
ボイラー技士の試験内容は? 勉強の仕方や試験を受ける手続きも解説
2016/03/19
2020/12/11
「ボイラー技士の資格試験はどのような内容か」「どのように勉強すればいいのか?」など、ボイラー技士の試験について気になっている方は多いでしょう。ボイラー技士には特級・1級・2級の3種類があり、それぞれで試験内容や試験を受ける条件などが異なります。事前に、どのような違いがあるのかチェックすることが大切です。
本記事では、ボイラー技士の試験について解説します。
この記事を読むことで、ボイラー技士の試験内容や勉強の仕方などが分かります。気になっている方はぜひチェックしてください。
1.ボイラー技士の資格にはどんな種類があるのか?
まずは、ボイラー技士の資格にはどんな種類があるのかチェックしておきましょう。
1-1.特級・1級・2級の3種類
ボイラー技士の主な種類は、特級ボイラー技士・1級ボイラー技士・2級ボイラー技士の3種類です。それぞれの特徴は以下のとおりとなります。
- 特級ボイラー技士:すべての規模のボイラー取扱作業主任者になることができる
- 1級ボイラー技士:伝熱面積の合計が500㎡未満(貫流ボイラーのみ取り扱う場合、その伝熱面積の合計が500㎡以上のときを含む)のボイラー取扱作業主任者になることができる
- 2級ボイラー技士:伝熱面積の合計が25㎡未満のボイラー取扱作業主任者になることができる
上記のように、ボイラー技士の種類によって、取り扱えるボイラーの種類が変わります。2級<1級<特級というように、取り扱えるボイラー設備が大きくなるのです。
1-2.ボイラー取扱技能講習修了
ボイラー技士の資格ではありませんが、ボイラー取扱技能講習修了というものがあります。ボイラー取扱技能講習を修了することで、小規模のボイラーを取り扱ったり運転したりすることができるのです。小規模ボイラーは病院・社会福祉施設・各種ビル等で設置されているもので、小型ボイラーとも規模の大きなボイラーのいずれにも該当しません。また、ボイラーを運転するためには、ボイラー技士免許およびボイラー取扱技能講習修了を得なければならないと国が定めています。資格を取得していない方は小規模ボイラーの取扱・運転はできないので注意してください。
2.ボイラー技士の資格試験の内容は?
ここでは、ボイラー技士の資格試験の内容を解説します。
2-1.階級によって試験内容は異なる
ボイラー技士には資格の区分が3つあるように、それぞれで試験内容も異なります。特級・1級・2級の試験内容は以下のとおりです。
2-1-1.特級
- ボイラーの構造に関する知識(6問/1時間)
- ボイラーの取り扱いに関する知識(6問/1時間)
- 燃料・燃焼に関する知識(6問/1時間)
- 関係法令(6問/1時間)
2-1-2.1級
- ボイラーの構造に関する知識(10問/1時間)
- ボイラーの取り扱いに関する知識(10問/1時間)
- 燃料・燃焼に関する知識(10問/1時間)
- 関係法令(10問/1時間)
2-1-3.2級(各科目10問/計3時間)
- ボイラーの構造に関する知識
- ボイラーの取り扱いに関する知識
- 燃料・燃焼に関する知識
- 関係法令
2-2.合格基準と免除について
ボイラー技士の合格基準は、特級・1級・2級ともに同じです。総得点が満点中の60%以上の得点率・各科目が満点中40%以上の得点率と両方の条件を満たすことで合格となります。どちらか1つでも満たさなかった場合は不合格になるので注意しておかなければなりません。また、特級だけ免除科目が適用可能です。過去2年以内に行われた特級ボイラー技士試験を受験し一部の科目について合格点を得た場合は、免許試験結果通知書に記載されている科目が免除されることになります。
2-3.気になる合格率は!?
ボイラー技士の試験をこれから受けようとしている方にとっては、合格率が一体どのくらいなのか気になってる方が多いと思います。ボイラー技士資格試験の合格率は、資格試験の区分によってバラバラです。特級ボイラー技士の合格率が約26%、1級ボイラー技士が約60%、2級ボイラー技士が約56%となっています。特級になるほど試験内容の範囲が広くなり難易度が上がるでしょう。1級と2級に比べると、合格率もかなり下がっていることが分かります。
3.ボイラー技士の試験勉強について
それでは、ボイラー技士の試験勉強について解説しましょう。
3-1.計画性が重要な独学
ボイラー技士の試験勉強として、独学があります。自分で参考書やテキストを購入し、勉強スケジュールを立てることになるでしょう。そのため、計画性が重要ですし、自分の気持ちをうまくコントロールしていかなければなりません。計画をきちんと立てて実行できる人なら、独学でも合格ラインに達成するほどのレベルになります。けれども、仕事が忙しくてなかなか計画どおりにいかないという方は、独学よりもほかの方法で勉強したほうがいいでしょう。
3-2.資格スクールに通うことも
時間と経済面で余裕があるのなら、資格スクールに通うのも選択肢の1つです。資格スクールに通う大きなメリットとしては、直接講師から教えてもらえる点でしょう。分からないことがあれば気軽に尋ねることができますし、納得できるまで質問し続けることも可能です。最近では、新型コロナウイルス感染症対策のため、オンライン授業を行っているところもあります。ただし、資格スクールに通うと独学よりも費用がかかってしまうのがデメリットです。
3-3.時間がない方は通信講座がおすすめ
仕事をしながら資格を取得している方が多いと思うので、なかなか勉強のための時間が確保できずに悩んでいる方は多いでしょう。そんな方におすすめしたいのが、通信講座です。通信講座のメリットとしては、自分の好きな時間に勉強できること・すき間時間でも勉強にあてられることでしょう。通信講座の中には、DVDといった映像で説明してくれるところもあります。スマホにダウンロードすれば、移動時間や休憩時間でも勉強できるというわけです。分からないところもメール等で質問を受け付けているので、いつでも質問できます。
3-4.合格に必要な勉強時間は約100時間
1級・2級ボイラー技士の資格を取得するためにかかる勉強時間は、初学者で約100時間だといわれています。特級ボイラー技士は試験範囲が広くなるため、より長く時間をかけて勉強したほうがいいでしょう。中には、休みの日を丸々勉強時間にあてる方がいますが、毎日コツコツと積み重ねることが大切です。どのような資格試験でも毎日20分間だけでも勉強をしたほうが、頭の中に必要なことを記憶できます。また、過去問をやり込むことが合格に直結するでしょう。ある程度、知識を身につけたら過去問に挑戦したり、間違った箇所を復習したりする時間を作ってください。
4.ボイラー技士の試験を受けるには?
ここでは、ボイラー技士の試験を受ける方法などについて解説します。
4-1.受験資格を満たさなければならない
ボイラー技士の資格試験を受けるためには、まず、受験資格を満たさなければなりません。特級・1級・2級ボイラー技士の受験資格は以下のとおりとなります。
特級
- 1級ボイラー技士免許を受けた者
- 大学または高等専門学校においてボイラーに関する講座または学科目を修め卒業した者で、その後2年以上の実地修習を経たもの
- エネルギーの使用の合理化に関する法律第9条第1項のエネルギー管理士(熱)免状を有する者で、2年以上の実地修習を経たもの
- 海技士(機関1・2級)免許を受けた者
- ボイラー・タービン主任技術者(1種または2種)免状を有する者で、伝熱面積の合計が500m2以上のボイラーを取り扱った経験があるもの
1級
- 2級ボイラー技士免許を受けた者
- 大学、高等専門学校、高等学校または中等教育学校においてボイラーに関する学課を修め卒業した者で、その後1年以上の実地修習を経たもの
- エネルギーの使用の合理化に関する法律第9条第1項のエネルギー管理士(熱)免状を有する者で、1年以上の実地修習を経たもの
- 海技士(機関1・2・3級)免許を受けた者
- ボイラー・タービン主任技術者(1種または2種)免状を有する者で、伝熱面積の合計が25m2以上のボイラーを取り扱った経験があるもの
- 鉱山保安法施行規則附則第2条の規定にて廃止前の保安技術職員国家試験規則による汽かん係員試験に合格した者で、伝熱面積の合計が25m2以上のボイラーを取り扱った経験があるもの
なお、2級は受験資格がないので、誰でも受けることができます。ボイラー技士の資格を取得していない方は、まず2級から資格試験を受けるのがベストです。
4-2.全国7箇所の安全衛生技術センターで実施
ボイラー技士試験は、財団法人安全衛生技術試験協会が指定機関となって実施されています。試験場所は、全国7箇所の安全衛生技術センターです。2級ボイラー技士は毎月1回、1級ボイラー技士は2か月ごとに1回と、資格区分のレベルが上がるほど実施回数も少なくなります。新型コロナウイルス感染症の感染を予防するための対応など、詳細が公式ホームページに記載されているので必ずチェックしておきましょう。
5.ボイラー技士の試験に関してよくある質問
ボイラー技士の試験に関する質問を5つピックアップしてみました。
Q.未経験からボイラー技士の資格を取得できるのか?
A.2級ボイラー技士には資格受験がないので、未経験者でも試験を受けることはできます。けれども、筆記試験を突破したとしても、ボイラーの取扱経験がなければ免許を発行してくれないので注意が必要です。よって、実務経験がない方は、実技の講習を受ける必要があります。ボイラー実技講習を20時間受けるか、ボイラー取扱技能講習を受ける+4か月の実務経験のどちらかで取得できるでしょう。
Q.2級ボイラー技士の試験勉強での大切なポイントは?
A.合格率は毎年安定していますが、近年は問題の見直しがされていることもあり、以前よりも難易度が上昇している傾向にあります。過去問を何度もやり込んでいけば合格ラインに達成できるでしょう。けれども、それだけは不十分なので、ボイラーの概要をしっかりと理解することが大切なポイントです。また、実技の講習を受ける場合は、実技講習を先に受けてから筆記試験に挑むことをおすすめします。そのほうが筆記試験の勉強に集中しやすくなるでしょう。
Q.1級と2級では難易度が大きく変わるのか?
A.特級になると難易度が上がりますが、1級と2級とではそこまで大きく変わるわけではありません。1級は2級と試験内容自体はほとんど変わらないといえるでしょう。そのため、1級ボイラー技士の資格試験を受ける際は、過去問を中心に勉強すれば大丈夫です。ひたすら過去問を解き、引っかかってしまう問題を中心に復習するといいでしょう。
Q.ボイラー技士の資格を取得するメリットは?
A.未経験者がボイラー技士の資格を取得することで、仕事の幅が格段に上がります。免許が必要ないボイラーなども一般的に普及されていますが、まだまだ免許が必要なボイラーはたくさんある状況です。逆に、免許が必要ないボイラーが普及してきたからこそ、専門的なボイラーを扱える人が少なくなってきているため、ボイラー技士の存在は貴重になってきています。大型ビル・病院といった大型ボイラーを扱っているところほど、ボイラー技士を必要としているでしょう。
Q.ボイラー技士の仕事内容は?
A.主な仕事は、ボイラーの操作・点検および安全管理です。ボイラーは燃料で水を沸かす装置になるため、万が一事故が起きてしまうと火事や爆発など大事故につながる恐れがあります。そのような事故を未然に防ぐためにも、ボイラー技士がきちんとボイラーの燃焼状態を確認したり、供給される水の管理をしたり、異常を早期に発見したりすることが大切です。
まとめ
ボイラー技士の試験内容は、特級・1級・2級と資格の種類によって異なります。基本的に筆記試験となりますが、未経験者は実務講習を受けなければなりません。実務講習をきちんと受けるか、実務経験を積み重ねることでやっと免許が交付されます。きちんとボイラー技士の資格種類を把握してから試験勉強に挑みましょう。独学やスクール通学など勉強方法もさまざまですが、仕事をしながら資格取得を検討している方は通信講座がおすすめです。
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