
カドミウムの毒性や人体への影響とは?長い間汚染が続くことも!!
2015/11/09
カドミウムは、かつて自動車部品を製造する工場をはじめ、さまざまな工場で使われてきた有害な金属です。
現在でも、使用量こそ減ったものの使用している工場は多いでしょう。
そこで、今回はカドミウムの毒性や人体への影響をご説明します。
日本でも、40年ほど前にカドミウムが原因で公害病が発生し、多くの方に健康被害が出ました。
また、現在の国が定めた規制値などもご紹介しましょう。
公害防止管理者の方や資格取得のために便供養している方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
目次
1.カドミウムとはどのような金属なの?
カドミウムとは、亜鉛鉱と一緒に産出する軟金属です。
銀白色の色をした柔らかい金属で、湿気の多い空気の中に置いておくとだんだんと酸化して灰色になります。
沸点が水銀やアルカリ性金属についで低いという特徴もあり、簡単な設備で沸騰できる反面優雅なな蒸気が発生するのです。
カドミウムは、ウッド合金や顔料、さらにニッカド電池などのさまざまな工業製品に利用されています。
また、メッキの材料として1960年代までは自動車部品にカドミウムは盛んに使われてきました。
クラシックカーのエンジンルームに見られるやや黄色がかった金属部品は、カドミウムメッキによるものです。
しかし、現在は毒性が懸念されて、使用料は減ってきています。
2.カドミウムの毒性と人体への影響とは?
カドミウムは、体内に蓄積していく性質があるのです。
カドミウムを少量でも毎日摂取していると、やがて骨や関節がもろくなり肺気腫、腎障害、蛋白尿などを引き起こします。
かつて、カドミウムの毒性が知られていなかったころ、亜鉛とともに産出されるカドミウムはそのまま土壌に放出されていました。
その結果、そこで育った植物や動物にカドミウムの毒が蓄積されていったのです。
土壌の中のカドミウムは土のphが中性からアルカリ性ならば溶解されにくいのですが、日本では酸性の土壌が多いためカドミウムが溶解しやすいといわれています。
ですから、米をはじめとする農作物はカドミウムの含有基準が定められており、それを超えた農作物は食用として出荷できません。
また、富山県の神岡鉱山で排出された未処理配水の中に含まれていたカドミウムが原因で、「イタイイタイ病」が発生しています。
3.カドミウムの怖さとは?
カドミウムは、一度土壌を汚染してしまうと長期間毒性が消えません。
また、人体へは約30年間蓄積し続けるそうです。
さらに、カドミウムを体内から排出させようとすると、同属元素である亜鉛もともに排出させてしまいます。
亜鉛は体内に必須の栄養素のため、取りのぞいてしまうと健康に影響があるのです。
ちなみに、イタイイタイ病が発生した富山県の神通川流域の農地では、今でも農作物から基準値を超えるカドミウムが検出され、政府が買い上げています。
カドミウムは、40年ほど前まではその毒性がよく分かっていませんでした。
ですから、カドミウムを使っていた工場ではカドミウムが混入した廃液や廃物を未処理のまま敷地内に放出していたところも少なくありません。
そのため、工場の跡地の土壌を検査すると、高濃度のカドミウムが検出されることもあるのです。
ですから、カドミウムを使用していた工場の跡地を利用した住宅地などは、土壌が汚染されている可能性もあります。
さらに、工場の跡地を売却しようとしたけれど土壌検査でカドミウムが検出されたので売るに売れない、というケースもあるのです。
4.現在のカドミウムの規制はどうなっているの?
平成26年12月1日よりカドミウムの排水基準が、従来の0.1mg/Lから0.03mg/Lになりました。
また、地下水の浄化措置命令に関する浄化基準も0.01mg/Lから0.003mg/Lへ改正されます。
つまり、より厳しくなるのですね。
また、自治体の中には独自の基準値を設けていたり、基準値を超える量のカドミウムを輩出した場合に罰則を設けていたりするところもあります。
ですから、公害防止管理者の方は排出量について不明な点があったらすぐに自治体に問い合わせましょう。
また、現在の基準では玄米から0.4 ppm以上のカドミウムが検出された場合は、食用にすることはできません。
染色されてのりなどの工業用品になるということですが、2008年にその工業用の米を原材料とした食品が生産されていたことが分かり、問題になりました。
5.カドミウム排出に対する企業の取り組みとは?
では最後に、カドミウムを扱っている企業の取り組みなどをご紹介しましょう。
カドミウムは一度流出してしまうと、前述したように長い間土壌を汚染し続けます。
流出を防ぐためにはどのような取り組みが必要なのでしょうか?
5-1.カドミウムを流出させないような装置を導入する
カドミウムを未処理で排出すると、土壌や水源を汚染させます。
日本では、カドミウムを未処理で排出しないような装置が工場に導入されているのです。
しかし、海外ではまだまだ未処理のままカドミウムを排出している工場も少なくありません。
ですから、旅行などで海外に行った場合、工場が立ち並んでいる場所に不用意に足を踏み入れないようにしましょう。
特に、中国では水質汚染なども問題になっています。
5-2.定期的な水質検査、土壌検査を行う
カドミウムを扱っている工場では、定期的な水質検査が義務づけられています。
水質検査は、専門の業者が引き受けてくれますので公害防止管理者が窓口や交渉役になって依頼しましょう。
また、水質検査などの結果は一定期間保存しておく必要があります。
自治体の求めに応じてすぐに提出できるようにまとめておいてください。
なお、カドミウムを取り扱っている会社の従業員は、定期的な健康診断も行う必要があります。
これは、安全管理者や衛生管理者の職務になりますが、公害防止管理者も結果を聞いておく必要があるでしょう。
5-3.工場の跡地を転用した住宅地を買う前に
現在、日本では工場の跡地が住宅地になることは珍しくありません。
それらの土地はほとんどが何の問題もないです。
しかし、カドミウムを扱っていたメッキ工場の跡地などは、念のために土壌が汚染されていないか検査をしましょう。
その土地に農作物を育てなければ問題ないと思うかもしれませんが、カドミウムを含んだ土の混じった空気を吸えば、カドミウムは体内に蓄積されていくのです。
また、工場の跡地だけでなく亜鉛を産出していた鉱山の跡地近くなども注意が必要になります。
6.おわりに
いかがでしたか?
今回はカドミウムの毒性や人体への影響などをご紹介しました。
まとめると
- カドミウムは人体にとって強い毒性がある上に、蓄積する。
- 人体には30年間蓄積し、排出しようとすると亜鉛も一緒に排出させてしまう。
- カドミウムが土壌を汚染すると、農作物などにもカドミウムが蓄積してしまう。
- 平成26年12月1日よりカドミウム排出の規制値が変更されたので要注意。
ということです。
カドミウムは長年いろいろな工場で使われてきました。
そのため、日本の土壌のいたるところでカドミウムは検出されています。
しかし、だからといって「少量くらいなら体内に入れても問題ない」ということはありません。
特に、土壌を汚染してしまうとその土地を後年別の用途に使おうとしても、許可が下りないこともあるでしょう。
ですから、定期的に土壌や水質を検査して取り扱いに注意してください。
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