製造保安責任者のうち甲種、乙種を持っているとその職に就くことができます。
3.高圧ガス製造保安責任者の資格取得者の職場や求人について
高圧ガス製造保安責任者の資格を取得すると、高圧ガスの製造所、ガススタンド、さらに業務用のエアコンの保守点検を請け負う会社などに就職ができます。また、第三種冷凍責任者は、ビルメンテナンスの仕事に就くためには取っておいた方がよい資格とも、いわれているのです。ですから、ガスにかかわる仕事以外にも就職場所はあります。
さらに、保安技術管理者や保安主任に任命されれば給料アップも期待できるでしょう。「有資格者優遇」という場合は、資格手当もついている職場が多いのです。高圧ガス製造保安責任者の年収は400万円~で、高位の資格を取得しているほど年収も増える傾向にあります。
4.高圧ガス製造保安責任者の講習とは?
高圧ガス製造保安責任者の資格を取得するには、試験を受けて合格する必要があります。しかし、国家試験の一部免除措置を受けられる講習もあるのです。この項では、講習の内容や受ける条件などをご紹介しましょう。
4-1.高圧ガス製造保安責任者の講習があるものとは?
講習を受けられるのは、化学および機械の資格だけです。冷凍機械にはありませんので注意しましょう。また、最後に検定試験がありこれに合格しないと講習修了にはなりません。難易度は、甲種、乙種、丙種の順です。ですから、全く何も知識のない状態で受講しても講習修了認定は受けられないので注意してください。しかし、その分講習を受ける資格はありません。日程があえば誰でも受講できます。
4-2.講習の内容
高圧ガス製造保安責任者の講習は、「法令」「保安管理技術」「学識」の3科目です。期間は3日間、1日7時間の授業になります。さらに、最終日には保安管理技術と学識の検定試験が実施されるのです。これは、3日間受講をしないと受けられませんので注意しましょう。
4-3.講習の申し込み方や料金
高圧ガス製造保安責任者の講習は高圧ガス保安協会が主催しています。ホームページもありますので、確認してみましょう。
申し込みは、インターネット上でも行えます。それ以外の申し込みは、丙種(液化石油)以外は協会本部。丙種(液化石油)は、各都道府県液化石油ガス教育事務所で行ってください。
料金は18,840円~20,500円で、甲種は年に1度、乙種、丙種は年に2度開催されます。詳しい日程は、教会のホームページを確認しましょう。
5.高圧ガス製造保安責任者の試験について
高圧ガス製造保安責任者の試験内容や日程、さらに免除になる科目、難易度、合格率についてこの項ではご紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
5-1.高圧ガス製造保安責任者の試験内容とは?
高圧ガス製造保安責任者の試験は、法令、保安管理技術、学識の3科目からなります。第三種冷凍責任者だけ、学識がありません。試験はほとんどが択一式ですが、甲種(機械、化学)と第一種冷凍機械責任者の学識だけ記述式になります。すべての学科で60%前後の正解率を取れば合格です。
5-2.試験の日程や申込期間
高圧ガス製造保安責任者は、毎年11月くらいに行われます。申し込み方法は書面とインターネットで行われます。インターネットを使える方は、そちらの方が便利でしょう。手数料は7,900円~12,400円。詳しくは協会のホームページを確認してください。
5-3.試験の場所
試験会場は札幌市・仙台市・東京・名古屋市・大阪・、広島市・高松市・福岡市・宜野湾市だけです。そのため、住んでいる場所によっては、試験前日に余裕を持って移動しておきましょう。それ以外の試験は各都道府県で行われます。
5-4.試験の免除について
前項で、講習を受ければ一部試験が免除になるといいましたが、持っている資格によっても免除内容が異なります。甲種(化学、機械)責任者のどちらかを有し、持っていない方の資格の講習を受けた場合、試験はすべて免除になるのです。また、甲種(化学、機械)責任者の保有者が乙種(化学、機械)のどちらかの講習を受けた場合も試験免除になります。たとえば、甲種化学責任者の資格を持っている方が、乙種機械の講習を受けた場合などですね。このほかの場合は、どれかひとつの学科が免除になります。詳しくは協会のホームページを確認してください。
5-5.合格率、難易度について
高圧ガス製造保安責任者の合格率は、平均で35%~50%くらいです。難易度は甲種(化学、機械)責任者が「普通」そのほかの資格は「やや優しい」になっています。働ける場所が広く、転職にも有利な割には難易度が低めの資格ですので、ぜひ取得しておきましょう。
6.ガス高圧保安責任者の試験勉強のコツ
この項では、高圧ガス製造保安責任者に合格するための勉強方法やコツをご紹介します。どんな勉強方法があるのでしょうか?
6-1.勉強方法の種類
ガス高圧保安責任者の試験勉強には、独学、通信教材の2種類があります。民間の予備校のようなところは残念ながらありません。独学の場合は、書店やインターネット通販で参考書と過去問題集を購入し、勉強しましょう。通信教材は、いくつもの会社からテキストが販売されています。参考書を購入するよりも費用がかかりますが、模擬試験の添削やメールでの質問受け付けといったオプションがつくのです。ガス高圧保安責任者は、全く未経験でも受験できるため、知識がゼロという方もいるでしょう。そこから一発で合格まで持っていきたいという場合は、通信教材の方がおすすめです。
6-2.保安協会でも過去問題を作提供
独学で勉強するにあたり、悩むのが参考書の選び方です。Amazonを見ただけでもたくさんの書籍が販売されているのが分かるでしょう。そこで、お勧めなのは高圧ガス保安協会が出版している過去問題です。こちらを書店やAmazonなどで購入して解いていきましょう。どの出版社が出している過去問題集よりも確実です。また、参考書は過去問題集を見てから、分かりやすいものを選んでもよいでしょう。知識が少ない人は、できるだけ図が多く、一文が短い方がお勧めです。過去問題集の題名や商品情報は高圧ガス保安協会のホームページを確認してください。
6-3.勉強のコツ
高圧ガス製造保安責任者の勉強法は、参考書を読んで過去問題を解く、のくりかえしです。多くの資格試験に共通することですが、過去問題を解くことで問題の傾向が分かります。全く同じ問題が出ることはありませんが、出やすい場所も分かってくるでしょう。
また、社会人は毎日勉強する時間が取れにくい、という方も少なくありません。つい週末まとめて勉強したくなりますが、それでは範囲が終わらない可能性もあります。1日30分でもよいので、通勤時間や昼休み時間も使って勉強しましょう。
なお、講習を受ける場合は、高圧ガス保安協会発行の講習テキストを購入し、必ず予習しておいてください。講義が終わったら復習も大切です。そうしないと、最終日の認定試験に合格できません。せっかく科目の一部、もしくは全科目が免除になるチャンスです。大いに活用しましょう。
7.高圧ガス製造保安責任者に対するよくある質問
Q.高圧ガス製造保安責任者の試験を複数一度に受けられる?
A.試験日は1日しかありませんので、不可能です。複数の項目を受けたい場合は時間をかけましょう。
Q.高圧ガス製造保安責任者のうち、職場でどの種類が必要か、詳しく分からない場合は?
A.現在保安責任者の任についている人に尋ねてください。教えてもらえるはずです。
Q.学生でも資格は取得できる?
A.可能です。化学を専攻する学科に在籍している場合は力試しに受けて見る方も少なくありません。
Q.女性でも保安責任者になれる?
A.問題ありません。ただし、男性が多い職場ですのでその点は了承しておきましょう。
Q.通信教材の選び方は?
A.値段だけでなく、テキストの特徴や質問を受け付けてくれる回数などで選びましょう。手厚いサポートがあった方が合格しやすいです。
まとめ
今回は高圧ガス製造保安責任者の資格についてご紹介しました。種類によりこれだけできることや必要とされる職場が違う資格も珍しいでしょう。ぜひ、事前によく調べてから受験科目を選んでください。
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