
消防設備士の甲種と乙種の違いは? 資格取得方法やコツも伝授!
2018/12/26
「消防設備士の資格取得を考えているが、種類の違いを詳しく知りたい」とお考えではありませんか。消防設備士は甲種と乙種があり、さらに細かな区分があるため、どの種類を受験するべきか正しく理解しておく必要があります。今回は、消防設備士の甲種と乙種の違いについて詳しく解説しましょう。
この記事を読むことで、消防設備士の甲種と乙種の違いがよく分かり、資格取得に向けて効率よく準備できます。まずは、記事を読んでみてください。
1.消防設備士の甲種と乙種の違いは?
最初に、消防設備士の甲種・乙種の主な違いについて見ていきましょう。
1-1.消防設備士は甲種と乙種に分類される
消防設備士は、甲種と乙種の2つに分類されます。消防設備士は、消火器やスプリンクラー設備などの消火設備・自動火災報知設備などの警報設備・救助袋などの避難設備の設置工事や点検整備を行うための資格です。
1-2.甲種と乙種の職務の違いは工事の可否
甲種と乙種の種類や職務の違いを見ていきましょう。
1-2-1.甲種は消防用設備などの工事・整備・点検が可能
甲種消防設備士に第一類から第五類と特類の6区分があり、指定区分に応じて消防用設備などの工事・整備・点検が可能です。
- 甲種第一類:屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・屋外消火栓設備
- 甲種第二類:泡消火設備
- 甲種第三類:不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備
- 甲種第四類:自動火災報知設備・ガスもれ火災警報設備・消防機関へ通報する火災報知設備
- 甲種第五類:金属製避難はしご・救助袋・緩降機
- 甲種特類:特殊消防用設備など
1-2-2.乙種は消防用設備などの整備・点検が可能
乙種消防設備士は、指定区分の消防設備などの整備や点検を行うことができます。ただし、甲種と違い工事ができません。
- 乙種第一類:屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・屋外消火栓設備
- 乙種第二類:泡消火設備
- 乙種第三類:不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備
- 乙種第四類:自動火災報知設備・ガスもれ火災警報設備・消防機関へ通報する火災報知設備
- 乙種第五類:金属製避難はしご・救助袋・緩降機
- 乙種第六類:消火器
- 乙種第七類:漏電火災警報器
1-3.甲種のほうがより高度・広範囲・好条件の求人
甲種と乙種を比較すると、求人では甲種のほうが専門性が高いこともあり、高度・広範囲・好条件となり、常時求人が多くあります。しかし、乙種を取得し、実務未経験者でも広く採用している企業で実務経験を積むことも可能です。今は人手不足なこともあり、大手転職サイトでは、乙種取得者向けの求人が400件以上あります。将来的に社内キャリアアップや転職でより好条件な職場を目指すのなら、いずれは甲種取得を目指すといいでしょう。
1-4.乙種は受験資格がなく誰でも受験可能
甲種の受験資格は、以下をご覧ください。
- 甲種特類:甲種第1類~第3類までのいずれか1種類に加え、甲種第4類および甲種第5類の3種類以上の免状の交付を受けている
- 甲種特類以外:受験する類以外の甲種消防設備士免状の交付を受けている・乙種消防設備士免状の交付を受けた後2年以上の実務経験があるなど
甲種特類以外の受験資格については、一般財団法人消防試験研究センターの受験案内ページも参考にしてください。なお、乙種には受験資格がないため、国籍・性別・学歴・実務経験の有無を問わず、誰でも受験可能です。
1-5.甲種・乙種の合格基準は同等条件
甲種と乙種で合格基準に違いはありません。消防設備士の合格基準は、筆記試験が科目ごとに40%以上かつ全体の出題数の60%以上・実技試験が60%以上(特類は実技試験なし)の得点率となります。筆記試験・実技試験のいずれかの科目で合格基準に満たない場合は、不合格です。平成30年度の合格率は、甲種が平均30.6%・乙種が平均34.5%でした。数字では大きな違いとならないものの、甲種は受験資格があり、試験科目も多いことから乙種よりも難易度が高いと言えます。
1-6.乙種から甲種の順番に取得するとスムーズ
乙種には受験資格がないため、初心者・実務未経験者は乙種から取得し、実務経験を積みながら甲種の取得を目指すことをおすすめします。特に、受験者の多い乙種4類・乙種第6類・乙種第7類は、需要も多く最初に取得しておくといいでしょう。乙種を取得し、実務経験を2年以上積めば、特類以外の甲種受験時に科目免除を受けることも可能です。
2.甲種消防設備士の資格取得方法
甲種消防設備士の資格取得方法を詳しく解説します。
2-1.甲種消防設備士の試験概要
甲種消防設備士の試験概要は、以下のとおりです。
- 試験日程:2~3か月に1回以上
- 受験地:全国41か所の一般財団法人消防試験研究センターの支部
- 受験料:5,700円
- 申し込み方法:願書の提出による書面申請もしくは電子申請
2-2.甲種消防設備士の試験内容
甲種消防設備士の試験内容は、以下をご覧ください。
- 試験時間:特類2時間45分、特類以外3時間15分
- 試験科目:特類(消防関係法令15問、工事整備対象設備などの構造・機能・工事・設備15問、工事整備対象設備などの性能に関する火災・防火15問)・特類以外(消防関係法令15問・基礎的知識10問、消防用設備などの構造・機能・工事・整備20問)
- 実地試験:鑑別など5問、製図2問
- そのほかの注意点:筆記試験は4肢択一のマークシート方式・実技試験は記述式
2-3.科目免除を受けられるかチェックして対策する
甲種受験時は、受験の際に科目免除を受けられると楽です。甲種は上位資格であり、乙種より試験の難易度が上がります。たとえば、電気主任者・電気工事者の資格保持者は、消防関係法令の15問中8問が免除です。ただし、受験申請時に忘れずに免除申請も行いましょう。当日に申し出ても免除されません。
3.乙種消防設備士の資格取得方法
乙種消防設備士の資格取得方法を詳しく解説します。
3-1.乙種消防設備士の試験概要
乙種消防設備士の試験概要は、以下を参考にしてください
- 試験日程:2~3か月に1回以上
- 受験地:全国41か所の一般財団法人消防試験研究センターの支部
- 受験料:3,800円
- 申し込み方法:願書の提出による書面申請もしくは電子申請
3-2.乙種消防設備士の試験内容
乙種消防設備士の試験内容は、以下のとおりです。
- 試験時間:1時間45分
- 試験科目:消防関係法令10問、基礎的知識5問、消防用設備などの構造・機能・整備15問
- 実地試験:鑑別など5問
- そのほかの注意点:筆記試験は4肢択一のマークシート方式・実技試験は記述式
3-3.まずは基礎知識を固め、問題を解いていく
乙種の資格取得は、基礎知識の習得から始めることをおすすめします。その後、問題を多く解いて実戦力を養うといいでしょう。特に、実務未経験の人は、過去問を繰り返しとき出題形式に慣れておくことが必要です。試験当日に実力を発揮するためにも、早めに計画を立ててコツコツと勉強していきましょう。なお、通信講座を利用すると効率よく学習できるのでおすすめです。
4.消防設備士の甲種と乙種の違いに関するQ&A
最後に、消防設備士の甲種と乙種に関する質問に回答します。それぞれ確認しておいてください。
Q.学生のうちに乙種4類を取得すれば就職に有利になる?
A.はい。乙種には受験資格がありませんから、ぜひ学生のうちに取得するといいでしょう。
Q.乙種4類を取得したら甲種4類も取得するべきか?
A.取得をおすすめします。甲種を取得すれば、消防設備などの工事ができるため、仕事の幅が広がるからです。特に、よりよい条件で働きたい・専門的な仕事をしたい人におすすめします。
Q.乙種を取得したら甲種の受験科目を免除できる?
A.できません。受験科目の免除を受けるには、乙種取得後さらに2年の実務経験が必要です。
Q.乙種を取得せずに甲種を受験しても問題ない?
A.受験資格を満たしていれば問題ありません。乙種取得後2年の実務経験を積まなくても、ガス主任技術者や無線従事者の免状保持者などの受験資格があれば、甲種を受験可能です。
Q.消防設備士に科目合格制度はある?
A.ありません。試験に不合格となった場合、次回の受験では必要な科目をすべて受け直す必要があります。
まとめ
今回は、消防設備士の甲種と乙種の違いについて詳しく解説しました。消防設備士の甲種と乙種は、消防設備の工事ができるかできないかが大きな違いです。そのため、甲種のほうが上位資格となり、難易度が高くなります。まずは、受験資格のない乙種を取得してから、甲種を目指すといいでしょう。消防設備士の仕事でスキルアップを続けたいのいなら、乙種だけでなく甲種の取得をおすすめします。
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