排気ガスの成分とそれぞれの特徴…人体への影響は?

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排気ガスを分析するとどのような成分が含まれているのかご存じですか?
そして、その成分の特徴や濃度について調べてみましょう。
排気ガスに含まれる有害物質は、人体や地球環境に悪影響を与えるものです。
世界的に排気ガスに関する規制が設けられており、さまざまな対策の取り組みがすすんでいます。
排気ガスから有害物質を取り除くための触媒技術も、日々進化しているのです。

人にも地球にもやさしい環境を作り出すために、詳しく勉強しておきましょう。


1.排気ガスの特徴と定義

1-1.排気ガスとは

排気ガスとは、ガソリンや軽油などの燃料がエンジンで燃焼したり、さまざまな化学反応を起こしたりすることで生じる気体のことを言います。
大気中に放出されると環境汚染の原因にもなるでしょう。
今日、自動車は人々にとって必要不可欠な移動手段となっています。
しかし、自動車の普及にはさまざまな問題があり、排気ガスによる公害もその1つなのです。

1-2.排気ガスによる影響

排気ガスは私たちの暮らしに大きな悪影響を及ぼしています。
その1つが、地球温暖化。
地球温暖化の原因は、温室効果ガスの増加です。
温室効果ガスには、自動車が排出する二酸化炭素も含まれています。
地球温暖化によって年々気温が上昇していることはご存じでしょう。
気温の上昇は、私たちの生命維持を脅かす深刻な問題なのです。
たとえば、気温が上昇して南極や北極の氷が溶けるとどうなるでしょうか。
海面が上昇することで水没する島が出てきてしまうのです。
日本でも、海面が1m上昇するだけで東京の下町や大阪の都心部が水没し、多額の資産が失われる可能性があります。
さらに、土壌が枯渇し、植物が育たなくなってしまうという問題も。
食料の収穫が激減し、世界的な食糧不足を招く恐れもあるでしょう。
また、大気汚染により私たちの健康に被害が及ぶ可能性もあります。
排気ガスに含まれる有害物質は、大気汚染物質なのです。
こういった物質によって汚染された空気を吸い続けることで健康へ悪影響を及ぼします。
たとえば、呼吸器に異常が生じて咳(せき)が止まらなくなる、呼吸困難に陥るなどの恐れがあるでしょう。
また、意識障害やひきつけ、肺がんを引き起こす原因にもなるのです。

2.排気ガスの成分

2-1.一酸化炭素

一酸化炭素は、炭素が不完全燃焼したものです。
ものが燃えるとき、物質に含まれる炭素は酸素を2つ取り込みます。
その作用によって二酸化炭素が生じるわけです。
しかし、不完全燃焼になると酸素を2つ取り込むことができず、一酸化炭素を発生してしまいます。
自動車のエンジンはガソリンを燃焼する際、ある程度の不完全燃焼を起こし、一酸化炭素を作り出してしまっているのです。
特に整備不良のエンジンは一酸化炭素を出しやすくなるでしょう。

2-2.炭化水素

炭化水素は炭素と水素からなる化合物の総称です。
ガソリンや軽油は多様な炭化水素の化合物であり、エンジンの中で燃え残ると排気ガスの一部として大気中に放出されます。
エンジン内では、燃焼中の酸素が不足すること、燃焼が不活発な状態になることで炭化水素が発生しやすくなるのです。

2-3.窒素酸化物

大気汚染物質としての窒素酸化物は、一酸化窒素と二酸化窒素が主です。
その大部分は一酸化窒素として排出され、大気環境中で酸素やオゾンなどと反応して二酸化窒素になります。
また、窒素酸化物は光化学オキシダントの原因物質でもあり、硫黄酸化物と同様に酸性雨の原因にもなっているのです。

2-4.粒子状物質

自動車の排気ガスには、大まかに分けると気体で排出されるものと粒子で排出されるものがあります。
後者を粒子状物質と呼び、粒径の小さなものは大気中に比較的長時間滞留するのです。
そして、気管支または肺の深部に沈着して呼吸器系に影響を及ぼすと言われています。
たとえば、ディーゼルでは黒煙が排出されることが知られているでしょう。
こうした黒煙など排気ガス中に含まれる固体や液体成分を総称して粒子状物質と言うのです。

2-5.二酸化炭素

二酸化炭素は、石油や石炭などの炭素化合物が燃焼すると発生します。
温室効果ガスの1つであり、地球温暖化の問題に大きく関係していることになるでしょう。

2-6.硫黄酸化物

硫黄酸化物とは、主に二酸化硫黄と三酸化硫黄を指します。
精製が十分でない石油や低品位の石炭などは硫黄を含んでおり、燃焼によって硫黄酸化物が発生するのです。
大気汚染や酸性雨の原因の1つとして問題視されています。

3.排気ガス対策

3-1.自動車排出ガス規制

特に大都市においては、自動車から排出される有害物質による大気汚染が著しくなっています。
このような自動車排出ガスに対する対策として自動車排出ガス規制が設けられたのです。
その内容は、大気汚染防止法により、自動車1台ごとの排出ガス量の許容限度を定めたもの。
道路運送車両法に基づく道路運送車両の保安基準により確保されるという仕組みになっています。
自動車排出ガス規制の強化については、継続的に審議が続けられているのです。
この規制に対応するため、エンジンから発生する大気汚染物質の低減対策として、以下のようなものがすすめられています。

  • 燃焼の噴射機器の改善などにより、燃焼が良好に行われるようにすること
  • 触媒の使用による汚染物質の酸化・還元
  • 排出ガス再循環装置により不活性な排出ガスを吸気系統へ導入し、最高燃焼温度を下げること
  • ディーゼル排気微粒子除去フィルターシステムによる粒子状物質の除去

3-2.低公害車の普及促進

自動車を購入する際には、低公害車をはじめとする温室効果ガスの排出量が少ないものを購入するように努める政策もあります。
低公害車とは、大気汚染物質の排出が少ない、またはまったく排出しない、燃費性能が優れているなどの環境にやさしい自動車のこと。
電気自動車や天然ガス自動車、ハイブリッド自動車、低燃費かつ低排出ガス車などがあります。

3-3.自動車の効率的な利用や公共交通への利用転換

企業対策だけでは環境問題を解決できません。
そのために、1人1人の努力を欠かすことはできないのです。
私たちが個人的にできる対策としては、自動車の効率的な利用や公共交通への利用転換などがあります。
自動車を利用することが当たり前になっている暮らしを改め、必要のないときは利用しないように心がけることが必要になるのです。
また、バスや電車などの公共交通機関をできるだけ利用し、自動車を利用する機会を減らす必要があるでしょう。
自動車の普及こそが、地球の環境が悪化する原因になっているということを理解するべきなのです。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。
排気ガスにはさまざまな有害物質が含まれており、私たちの暮らしにどのような影響を及ぼしているのかお分かりいただけたと思います。
排気ガスによる環境汚染を減らすために、世界中でさまざまな取り組みが行われているのです。
その内容を把握し、ことの重大さを理解する必要があるのではないでしょうか。

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