
施工管理の仕事が激務と言われる理由は? 仕事内容や種類について
2017/06/08
2021/04/07
建設業が盛り上がりを見せつつある今、現場において重宝されているのが「施工管理」に就く者です。施工管理は、建設現場において、全体を把握しつつも、品質管理・安全管理・施工スケジュール調整など全体の監督を行います。非常にやりがいのある施工管理ですが、体力面・精神面での負担が大きく、激務だと言われているのです。しかし、本当に激務で大変な仕事なのでしょうか。
そこで、本記事では、施工管理の基礎知識から仕事内容・激務と言われる理由・必要な資格などについて説明します。
この記事を読むことで、施工管理の仕事内容や必要な資格などについて知ることができ、激務と言われる理由が分かります。気になっている方は、ぜひチェックしてください。
1.施工管理とは
まずは、施工管理の基礎知識を深めていきましょう。ここでは、概要、種類、職務、目的・必要性について説明します。
1-1.概要
施工管理は、建設現場の工程管理・品質管理・安全管理・作業者たちの作業工程・スケジュールなどを管理する職種です。土木工事・管工事・電気工事など、建設に関する工事現場において、現場監督の役割を担う大切な存在と言えます。施工管理をきちんと行うからこそ、計画どおりスムーズに工事がすすめられるのです。逆に、施工管理をきちんとしておかなければ、どこかでズレが生じ、工事のスケジュールが狂ったり、事故が起きたりとさまざまな不具合が起きやすくなります。作業現場で働いている人たちの安全を守るためにも、大切な仕事でしょう。
1-2.種類
施工管理の種類は、建設機械施工・土木施工管理・建築施工管理・電気工事施工管理・管工事施工管理・造園施工管理の6種類に分かれています。種類によって、仕事内容や範囲が異なるので必ず把握してください。
- 建設機械施工:施工管理技士の中で最も古く、建設機械の施工管理を行う
- 土木施工管理:河川・道路・橋梁(きょうりょう)・鉄道・上下水道などの土木工事に関する施工管理を行う
- 建築施工管理:建築施工過程の計画・管理などを行う
- 電気工事施工管理:電気工事を行う際の現場指導・監督を行う
- 管工事施工管理:冷房・空調・給湯設備やダクト・配管工事などの施工計画作成・安全管理を行う
- 造園施工管理:公園・遊園地などの造園工事における施工計画の作成・管理を行う
1-3.職務
施工管理の主な職務は、建設工事現場で工程管理・安全管理・品質管理を行うことです。施工管理技士は、より計画的に工事をすすめるためのスケジュールを作成し、実践しなければなりません。発注者への打ち合わせはもちろんのこと、現場で働く人々と技術者の橋渡しや指導・監督も担当します。具体的な仕事内容に関しては、【2-1.仕事内容】で説明するのでぜひチェックしてください。
1-4.目的・必要性
建設工事の適正な施工確保が、施工管理の目的となります。大きな工事現場であるほど、複数の業者や作業員が入り乱れるので統率者が必要です。現場監督の立場となる施工管理は、現場を統一する大切な役割も担っています。現場が一丸となるからこそ、計画どおりに工事をすすめることができるのです。
2.施工管理の仕事内容とは
それでは、施工管理の具体的な仕事内容について説明します。
2-1.仕事内容
施工管理の仕事は、施工計画の作成・安全管理・品質管理・工程管理の4つに大きく分かれます。それぞれの内容について、以下にまとめてみました。
- 施工計画の作成:工事監理者・元請け・協力業者すべてが分かる施工計画(スケジュール)の作成
- 安全管理:現場における日々の安全を確保・管理する
- 品質管理:設計どおりにつくられているか、写真撮影などで記録し管理する
- 工程管理:工事スケジュールが予定どおりにすすんでいるか、確認しながら管理する
施工管理を務める者は、すべてを管理できるわけではありません。複数の現場監督が分担して、施工管理業務を行うケースがほとんどです。
2-2.どんな人に向いているか
施工管理は、現場全体を常に把握して施工品質自体が下がらないようにしなければなりません。一歩間違えれば、重大な事故につながりかねないため、危機管理能力を持った人や順応力・適切な判断を瞬時に行える人が向いています。また、1つのことに集中して作業をこなせる人や物事を計画的にすすめられる人・慎重さや注意力がある人も向いているでしょう。元請け業者や技術者との間を取り持つ橋渡し役にもなるため、コミュニケーション能力も大切です。最初から持っていない能力でも、経験や実績を積み重ねることで自然と身につくものもあります。
3.施工管理が激務と言われる理由
施工管理の仕事内容は幅広く、さまざまなところに目を向けなければなりません。やることがたくさんあるので激務と言われるのも分かりますが、本当にそうなのでしょうか。激務と言われる理由について説明します。
3-1.本当に激務なのか?
現場監督である施工管理は、トラブルが起きた場合に責任を問われるポジションです。そのため、現場で最も責任の大きい仕事であり、問題が発生したときはすぐに対処しなければなりません。たとえ、休日だとしても常に連絡が取れるようにしておく必要があります。最低でも1週間に1度の休みは取れると言われていますが、休日を返上することもあるようです。2020年の東京オリンピックに向けて、建設業界も盛り上がりを見せているため、激務であることは確かと言えるでしょう。
3-2.激務と言われる職場・職種は?
施工管理はさまざまな種類がありますが、中でも激務と言われる職場・職種があります。それは、ビル・マンション・商業施設などの建築施工管理です。求人情報・転職サイトのDODA(デューダ)が実施した残業の多い職業の調査結果によると、第3位に施工管理(ビル・マンション・商業施設)がランクインしました。特に、都心部では建設ラッシュが続いており、残業となるケースが多いようです。また、東日本大震災による造成工事・除染工事などの復興工事により、土木施工管理における人材不足が深刻化しています。人手が足りていない現状だけに、負担が大きいのです。
3-3.激務と言われる理由について
施工管理が激務と言われる理由は、時間・将来・人間関係の3つが大きく関係しています。種類によって勤務体系が異なりますが、日勤の場合は朝8時から始めるケースが多いようです。事務職よりも現場で作業することが増えるため、体力も奪われます。歳をとるほど体力がなくなるので、体力面における心配もあるでしょう。さらに、建設コンサルタントや癖のある作業員・元請け業者との人間関係など、精神面における負担も大きくのしかかります。
4.施工管理に必要な資格とは
施工管理の仕事を行うためには、資格を取得しなければなりません。一体、どのような資格が必要になるのでしょうか。
4-1.どんな資格が必要か?
施工管理技士にはさまざまな種類があるため、事前に、自分がどこでどんな仕事をしたいのか明確にしておかなければなりません。たとえば、遊園地などの工事に就きたい方は造園施工管理技士、電気工事の監理をしたい方は電気施工管理技士の取得を目指すことになるでしょう。働きたい仕事に就くためには、それぞれの資格種類について把握することが大切です。
4-2.各施工管理技士について
土木・建築・電気・管工事・造園施工管理技士について詳しく説明します。
4-2-1.土木施工管理技士
土木施工管理技士は、1級と2級にわかれており、階級によって仕事内容と範囲が異なります。1級は、河川・道路・橋梁・港湾・鉄道・下水水道などの土木工事において、主任技術者・監理技術者として施工計画の作成や工程管理・安全管理ができる資格です。一方、2級は、土木・薬液注入・鋼構造物塗装に分かれており、それぞれ河川・道路・橋梁(きょうりょう)・港湾・鉄道などにおいて主任技術者として働くことができます。
4-2-2.建築施工管理技士
建築施工管理技士も、1級と2級に分かれています。1級は、一般建設業・特定建設業の許可基準を満たしている営業所ごとに配置しなければなりません。専任技術者ならびに建設工事の現場に必要な主任技術者・監理技術者の有資格者として認められる資格です。2級ではできない大規模工事を担当することができます。一方、2級は、建築・躯体(くたい)・仕上げの3種類に分かれており、専任技術者・主任技術者・監理技術者として認められるのです。主に、小規模工事を扱います。
4-2-3.電気施工管理技士
電気施工管理技士は、1級と2級に分かれており、電気工事現場の監督・指導を行うための必要な資格です。1級は、一般建設業および特定建設業の営業所で専任技術者に就くことができます。また、建設工事現場に必ず配置しなければならない「監理技術者」にもなれるのです。一方、2級は、一般建設業の営業所で専任技術者として働くことができます。
4-2-4.管工事施工管理技士
冷房・空調・給湯設備やダクト・配管工事などの施工計画作成や品質・安全管理を行うのが、管工事施工管理技士です。1級と2級に分かれており、1級は、建設業法により特定建設業の営業所に配置しなければならない専任技術者や、工事現場に置かなければならない主任技術者・監理技術者として働くことができます。そして、2級は、一般建設業の営業所に配置する専任技術者や工事現場における主任技術者になれる階級です。
4-2-5.造園施工管理技士
造園施工管理技士は、公園・遊園地などの造園工事における施工計画の作成・管理を行います。1級と2級に分かれており、1級は専任技術者や主任技術者・監理技術者、2級は専任技術者・主任技術者として働くことができるのです。
4-2-6.そのほか
6種類のほかにも、のり面施工管理・鉄骨工事施工管理・舗装工事施工管理などがあります。のり面施工管理は、道路建設・宅地造成に必要なのり面施工のスペシャリストです。鉄骨工事施工管理は鉄骨工事に関する施工管理、舗装工事施工管理は舗装の専門家となります。分野によって、取得する資格が異なるので注意してください。
5.施工管理に関してよくある質問
施工管理に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
5-1.施工管理のやりがいとは?
施工管理は大変なことばかりではありません。全体をまとめ、適切な指示・判断を下す大切な役割を担っているので、やりがいはあります。1つのものを最初からつくり出し、完成したときは大きな達成感に包まれるでしょう。また、多くの人にとって役立つものを生み出すことも、やりがいの1つです。
5-2.施工管理技士の資格を取得するメリットとは?
施工管理技士の資格を取得する大きなメリットは、就職・転職に有利なことです。ほとんどの企業や会社が、無資格者よりも有資格者を欲しがっています。実績・経験を積んでいる人ほど即戦力となるので採用されやすいと言えるでしょう。また、資格手当てなど給与面でのメリットもあります。金額は企業によって異なりますが、約5,000~1万円ほどもらえる可能性が高いのです。
5-3.施工管理の平均年収はいくらか?
施工管理の平均年収は、400万円前後です。しかし、中には大手ゼネコンに勤めている人で、年収1,000万円の場合もあります。実績・経験を積むほど、昇給・昇格が期待できるでしょう。
5-4.施工管理の中で比較的、楽な仕事分野とは?
施工管理の仕事に差はありませんが、比較的、造園業は労働災害や危険度の可能性が低い傾向はあります。しかし、必ずしも造園業の仕事が楽だとは言えませんので注意してください。あくまで、施工管理の中における話であり、どの仕事も簡単ではありません。
5-5.ゼネコンが激務なのは本当か?
ゼネコンは、総合建築業のことで、土木・建築工事などを一挙に受け持ちます。常に、現場に立って作業を行うため、体力・精神面における負担がかかるでしょう。規模の大きいゼネコンほど、大規模工事を担当することが多く、激務となる可能性も高いのです。
まとめ
施工管理は、工事現場における現場監督の役割を果たし、施工作成・管理から安全・品質管理・技術者などへの指示も行います。さまざまな点に注目して、全体の工事をすすめていかなければならない、大切な役割を担っているのです。現場において、最も責任の強い立場と言ってもいいでしょう。だからこそ、突然のトラブルにも対応する必要があり、休日がつぶれることもあります。体力面・精神面における負担も大きいことから、激務と言われているのです。しかし、激務であっても、施工管理の仕事は人の役に立つ、やりがいのある仕事となります。自分が働きたい分野に合った資格を取得して、ぜひ施工管理のやりがいを感じてみてください。
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