
土木施工管理技士の実地試験・経験記述の効率良い勉強方法は?
2017/01/16
2021/04/07
土木施工管理技士とは、国家資格である施工管理技士の一つです。資格保持者は主任技術者や管理技術者になることができるため、土木工事の現場仕事をしている方の中には、資格取得を目指している方も多いでしょう。土木施工管理技士になるためには、一定の実務経験を積んだ後で試験を受け、合格する必要があります。試験は学科試験と実地試験があり、実地試験の経験記述という独特な試験が大きなウエイトを占めているのです。経験記述の勉強ははかどらず、苦戦しているという方も多いと思います。
そこで、今回は土木施工管理技士の実地試験・経験記述の勉強方法などについてご紹介しましょう。
勉強方法のコツがつかめれば、本番で焦ることもありません。土木施工管理技士の資格取得を目指している方は、ぜひこの記事を読んでみてください。
1.土木施工管理技士とはどのような資格?
はじめに、土木施工管理技士とはどのような資格かということをご紹介します。有資格者はどのような職務に就くことができるのでしょうか?
1-1.施工管理技士とは?
土木施工管理技士とは、前述したように国家資格、施工管理技士の一つです。施工管理技士とは工事現場での工程や安全管理などの責任者になれる資格のことで、土木の他に建築や電機など6分野に分かれています。
土木施工管理技士になると、河川・道路・橋梁・上下水道などの工事をする際、主任技術者として施工計画を立てたり現場で施工管理・安全管理などを行ったりすることができるのです。技術者を束ね、施工計画通りに安全に工事ができるように采配を振るのが主な仕事となります。法律によって工事現場には必ず有資格者を主任技術者として配置するように義務付けられているのです。
1-2.土木施工管理技士の種類は?
土木施工管理士には1級と2級があり、1級は前項で紹介したような土木工事の現場で主任技術者や管理技術者になることができます。2級は、土木・鋼構造物塗装・薬液注入の3種類に分かれており、合格した分野の工事が行われる際、主任技術者になることができるのです。1級・2級ともに工程管理・安全管理は行われるので、土木工事の仕事に就いている方ならば、取得しておいて損はありません。
1-3.土木施工管理技士を取得するメリット
建築業法では、外注総額3,000万円未満(税込)の工事の元請業者とその下請業者は、直接雇用をした技術者の中から主任技術者を選び、現場に配置しなくてはなりません。この主任技術者は、請け負い金額が2,500万円(税込)以上の場合は兼任が許されておらず、必ず一現場に1人必要です。ですから、大きな工事を請け負う業者ほど主任技術者がたくさん必要になります。
主任技術者は土木施工管理技士の資格がなくても、10年間の実務経験はあれば就くことが可能です。しかし、同じ会社にずっと勤め続けていない限り、10年間の実務経験を客観的に証明するのはとても大変でしょう。ですから、一定期間土木工事の実務経験を積んだ方は資格を取得した方がより責任が重い立場に就きやすくなり、出世の道も開けます。
1-4.試験に合格した後の就職先
土木施工管理技士の資格を取得していれば、土木工事を請け負っている会社ならばどのようなところでも働けます。今働いている会社よりも大きな会社に転職したいという場合も大いに役立つことでしょう。
2.土木施工管理技士の試験について
この項では、土木施工管理技士の試験についてご紹介します。どのような試験なのでしょうか?
2-1.土木施工管理技士の受験資格
土木施工管理技士は、1級・2級ともに実務経験がないと受験資格が得られません。必要な実務経験の年数は学歴によって異なります。詳しいことは全国建築研修センターのサイトで確認をしましょう。ちなみに1級の方が2級よりも長期の実務経験を必要とします。ですから、まずは2級を取得して、それからさらに実務経験を積んで1級にチャレンジするのもおすすめです。
2-2.土木施工管理技士の試験内容と難易度
国家試験の資格を紹介するサイトなどでは、土木施工管理技士の難易度はやや優しい~普通程度です。これは、受験者数が実務経験者に限られているためであり、決して勉強しなくても受かるということではありません。学科試験・実地試験ともに6割以上の正解で合格になります。足切点はありません。
土木施工管理技士の試験は、学科試験と実地試験があります。学科試験の方は1級は土木工学・施工管理法・法規の3種類です。2級も内容に変わりはありませんが、出題範囲は土木・鋼構造物塗装・薬液注入に分かれています。ですから、2級の方が覚える内容も少なくて済むのです。学科試験の合格率は1級が55%・2級が65%ですから、しっかり勉強していれば受かります。学科試験に受かって実地試験に不合格になった場合は、翌年にだけ学科試験が免除となるのです。
実地試験は施工管理法のみとなります。この施工管理法の中に経験記述があるのです。経験記述とは、施工計画・工程管理・品質管理・出来形管理・安全管理・環境対策の中から毎年2つが出題され、自分が過去に経験してきた工事の内容と絡めて答えを記述します。一種の作文ですが、土木施工管理技士として働くのにふさわしい経験と知識を持っているのかを試される試験です。面接試験の代わりともいわれており、実地試験の得点配分の25%を占める重要な設問になっています。
実地試験になると、合格率が1級で37%・2級で35%程度に下がるのです。これは、多くの受験者経験記述に苦戦していることの現れでしょう。
3.経験記述の効率的な勉強方法
実地試験の配点の内25%を占める経験記述は、勉強しにくい分野でもあります。この項では、試験の内容や勉強のコツをご紹介しましょう。
3-1.経験記述とは何を書けばよいのか
経験記述はテーマに沿っていればどんな書き方をしてもよい、ということになっています。しかし、単に自分の経験をだらだらと書いただけでは合格できません。どんなテーマでも
- 経験した工事の内容
- 工事をする際に必要な管理基準
- 経験した工事の課題や工事中に発生した問題点
- 問題点を解決するために取った対策方法
- 対策の結果問題は解決したのかどうか
という流れが必要です。ですから、試験前にあらかじめ過去に経験した工事の中から経験記述に書けるようなネタを探しておきましょう。ただし、自分が経験していない工事をさも経験したかのように書いてはいけません。採点者も技術者ですので、経歴と照らし合わせればすぐにウソがばれます。
3-2.勉強の方法
経験記述の試験勉強は、実際に文章を作成してみるのが一番です。記述は手書きで、誤字や脱字も減点の対象になります。ですから、記述に必要な漢字もすべて覚えておきましょう。
土木施工管理技士試験の過去問題集を購入すれば、模範解答や最近の出題傾向が載っています。試験範囲をすべて勉強するのは大変だから、ここ数年出題頻度が高い問題だけを勉強しておこうと思っている方もいるかもしれません。しかし、ヤマをはるとそれが外れた時点で、25%の点数を丸々失ってしまいます。経験記述の点数が0点に近ければ、合格はとても難しくなるのです。ヤマをはらずにすべての分野で問題が出されてもよいように勉強をしておきましょう。
3-3.第三者に添削してもらうことが大切
自分ではよく書けたつもりでも、第三者が読めば改善点が見つかります。ですから、経験記述の模擬試験を解き終えたら、添削をしてもらいましょう。職場に資格保持者がいる場合は、添削に協力してもらうとよいですね。
通信教材を利用したり講習を受けたりしても添削は受けられます。身近に添削に協力してもらえる方がいない場合は、このような教材や講習会を積極的に利用しましょう。
3-4.解答例を丸ごと模写してみる
文章を書くのがどうしても苦手という場合は、参考書に載っている解答例を一度丸ごと模写してみましょう。書き写しているうちに文章の構成が分かってくることもあります。また、下手でもよいので必ず一度記述を書きはじめたら最後まで完成させましょう。何度も書いていれば、コツが掴めます。
3-5.おすすめのテキスト・参考書
土木施工管理技士の実地試験は、専用の参考書も販売されています。弘文社刊の国家・資格シリーズが人気です。その他にも誠文堂新光社からは、毎年改訂版の参考書が発売されています。最新の試験問題や対策方法を知りたいという場合は、誠文堂新光社刊行の参考書の方がおすすめです。
4.土木施工管理技士に関するよくある質問
Q.字があまり上手ではないのですが、減点の対象になりますか?
A.字が汚いという方は丁寧に書くことを心がけましょう。字の上手・下手は考慮されませんので大丈夫です。
Q.出題頻度が低い問題がいきなり登場することはあるのでしょうか?
A.十分あり得るので、出題範囲はすべて勉強しておいてください。
Q.複数の工事例を挙げてもよいのですか?
A.構いませんが多く事例を上げるほどまとめにくくなります。ですから、多くても2~3個にしておきましょう。
Q.経験記述を解くのに時間がかかりそうです。どうしたらよいでしょうか?
A.当日は他の問題を先に解いてしまい、残った時間をすべて経験記述に当てればゆっくりと解けます。
Q.グループで受験をするのですが、工事の経験事例がかぶりそうです。
A.事例がかぶっても問題はありません。自分の言葉で書けば記述内容がまったく同じになることはないはずです。
おわりに
今回は、土木施工管理技士の試験についていろいろとご紹介しました。現在の資格試験はマークシート形式のものが多いので、記述式の答案は書きにくいかもしれません。ですから、早めに勉強を始めて文章の作成になれておきましょう。当日会場へ持ち込む筆記用具は使い慣れたものにしておけば、さらに安心です。なお、試験勉強の最中も必ず手書きで文章は書きましょう。漢字も覚えられます。当日辞書や参考書の類は持ちこめませんので、よく使う漢字や用語は間違えないようによく覚えておいてください。
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