
ビルメン三種の神器とは? 資格の内容や取得方法を解説
2017/03/22
2017/03/30
ビルメンとはビルメンテナンス業務の略です。不特定多数が利用するオフィスビルや商業施設などの維持管理を行う業務であり、ビルの持ち主からビルメンテナンス業務を請け負う会社も数多くあります。また、一定の広さ以上の床面積を持つオフィスビルや商業施設・ホテル・学校などは、特定建築物に指定され、建築物環境衛生管理主任技術者の選任が義務づけられているのです。また、建築物環境衛生管理主任技術者以外にもビルメン業界に就職するために有利な資格があり、その中でも特に難易度が高く、就職や転職に有利な資格は「ビルメン三種の神器」と呼ばれています。
今回は、ビルメン三種の神器に指定されている資格の特徴や、取得方法をご紹介しましょう。
この記事を読めば、ビルメン業界に就職や転職を行う際に取得しておくと有利な資格がよく分かります。ビルメン業界へ興味がある方は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.ビルメンの基礎知識
はじめに、ビルメンテナンス業務の仕事内容や求人情報、給与などの基礎知識をご紹介します。どのような仕事なのでしょうか?
1-1.ビルメンの仕事とは?
ビルメンとは、不特定多数が利用するビルや商業施設・地下街などに設置されている電気設備・給排水設備・空調設備などの点検・整備を行う仕事です。施設によっては清掃や警備を行うこともあるでしょう。といっても、実際にビルメンの仕事に就いている方が清掃を行ったり整備を行ったりすることは、あまりありません。設備に異常がないか定期的に点検を行い、整備や修理・清掃などを行う専門会社との折衝を行うのが主な仕事です。
また、テナントの要望をビルのオーナーに連絡したり、テナントの入退室を管理したりすることもあるでしょう。ビルメンが適正に行われている建物は、使いやすく評判も高いのです。
1-2.ビルメンの求人について
一昔前までビルメンといえば、楽な仕事であり、定年退職をした人の再就職先というイメージの強いものでした。しかし、現在は単なる点検業務や見回り業務だけでなく、設備の整備点検や管理、テナントや業者との折衝も業務に含まれることが一般的です。ですから、高いコミュニケーション能力を持った方や、電気設備や空調設備の維持管理を行える資格を持った人でないと、務まらない仕事になっています。
ビルメンの仕事に就きたい場合は、ビルを所有している会社や、ビルメン業務を請け負う業者が出している求人に応募するのが一般的です。
ビルメンの仕事は、大きく分けて「系列系ビルメン」と「独立系ビルメン」があります。
系列系ビルメンは、全国に複数のビルを所有している会社が、ビル管理を行うために設立した会社です。規模の大きな会社が多く、給与も高い傾向にあり、福利厚生もしっかりとしています。その反面、転職する際には一定の実務経験や資格が必要というところが多いでしょう。
独立系ビルメンは、系列系ビルメンの下請けとして働くことが多く、清掃や警備会社が業務を拡大してビルメン会社になったというところもあります。系列系ビルメンに比べると給与が安い傾向にありますが、未経験者や無資格者でも比較的採用されやすいでしょう。また、系列系ビルメンに比べると仕事が楽というところもあります。
独立系ビルメンに就職して実務経験を積んで資格を取得し、系列系ビルメンに転職するのもおすすめです。
ちなみに、系列系ビルメンの給与は年収350万円~450万円程度、独立系ビルメンの給与は250万円~350万円程度が相場といわれています。資格を取得している方は、各種資格手当がつくこともあるでしょう。
1-3.ビルメンの魅力
ビルメンの仕事は、トラブルがない限りルーチンワークです。また、業者やテナントとの折衝をすることもありますので、ある程度人生経験を積んだ年代の方が仕事を行いやすいでしょう。特に、電験三種や建築物環境衛生管理主任技術者の資格を取得していれば、50代・60代になっても求人があります。ですから、少しでも長く働きたいという方にはおすすめです。
また、系列系ビルメンで長年仕事をしていれば、出世ものぞめるでしょう。ビルメンを必要とする建物はこれからも増え続けていくと考えられますので、実務経験を積んでいれば転職先も困らないと思います。
2.ビルメン三種の神器とは?
この項では、ビルメン三種の神器について詳しく解説していきます。どのような資格なのでしょうか?
2-1.ビルメン三種の神器とは?
ビルメン三種の神器とは、
- 建築物環境衛生管理主任技術者(ビル管理士)
- 第三種電気主任技術者(電験三種)
- エネルギー管理士
の3つの資格を指します。
建築物環境衛生管理主任技術者は、前述したように特定建築物では必ず選任が義務づけられている資格です。ビルメン関連の資格では最も高位の資格になります。
第三種電気主任技術者は、600V以上の受電設備など自家用電気工作物の保安監督業務を行うことができる資格です。自家用電気工作物は事業用電気工作物の一部で、定期的な自主保安が義務づけられています。ビルメンが必要な施設ならば、必ず自家用電気工作物が設置されているでしょう。ですから、保安監督業務を行える資格の需要は高いのです。
エネルギー管理士は、定められた量以上の電力や熱エネルギーを使う施設に対し、電気や燃料の使用方法の改善・監視・電気や熱エネルギーを使用する設備の維持管理などを行えます。熱エネルギーや電力を一定以上消費する工場には、選任が義務づけられているのです。
これら3つの資格はどれも取得が難しく、3つすべてを持っている方はごくわずかでしょう。だからこそ、どれか1つでも取得をしていれば、転職や就職の際に大きな武器となります。
2-2.ビルメン4点セットとの違い
ビルメン業界には、ビルメン3種の神器のほか、ビルメン4点セットと呼ばれる資格があります。
これは、
- 第二種電気工事士
- 第三種冷凍機械責任者
- 危険物取扱者乙種4類
- 2級ボイラー技士
の4つの資格です。
電気工事士の資格を取得すれば、電気工事を行えます。
第三種冷凍機械責任者は、1日の冷凍能力が100t未満の冷凍設備の保安業務を行うことができ、取得していれば冷暖房機器の管理を行うことができる資格です。
2級ボイラー技士は、ボイラーの運転ができる資格であり、ボイラーを設置してある施設では重宝されるでしょう。
危険取扱者乙種4類は、ボイラーの燃料である重油や非常用発電設備の燃料を保管や管理をすることができます。これに消防設備士の資格を加え、ビルメン5点セットと紹介されることもあるでしょう。
ビルメン4点セットは、ビルメン3種の神器に比べると資格試験などの難易度が低く、取得しやすいものです。その分有資格者も多いので、ビルメンの仕事に就くなら最低限取得しておく資格、として紹介されることも多いでしょう。資格と共に実務経験があれば、就職や転職に有利です。
2-3.ビルメン三種の神器を取得するメリット
電験三種やエネルギー管理士の資格を取得すれば、ビルメン以外の仕事でも活躍できます。特に、電験三種は一定期間の実務経験があれば独立もできますので、資格を取得するメリットも大きいでしょう。エネルギー管理士や電験三種がビルメンの仕事に就く場合は、資格手当もつくところが多いのです。
建築物環境衛生管理主任技術者は、ビルメンを一生の仕事とする場合は、取得しておいて損はありません。特に、系列系ビルメンに転職したい場合は、取得しておくと大変有利です。建築物環境衛生管理主任技術者の資格試験を受験するには、2年以上の実務経験が必要ですから、資格を取得すればビルメンの知識と経験の証明にもなるでしょう。
3.ビルメン三種の神器を取得する方法
この項では、ビルメン3種の神器に数えられている資格を取得する方法についてご紹介します。ぜひ参考にしてください。
3-1.建築物環境衛生管理主任技術者
建築物環境衛生管理主任技術者を取得するには、2年以上の実務経験を積んで日本建築物環境衛生管理教育センターが主催する試験を受けて合格するか、センターが主催する103時間の講習を受講し、修了すれば取得できます。講習を受講するには、1級建築士や医師・薬剤師などの定められた資格を取得した後、一定期間、ビルメンの実務経験が必要です。ちなみに、第三種電気主任技術者の資格を取得し、2年以上の実務経験があれば講習の受講資格を得られます。講習の開催日程や開催地などは、センターのホームページを確認してください。東京や大阪などの大都市が主な開催地なので、地方の方は宿泊場所などを確保する必要もあります。
試験は、毎年10月に行われ、6月から願書の配布が開始されますから、チャレンジする方は忘れないようにしましょう。センターのホームページからダウンロードも可能です。
試験は、
- 建築物衛生行政概論
- 建築物の構造概論
- 建築物の環境衛生
- 空気環境の調整
- 給水及び排水の管理
- 清掃
- ねずみ、昆虫等の防除
の7科目が行われます。それぞれの科目が40%以上、総合で65%以上の得点ならば合格です。合格率は23%前後ですから、しっかりと勉強して試験にのぞみましょう。
3-2.第三種電気主任技術者
第三種電気主任技術者の資格を取得するには、一定の実務経験を積んで経済産業省の認定を得るか、電気技術者試験センターが主催する試験を受けて合格する必要があります。受験資格は定められていません。性別・年齢・学歴・国籍問わず誰でも受験可能です。試験は、理論・機械・法規・電力の4科目で、1度試験に合格した科目は、3年間持ち越しができます。3年かけて合格をする方も珍しくありません。
試験は毎年9月に行われ、申し込みはセンターのホームページから電子申請も可能です。合格率は19%前後と大変狭き門になります。また、合格するには工業高校の電気科を修了する程度の知識が必要といわれているため、まったく知識がない状態から勉強する方は、電気数学から始めるという方法もあるので、試してみてください。
3-3.エネルギー管理士
エネルギー管理士には、熱管理士と電気管理士の2種類があります。ビルメンの仕事をするならば電気管理士のほうがおすすめです。資格を取得するには、省エネルギーセンターが主催する試験を受けて合格するか、エネルギー使用に関する実務経験を3年以上積み、認定研修を受ける方法があります。試験は毎年8月に行われ、受験の申し込み、開始は6月からです。センターのホームページから電子申請も行えますので、利用してみましょう。
試験は、電気管理士が
- 電気の基礎
- 電気設備及び機器
- 電力応用
- エネルギー総合管理及び法規
熱管理士が
- 燃料と燃焼
- 熱利用設備及びその管理
- 熱と流体の流れの基礎
- エネルギー総合管理及び法規
です。合格率は19%前後と決して高くはありません。電気主任技術者の資格を取得したうえでチャレンジすると、合格しやすいでしょう。
3-4.資格を取得する順番
ビルメン三種の神器は、ビルメンを一生の仕事とするならば、建築物環境衛生管理主任技術者を真っ先に取得しましょう。講習に通えるだけの余裕があるという方は、電験三種を取得した後で実務経験を積み、講習で建築物環境衛生管理主任技術者の資格を取得する方法もあります。しかし、電験三種は電気の知識がなければ、合格は不可能です。電気に関する知識がまったくないという場合は、まず最初に建築物環境衛生管理主任技術者の取得を目指しましょう。
エネルギー管理士は、ビルメンの仕事場ではそれほど必要とされません。しかし、取得していれば知識の証明になります。ですから、電気主任技術者の資格を取得した後で、余力があったら取得しておくとよいですね。
電気主任技術者の資格を取得すれば、ビルメン以外にも活躍の場が広がります。電気関係の仕事への転職も考えている場合は、電験三種の資格を真っ先に取得しましょう。
4.ビルメン三種の神器に関するよくある質問
Q.三種すべての資格を取得すれば、どんな会社にでも就職できますか?
A.必ずしも就職できるとは限りませんが、かなり有利です。
Q.3つの資格の内、どれが一番ビルメン業界では有利でしょうか?
A.建築物環境衛生管理主任技術者です。
Q.電験三種の資格を取得すれば、ビルメンのほか、どのような仕事を行うことができますか?
A.自家用電気工作物を設置してある場所で、保安監督業務が可能です。電気設備機器管理会社などから求人があります。
Q.エネルギー管理士は無理に取得する必要はありませんか?
A.ビルメン業界では、エネルギー管理士が必須という会社はまれでしょう。しかし、取得をしていれば大規模な工場への転職も可能です。
Q.三種の資格をすべて取得するには、最短でどのくらいかかりますか?
A.すべての資格を1発で合格する場合でも、ビルメン業界へ就職するところから考えると2年はかかるでしょう。
5.おわりに
いかがでしたか。今回は、ビルメン三種の神器についていろいろとご説明しました。どの資格も合格率が低く、1つでも取得しておけば、転職や就職に有利です。資格を取得する機会があれば、ぜひチャレンジしてみましょう。独立系ビルメンで働きながら、三種の神器のうち1つを取得し、転職をするのもおすすめです。
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