ガス主任技術者を取得したい! 試験科目や講習について解説

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ガス主任技術者とは、ガス事業法に基づいて一般家庭で使う燃料ガスの工作物工事や、ガス製造の保安・監督を行うことができる資格です。取得しておくことで、ガス工事会社への就職・転職が有利になることもあります。

今回は、ガス主任技術者の資格を取得するための講習や、試験についてご紹介します。

  1. ガス主任技術者に関する基礎知識
  2. ガス主任技術者の求人や取得するメリット
  3. ガス主任技術者の資格を取得する方法
  4. ガス主任技術者の講習会について
  5. ガス主任技術者に関するよくある質問

この記事を読めば、ガス主任技術者の資格を取得するまでのプロセスや、ガスに関連する資格の種類がよくわかるでしょう。ガス主任技術者の資格取得を目指している方は、ぜひ読んでみてください。


1.ガス主任技術者に関する基礎知識

この項では、ガス主任技術者の有資格者が行える仕事内容や、他の資格との違いなどをご紹介します。どのような資格なのでしょうか?

1-1.ガス主任技術者とは?

ガス主任技術者とは、前述したように一般家庭で使われる燃料ガスの製造から供給までに関わる、ガス工作物の保安監督業務を行うことができる資格です。ガス工作物は、ガス事業法という法律で保安監督の方法が定められており、ガス主任技術者は、法律に沿ってガス工作物の工事が行われる際に技術者を監督します。

ちなみに、ガス工作物とはガスを供給する配管や制圧機器などです。給湯器やガスコンロなど、ガスを燃料源とする機器はガス工作物には含まれておりません。

1-2.ガス主任技術者の仕事内容とは?

ガス主任技術者の主な仕事内容は、ガス配管工事などのガス工作物工事の運用や、保安監督・整備点検などです。無資格者でもガス主任技術者の監督下でならガス工作物工事を行えますが、整備点検などは有資格者しか行うことはできません。

1-3.高圧ガス製造保安責任者との違いは?

高圧ガス製造保安責任者とは、石油コンビナートなどの高圧ガス製造事業所において、高圧ガス製造に関わる保安の統括的な業務を行う資格です。高圧ガス保安責任者の資格を取得していても、ガス工作物の工事は行えません。逆に、ガス主任技術者の資格を取得していても、高圧ガスの製造に関わる保安業務を行うことはできないので、注意しましょう。

1-4.給湯器などを取り付けることはできないの?

身近にあるガス器具といえば、ガス給湯器です。ガス給湯器を設置し、ガス管に接続するような工事を行うには、「液化石油ガス整備士」や「内管施工士」という資格が必要になります。プロパンガスを利用してガス器具を使用する場合は液化石油ガス整備士、都市ガスを利用してガス器具を使用する場合は内管施工士の資格が必要です。ガス工作物の工事を行い、なおかつガス器具の設置工事を行いたいという場合は、液化石油ガス整備士と内管施工士の資格を取得しましょう。

液化石油ガス整備士は高圧ガス保安協会が主催する試験に合格するか、講習会を受講して試験の一部を受験して合格する必要があります。内管施工士は日本ガス機器検査協会が主催する講習を受講し、修了すれば取得可能です。なお、液化石油ガス整備士の資格を取得した方の場合は、内管施工士の講習期間が短縮されます。

1-5.ガス主任技術者の種類

ガス主任技術者には、

  • 甲種:ガス工作物の工事・維持及び運用
  • 乙種:最高使用圧力が中圧及び低圧のガス工作物の工事、特定ガス発生設備等に係るガス工作物等の工事、維持及び運用
  • 丙種:特定ガス発生設備に係るガス工作物の工事、維持及び運用

の3種類があります。どの試験も受験資格は定められていません。国籍・年齢・性別に関わらず、試験を受けることができます。

ガス主任技術者は、ガス工作物の保安監督業務を行うことができる資格なんですね。
はい。ガスを供給する配管や制圧機器に関する工事を行うことができます。

2.ガス主任技術者の求人や取得するメリット

ガス主任技術者はガス工作物の工事を行う会社や、ガス機器の点検整備などを行う会社に需要があります。資格を取得すれば、転職などに有利でしょう。液化石油ガス整備士や内管施工士の資格を取得していれば、さらに活躍の場は広がります。職種や役職によりますが、平均年収は500万円~1,000万円程度で、上位資格ほど年収アップがのぞめるでしょう。

取得すれば給与アップが見込めるんですね。
はい。また、転職や就職に有利です。

3.ガス主任技術者の資格を取得する方法

この項では、ガス主任技術者の資格を取得する方法をご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。

3-1.ガス主任技術者の資格を取得する方法

ガス主任技術者の資格を取得するには、日本ガス機器検査協会が主催する試験を受けて合格する必要があります。

試験科目は

  • 法令
  • 基礎
  • ガス技術(製造・供給・消費)

の3科目の択一式問題と、法令とガス技術の論述問題の計5科目が出題されます。
択一式問題は、300点中180点以上の得点で合格、論述問題は70点中20点以上で合格です。ただし、法令は25点、基礎は15点、ガス技術は30点以下ならばその時点で不合格になりますので気をつけましょう。

合格率は、甲種12%程度、乙種17.5%程度、甲種26.5%と上位資格になるほど低くなります。特に、甲種は一度不合格になったくらいではあきらめず、何度も挑戦しましょう。

3-2.試験の日程や申し込み方法

ガス主任技術者の試験は、毎年9月に実施されます。すべての種類が同じ試験日で行われますので、複数の種類を同時に受験することはできません。試験の申し込みは、毎年5月頃に日本ガス機器検査協会から願書の入手方法などが発表されますので、よく目を通しておきましょう。電子申請は行っておりません。
また、試験の一部免除・合格科目の持ち越しなどの措置もないので注意してください。試験は全国10か所程度で行われ、受験料は12,700円です。遠方の人は宿泊地も確保しておきましょう。

試験を受けて合格すれば資格を取得できるんですね。
はい。最も下位の資格区分でも合格率は30%未満なので、しっかりと勉強しなければ合格できません。

4.ガス主任技術者の講習会について

高圧ガス製造保安責任者や液化石油ガス整備士の試験は、講習会を受講して修了すれば、試験の一部免除があります。しかし、ガス主任技術者にはそのような講習会はありません。日本ガス機器検査協会が行っている講習は内管施工士のものですので、混同しないように気をつけましょう。

全国にあるガス協会などで行われている講習会は、ガス主任技術者試験対策の講習会です。前述したように、ガス主任技術者の試験は、丙種でも合格率が26.5%程度となっています。ガス主任技術者試験の勉強方法は独学か、通信教材を使った方法が主流です。
独学で勉強している場合は、分からないところが出てくることもあるでしょう。講習会に参加すれば、講師に質問もできますし、試験に出るポイントなども詳しく教えてもらえます。特に、記述試験の講義は役に立つことが多いでしょう。1〜2日の短期で行われる講習会も多いので、試験勉強の仕上げに参加してみるのもおすすめです。
講習の日程や申し込み方法は、インターネットで検索して探してみましょう。すでにガス工事会社に勤めている場合は、職場で紹介してくれることもあります。

試験対策の講習会も開かれているんですね。
はい。独学だけでは自信がない人は積極的に受講してみましょう。

5.ガス主任技術者に関するよくある質問

Q.ガス主任技術者と高圧ガス製造保安責任者はどちらを取得したらよいでしょうか?
A.行える仕事がまったく異なるので、製造所で保安業務を行いたい場合は、高圧ガス製造保安責任者を取得し、ガス工作物工事を行いたい場合は、主任技術者を取得しましょう。

Q.独学で試験に合格することは可能ですか?
A.可能ですが、まったく知識のない状態で市販の参考書を読んでも理解しにくい部分が多いかもしれません。

Q.講習会はどこで行われていますか?
A.全国各地のガス協会などが主催しているので、インターネットで検索してみてください。

Q.どのくらい勉強すれば試験に合格できますか?
A.最低でも半年は勉強しましょう。

Q.学生ですが試験を受験することはできますか?
A.問題ありません。可能です。

おわりに 

今回は、ガス主任技術者の資格を取得する方法などをご紹介しました。ガス工事を一生の仕事としていくならば、ぜひ取得しておきたい資格です。また、余力があればほかの関連資格などにもチャレンジしてみましょう。ガス工作物工事の実務経験を積めば、管工事施工管理技士などの上位資格も受験資格が得られます。

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