
ビル管理法(ビル衛生管理法)とはどんな法律? 対象となる建物は?
2015/09/14
2020/01/31
建築物環境衛生管理技術者、通称ビル管理技術者を目指している人にとって、ビル衛生管理法は必ず覚えておきたいものです。では、ビル管理法はいったいどのような法律なのでしょうか?
そこで、今回はビル管理法(ビル衛生管理法)についてご説明します。一体どのような法律で、どんな建物が対象になるのでしょうか? また、法律で定められたことも分かりやすくまとめてみました。法律は難解な用語が多いのですが、書いてあることさえ分かれば覚えやすいでしょう。ビル管理技術者を目指している方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
1.ビル管理法(ビル衛生管理法)とは?
ビル管理法とは、正式名称を「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」といいます。とても長いので、正式名称よりも通称の「ビル管理法」の方が有名です。なお、東京都ではビル衛生管理法と略します。
このふたつは同じ法律ですから、混乱しないように注意しましょう。ビル管理法とは、不特定多数の人が出入りするビルを管理するための法律です。建築物環境衛生管理技術者、通称ビル管理技術者の選任義務もビル管理法の第6条に定められています。
2.ビル管理法とはどんな法律なのか?
では、ビル管理法とはどんな法律なのでしょうか? この項では、ビル管理法の内容や適用される建物などをご説明していきます。
2-1.ビル管理法の目的は?
ビル管理法は、不特定多数が利用する建物を対象とした法律です。たとえば、百貨店をはじめとする大型商業施設や、映画館や劇場などの娯楽施設、さらにホテルや学校、オフィスビルも対象になります。しかし、病院や工場、さらに大規模マンションなどは対象外です。混同しないように気を付けてください。
ビル管理法の目的はビルを安全に衛生的に管理することです。不特定多数の人が使用する建物は、それだけたくさんの施設も必要になります。一例をあげるとトイレや水道、さらに空調や冷暖房などです。これらは備えてあればよい、というわけではありません。管理をしていかないと劣化したり不潔になったりします。ビル管理法の目的はビルを清潔にたもっていくのに必要なことを定め、清潔に安全に人々がビルをできるようにする法律なのです。
2-2.どんな建物が対象になるの?
ビル管理法の対象になるのは、床面積が3,000平方メートル以上の商業施設と8,000平方メートル以上の学校です。学校は幼稚園から大学まですべてが該当します。
また、前述したように病院や介護施設、さらに工場などは特殊な環境下にある建物ということで、ビル管理法の対象にはなりません。さらに、不特定多数が出入りする3,000平方メートル以上の建物というと、大規模なマンションにも当てはまります。しかし、分譲にしても賃貸にしてもマンションは個々が管理する部分が大きいので、こちらもビル管理法の対象外になるのです。ただし、マンションに商業施設が付随していてそれが3,000平方メートル以上ある場合は、ビル管理法の対象になります。
2-3.ビル管理法で定められた管理項目とは?
ビル管理法では、空気、水、そして衛生が管理項目として定められています。
空気は、空調機管理のこと。ビル管理法の対象になっている建物の中には、大きさの割には窓が少ないところも少なくありません。高層階や地下は窓を開けられませんから、空調で空気を管理するしかないのです。さらに、定期的な空気環境測定も行う必要があります。
水は、受水槽清掃のことです。水道から直接水を飲む人は少なくなりましたが、飲食店がテナントとして入居している場合は、水質に問題があれば大変なことになります。ですから受水槽の清掃や水質検査は重要な管理項目になるのです。
さて、残るは衛生ですが、これは清掃になります。日々の清掃はテナントに入居している方が行ったり、清掃会社が毎日行っていたりするでしょう。ビル管理法の項目に定められているのは、ネズミをはじめとする害獣やゴキブリに代表される害虫の駆除です。特に、飲食店がたくさん入っている施設の場合は、ネズミやゴキブリの餌になるものもたくさんあります。また、害虫や害獣の駆除は素人には難しいでしょう。
そのほか、施設の公共部分の清掃も管理項目に定められています。
3.ビル管理技術者とはどのようなことをするの?
ビル管理技術者とは、このビル管理法に基づいて施設を管理することができる国家資格です。受験するには2年以上ビル管理の実務経験がなければいけません。また、試験だけではなく、100時間以上の講習を受けても取得が可能です。しかし、講習を受けるには実務経験に加えて電気工事やボイラー技士など特定の資格が必要になります。ビル管理技術者は、対象となる建物に一人選任が必要です。どれほど施設が広くても、二人以上いなくてはならないということはありません。
選任されたビルに常駐している必要はありませんが、複数のビルを兼任することはできないのです。原則的に一人につき、管理できるビルはひとつになります。ビル管理技術者の任務は、ビル管理法に基づいてビルを管理することです。つまり、空気、水、衛生管理の責任者になります。といっても、ビル管理技術者が一人で清掃をしたり、検査をしたりするわけではありません。
ビル管理技術者は、清掃会社や害虫駆除会社に依頼をしたりテナントからの要望や苦情を聞いたりするのが主な仕事になります。つまり、監督やマネージャーのような役割です。必要とあれば、公官庁やビルのオーナーに意見をしたり橋渡し役を引き受けたりもするでしょう。電気やボイラー、害虫・害獣駆除の知識だけでなく、高いコミュニケーション能力も必要な資格です。
4.ビル管理技術者になるには?
ビル管理技術者になるには、前述したように実務経験が必要です。ですから、資格取得を目指すならば、まずはビル管理の仕事につきましょう。同時に、電気関係やボイラー関係などの資格を取得しておくとよいですね。
また、すでにビル管理の仕事をしているという方は、キャリアアップのためにビル管理技術者の資格取得にチャレンジしてみましょう。合格率は20%と高くはありませんが、受験にも資格がいるので取得をすればメリットも大きいです。
5.おわりに
今回はビル管理法についていろいろとご説明しました。
まとめると
- ビル管理法とは、対象になった建物を安全に衛生的に使えるように管理するための法律
- 管理項目は空気と水と衛生である
- ビル管理王に基づいてビル管理技術者が選任される
ということです。ビル管理法が適応される建物は、多くの方が利用します。そんな場所で空気や水が汚染されてしまえば、大事故につながるでしょう。また、ネズミやゴキブリは病原菌を媒介します。飲食店がたくさん入っている施設で害虫や害獣が大量に発生すれば、伝染病の発生源になる可能性もあるのです。ですから、ビル管理法を守ることは、私たちが安全に衛生的に生活をしていくうえでとても大切なこと。同時に、ビル管理技術者の責任は重大です。ビル管理技術者が職務を怠れば利用している人の健康に問題が出るばかりでなく、火災や爆発事故などが起こる可能性もあります。
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