工場の環境対策で押さえておくことは? 主な実例とポイントを詳しく!

はてなブックマークに追加 Twitterでシェア Facebookでシェア

「工場の環境対策として押さえておくべきポイントを詳しく知りたい」とお考えではありませんか? 工場における生産活動は、水質汚染や大気汚染などの環境問題と深い関係があります。まずは、環境破壊につながる物質を排出しないようにしたり、周囲の環境保全に努力したりすることが大切です。しかし、実際にどんな取り組みを進めるべきか、どんな点に注意すべきかなどよく分からないこともあるでしょう。

そこで今回は、工場の環境対策について詳しく解説します。

  1. 工場が抱える環境問題とは?
  2. 工場が行うべき環境対策は?
  3. 工場の環境対策や取り組み事例を紹介
  4. 工場の環境対策に関するよくある質問

この記事を読むことで、工場の環境対策を進めるポイントがよく分かります。まずは、記事を読んでみてください。

1.工場が抱える環境問題とは?

最初に、工場が抱える環境問題にはどんなものがあるか確認しておきましょう。

1-1.水質汚染

工場が抱える環境問題として代表的なものが、水質汚染です。工場からは、毎日大量の工業廃水が河川や海に流れ込みます。廃水処理がきちんとなされていないと、有害物質が大量に排出されて水質が悪化し、生態系を破壊してしまうのが大きな問題です。また、水質汚染は同時に悪臭を生み、近隣住民のQOLを大幅に低下させてしまいます。

1-2.大気汚染

大気汚染も、工場が抱える環境問題の一つです。1960年代に入り高度成長期を迎えた日本では、工場による硫黄酸化物や窒素酸化物の排出が急増し、深刻な大気汚染が問題となりました。具体的には、光化学スモッグ・酸性雨・PM2.5などの問題を引き起こし、人間や動植物などに悪影響を与える原因になったのです。また、CO2の排出が増加したことで、地球の温暖化が加速したことも記憶に新しいところでしょう。

1-3.アスベスト問題

古い工場では、保温・断熱・防音のためにアスベストが壁材として広く使われてきましたが、研究が進むにつれて発がん性が高いことが判明しました。そのため、1975年9月に吹き付けアスベストの使用が禁止された以降は、アスベストの使用およびアスベストを含む製品の製造が原則としてできないことになっています。しかし、古い工場を解体する際に大量のアスベストが発生する可能性があり、的確な対策を行う必要があるのです。

2.工場が行うべき環境対策は?

工場が行うべき環境対策を具体的に見ていきましょう。

2-1.CO2の排出削減

工場が行うべき環境対策として真っ先に挙げられるのが、CO2の排出削減です。工場で生産活動をすると、燃料の燃焼などにより大量のCO2が発生します。CO2の増加は地球の温暖化につながり、海面の上昇や異常気象などさまざまな悪影響があるため、できるだけ抑制することが大切です。CO2の排出削減対策では、この記事の「2-3.グリーンエネルギーの利用」も併せて参考にしてください。

2-2.工業廃水の適切な処理

工業廃水の適切な処理も、工場が行うべき環境対策です。工業廃水は、有害物質の含有量を一定基準以下にする必要があります。万が一、適切な処理がなされなければ、有害物質が河川や海に流れ出て、大きな影響を与えてしまうからです。水質汚染が進むと、生態系への影響だけでなく、土壌汚染にもつながります。また、場合によっては公害病が発生する可能性もあるため、きちんとした水質管理が必要です。

2-3.グリーンエネルギーの利用

最近では、工場の環境対策として、グリーンエネルギー(グリーン電力)の使用も盛んに行われています。グリーンエネルギーとは、CO2や窒素酸化物などの有害物質を出さない、もしくは、排出量が極めて微量なエネルギーのことです。具体的には、以下のようなものがあります。

  • 太陽光
  • 風力
  • バイオマス
  • 地熱
  • 天然ガス

2-4.産業廃棄物の削減と再生資源の活用

産業廃棄物の削減と再生資源の利用も、工場が行うべき環境対策です。まずは、産業廃棄物を削減することで、ゴミの総量を減らして焼却処分に伴う環境への悪影響を抑えることができます。また、再生資源を活用することで、地球上の資源の枯渇を防ぐことが可能です。今まで廃棄処分となっていたものを見直して適切に活用することは、工場の環境対策になるだけでなく、長い目で見て経費削減につながることもあります。

2-5.悪臭および騒音の削減

悪臭の削減対策を進めることも、工場が行うべき環境対策の一つです。特に、化学工場・製紙工場・食品加工工場など、悪臭が発生しやすい業種では、脱臭設備の導入や産業廃棄物の適切な処理などを徹底する必要があります。また、騒音の削減に努めることも大切なポイントです。工場では、稼働時に大きな騒音が発生します。工場が24時間稼働した場合、防音対策が不十分だと近隣住民は1日中騒音に悩まされることになるでしょう。まずは、工場設備の防音化を進めると共に、低騒音タイプの工場機械を導入したり夜間の稼働を制限したりするなどの対策が必要です。

3.工場の環境対策や取り組み事例を紹介

工場の環境対策や取り組みの事例を具体的にご紹介しましょう。

3-1.アサヒビールにおけるCO2削減および資源の100%リサイクル

アサヒビールでは、8つの工場すべてでCO2削減および資源の100%リサイクルに取り組んでいます。具体的には、以下を参考にしてください。

CO2削減

  • ビールを製造する際、釜の工程をホップと麦汁の別々で行うことでCO2の排出量を30%削減
  • ビール発酵工程で発生するCO2をタンクに集約後、びんや缶などに詰める工程で再使用
  • 風力発電などのグリーン電力の活用

資源の100%リサイクル

  • 50種類以上の分別容器を用意し、素材ごとにリサイクル
  • 余剰酵母などをすべて資源として活用

より詳しい内容については、アサヒビールの環境に対する取り組みページをご覧ください。

3-2.トヨタ自動車におけるトヨタ環境チャレンジ2050

トヨタ自動車では、「トヨタ環境チャレンジ2050」として、2050年にCO2排出量ゼロとなることを目指し、人と車と社会が共存することを目的に環境対策を進めています。具体的には、以下をご覧ください。

  • 新車CO2ゼロチャレンジ
  • ライフサイクルCO2ゼロチャレンジ
  • 工場CO2ゼロチャレンジ
  • 水環境インパクト最小化チャレンジ
  • 循環型社会・システム構築チャレンジ
  • 人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ

より詳しい内容は、トヨタ自動車のトヨタ環境チャレンジ2050ページを参考にしてください。

3-3.三菱ケミカルにおけるレスポンシブル・ケア活動

三菱ケミカルでは、「レスポンシブル・ケア活動」の一環として以下のような環境活動に取り組んでいます。

  • CO2など温室効果ガスの排出量の削減による気候変動への対応
  • 排ガス・廃水処理設備の導入や改善による大気・水質・土壌の汚染防止
  • 産業廃棄物の3Rの促進およびリサイクル率の向上
  • 生物多様性の保全

より詳しい内容は、三菱ケミカルの環境保全ページをご覧ください。

4.工場の環境対策に関するよくある質問

最後に、工場の環境対策に関する質問に回答します。それぞれ参考にしてください。

Q.周囲に人家がない場合でも工場の環境対策を行うべきか?
A.行うべきでしょう。工場の環境対策は、近隣住民のためだけでなく、地球環境の保全も目的になるからです。人家の有無にかかわらず、環境対策をきちんと行いましょう。

Q.工場の環境対策を担当する場合はどんな資格があるとよい?
A.たとえば、公害防止管理者やエネルギー管理士、廃棄物処理施設技術管理者などの資格を取得するとよいでしょう。資格取得後は、工場の環境管理や環境汚染防止のプロフェッショナルとして活躍することができます。

Q.近隣からの騒音クレームを放置したらどうなる?
A.近隣から自治体に苦情が入り、場合によっては行政指導が行われることがあります。近隣住民にとって、工場の騒音は精神的にとてもつらいことです。騒音クレームが届いたら、迅速かつきちんと向き合い、できるかぎりの対策を採るべきでしょう。

Q.工場の環境対策をきちんと行うことのメリットは?
A.以下のようなメリットがあります。

  • 工場周辺の環境が健全化する
  • 地球規模の環境改善につながる
  • 近隣住民のQOLが向上する
  • 企業イメージが向上する

Q.工場の環境対策の効果が出るまでの期間は?
A.工場の環境対策は、適切な方法で行ったとしても、すぐに目に見えて効果が出るとは限りません。しかし、対策を続けるほどに、環境改善に貢献できるのは事実です。年単位で気長に取り組み、将来の環境保全につなげましょう。

まとめ

今回は、工場の環境対策について詳しく解説しました。工場の環境対策では、大気汚染や水質汚染・アスベスト問題などに配慮する必要があります。具体的には、CO2の排出量の削減や、グリーン電力の活用、再生資源の利用など、さまざまな対策を進めることが大切です。従業員一人ずつが当事者意識を持って環境問題に取り組むことで、さらに高い効果を得ることができるでしょう。なお、工場の環境対策を適切に行うためには、深い専門知識が必要になります。たとえば、公害防止管理者・エネルギー管理士・廃棄物処理施設技術管理者などの資格を取得すれば、環境問題のプロフェッショナルとして欠かせない人材になることでしょう。